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*7*
ゲーンの部屋に戻った2人は、またケージの中にいた。
恐らく、彼がいなくなった事に気付き、邪魔をしようとしているに違いなかった。
でも、もう彼等は何も怖くない。
すぐさま最初の島に接続すると、今度は床が上がっていたが、こんなの子供騙しだった。
橋を下ろし、そこからゲートルームを抜けて、裂け目を開ける機械を探そうとしたが、それもすぐに見つかった。
「これか。ちゅう事は、その解除コードって言うのをここに入れる、ちゅうわけやな」
「ああ。え~っとコードコード……有った」
コナンがコードを入力すると、それは開いた。
「よし、後は、このレバーを下に向けて、ボタンを押すと」
「ガウウウウ」
という不気味な音と共に、下へやっていると、リールが有る事に気付いた。
「ちょっと待て」
「ん?どうしたリール?」
とコナンが聞くと、彼は、つっかえ棒を外した。
「これで良しだ」
そしてそれからどんどん降ろす。そして、後一回で全部が終わる時、コナンがスコープを覗くと、そこには満点に広がる綺麗な白い星が見えた。
「うわ~すげ~」
「ホンマや」
という2人をリールが残念そうに見ていた。
後1回で、この全てを終わらせないといけないからだ。
そして、コナンは最後の一回を押した。
すると、ガラスが割れ、空気が吸い込まれると、スコープが吸い込まれ、辺りは暗くなり、稲光が鳴っている。
もうこの世界は崩壊する。
既にゲートの側に有ったモエティの剣も落ちた。
と、そこへ、アトラスが走って来た。
「もう時間がない。キャサリンはどこだ? そして本は」
「アトラス!」
と、彼女は階段から降りて来た所だった。
2人はハグをかわし、喜び合うと、ゲーンを捕らえた本を見せた。
それからこちらにやって来る。
「皆レべルの時代に行ったわ。もう大丈夫よ。ありがとう」
「私からも礼を言うよ。期待していた以上の大成功だ。私の全てを取り戻してくれた。さ、私達の道はここに」
と、アトラスは接続書をキャサリンに見せ、彼女あhそれに触れて接続し、「さあここでお別れだ。またきっといつか会おう」
「会おう、ちゅうたかて、俺等別の時代の人間やのに、無理やろ?」
「そんな事はない。必ず、会える時が来る事を私は信じている。それまでは、サヨナラだ」
と言うとアトラスが接続すると、接続書は、裂け目の中に消えた。
「お、おいアトラスハン」
と、平次は飛び込み、コナンとリールが続いた。このままこの接続書が、またいやな奴に盗られてはいけないと思ったからだ。
だが、裂け目を抜けた時は、本当にまるで宇宙空間にいる様だった。
その時、アトラスの声が聞こえた。
「今、私は全てを理解した。始まりと終わりはいつも裂け目に有るのだと。
リヴンの時代は永遠に幕を閉じたが、人々は自由を手に入れ、そして、私にも休息が訪れた。これからの事を考えながら。そして、できれば、また願っていた。
星の中を落ちていきながら、ず~っとそんなアトラスの言葉が、自分達に流れて来ていた。
そして、どのくらい落ちただろうか?下から青い光がひび割れながら、こちらに近づいて来ていた。
「な、なんや!?」
「まぶしい!」
と、平次は咄嗟にコナンを抱きしめた。
すると、青い光の玉が、下に見えた。そこは、もう夜になっており、いつのまにやら、自分達の住む世界へ、帰って来ていたのだ。
「ここって……米花町? なんで……」
「どうやら帰って来れたみたいやな」
「てか、なんなんだこの青い光は」
「わからんけど、とりあえずどこ行く?」
と、平次は言うが、この位置からでは、警視庁しかなかった。
「警視庁しかないだろ?この高さだと」
「せやな……ってどうやってこれ操るんや?」
「俺がなんとかしよう」
と、リールの目が光り、その玉を自由に操り、ビルの間を抜けながら飛ぶ。
「お前こんな事も出来るんかいな?」
