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8月3日。 たった一人の親友は
作者: 大和 撫  (総ページ数: 4ページ)
関連タグ: ハイキュー 二次創作 腐向け 孤爪研磨 黒尾鉄朗 死ネタ 
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*3*


彼が消えた所を見届けた。
『やっと、成仏出来たんだね。赤葦は。』
「あぁ、やっと向き合う事が出来たんだよ。」
『......クロは、俺が全部忘れても笑ってくれるの?』
「当たり前だろ、俺の事を忘れても、絶対に一人にはしないからな。」
そういって、昔よく俺に向けてくれていた笑顔を見せた。
『...そっか。』
二人は結ばれることは無かった。でも、最後に見た親友の顔は幸せそうだった。だから、いいのだ。これで。
(結局俺の未練はなんだったんだろうな)
そう思った時に、クロが口を開いた
「お前は行かなくていいのか?」
『...どういうこと』
「お前の未練、赤葦の事だったんだろ。ずっと気にしてたじゃねぇか。どうせ自分のせいだとか思ってたんだろ」
『...』
あの日、事故にあった日。滅多に外に出ない俺が どこか出かけないかと提案した。 本当に珍しいことだったらしく、赤葦も目を丸くして驚かせていた。だから、張り切っていたのだと思う。その帰りに事故にあって二人は死んだ。責任は少なからず感じていた。あの時俺が出かけようなんて言わなければ今も赤葦は生きていた。クロを一人になんかしなかった。
「言っとくけど、お前のせいなんかじゃねぇからな。あれは事故。誰のせいでもなかったんだ。」
『......分かってるよ...。ただ、赤葦の事が気がかりだっただけ。』
初めてクロ以外に出来た、気を使う必要のない友達。あの人への想いも一番そばで見てきた。だから、気がかりだったのだ。死んでからもずっと。未練は案外簡単な場所にあった。
『いいの?クロは。』
「おう。赤葦が待ってるぞ」
最後に振り返る
『クロ


またね。』


「ああ、またな。」
柄にもなく涙を浮かべている唯一無二の幼なじみに別れを告げる。
次も、また。彼の幼なじみとして生きたいと、心の底から思った。 あとは、あの二人のことだ。

神なんて信じないけど、どうか。
あの二人がまた会えますように。


孤爪研磨

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