「まあな」
「あ、そうだ。そこを右に行ってくれ」
「ん?ああ」
玉は右へ曲がると、なんと毛利探偵事務所に着いた。既に高木刑事と佐藤刑事がいた。
「やっぱり、俺等の事で集まってる」
っと、コナンが言った時、蘭がこちら側に気付いた。
「あ~~~~~~!!!コナン君!服部君!」
「平次? ホンマや平次もおるん!?」
「2人共何やってるのよ! それになんで青いボールみたいなのに入ってるの? そのハムスターは何?」
と、2人に色々言われ、困っているとリールは、
「降ろした方がいいか?」
と言って来た。
「ああ。頼むわ。後が怖いけどな」
と言うと、リールは玉を下に降ろし、同時に玉は破裂して消えた。
そして、また、定位置である平次の肩に乗った。
探偵事務所から出て来た2人は、とりあえず、大人数になってしまったので、1階のポアロで夕食を2人に奢り、それで何とか落ち着かせた。
そのガッツ気プリに和葉と蘭は、言葉が出なかった。
つまり、2人共に、ろくな食事を食べてなかったという事になるからだ。
そして、ようやく落ち着いた2人に、まずは目暮の質問からスタートした。
「それで、君達は本と一緒に消えたという事だが、どういう事かね?」
「まあ、そのままの意味やけど……信じてくれるかどうか怪しいからの~」
と言うと、和葉が、
「んまあ。私も平次がいきなり本持ったまま消えてしもて、どうなったんか分からん状態やったし」
というと、蘭も
「あんなの目の前に見せられてたら、信用したくもなるけど」
「まあ、目撃者が3人いるわけだが、一体何があったんだ?」
と、目暮の言葉に、高木も、
「えっと、蘭さんの話だと、偶然上を見上げた毛利さんの頭の上に、固そうな本が落ちて来て、偶然それを触ったコナン君を助けようと追いかけた時、本をつかんでいた為、一緒に本に吸い込まれたという訳だね」
「そうや。まあ、その後やな。めっちゃくっちゃ大変な思いしたんは」
「大変な思い?」
「何が有ったの?」
佐藤刑事の質問にコナンが答えた。
「えっと。これから話す事だけど、笑ったりしない?」
「え?」
「なんでそんな事聞くんだい?」
「だって、このお話は、現実世界ではありえない事だからだよ」
「現実ではありえない?」
それを聞いた小五郎は、コナンの頭にゲンコツを落とした。
「心配バッカさせあがっておとぎ話ごまかそうとすんじゃねえ!!」
「だ、だって本当の事なんだもん」
「小学1年の話す戯言なんざ、誰も聞きゃしねえよ」
「警部どの。これは私の推理ですが、何やら2人共、脳に何かをされた形跡があるかどうか、調べてみる必要があります」
「うむ~確かに信じられるほど重要な物なのだがな~」
という目暮に高木も、
「で、でも毛利さん。コナン君の持っていた鞄の中には、何か暗号らしき物が、こんなに出てるんですよ?」
「それに、この日記みたいな物も持っているので、我々としては、ちゃんとしたいんですけど……」
「それにおっちゃん!なんで平次の頭が悪いって決めつけんねん!」
「そうよ! コナン君だって無事に帰って来たわけだし、それに、そのノート。誰かが書いたノートだと思うし……」
とその時、完全に暗くなっているのに、気づいた目暮は、
「とにかく今夜は遅い。明朝、コナン君と服部君には、一応脳検査をしよう。だが、これは頭が悪いとか、そう言う事ではなく、何が有ったかを知る為だから、そこは勘違いしないでくれ」
そして全員が解散すると、蘭とコナン、平次と和葉とで寝る事にし、ハムスターは仕方ないため、平次の部屋に引き取る事になった。
こうして、ようやく長い旅を終えた彼等だが、話を信じてくれたのは、高木だけだった。
そして、明朝検査を受けた2人だが、やはり、どこにも異常は見つからず、結局そのまま平次と和葉は大阪に帰った。
だが、今回の事で、小五郎の事を悪く思ってしまう和葉と蘭であった。
そして、コナンも、
「この手に話は、おっちゃんにしない方が良いなと改めて思った。