完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*8*
すっかり朝になっており、馬車は進む。長老様のくれた物を使い、目的地を決めていた。
「まずは、リミールタウンに向かいます。そこで、この野菜を市場に届ける様に言われているので」
と言うと、美穂は言う」
「そこで仲間は手に入るの?」
「分かりません。ですが、水晶が光れば、仲間に会えると聞いています」
「へえ~」
「あ、見えて来ました。あそこです」
「あれ? 以外と近いのね」
と音光が言うと、その地形に関して、村人が詳しく教えてくれた。
「ここの地形は大昔に神が作った土地に、動物達を放し、その生態系でこんな土地になったと言われています」
「へえ~こんなとこにも、そんなもんがあんだな~」
と豊が言うと、何となく杖を見る。
自分の分身の様に、あの時力を貸してくれた。
今度はどうなるか分からないが、なんとかしようと考えていた。
そして、皆も選ばれた道具を見た。
特に理沙の方は、魔法書になっており、彼女は何の気なしにページをめくると、色々な事が書いて有り、元々物語好きな彼女にとっては一番良い物を貰った様な物だった。
そして音光の方は剣を見た。
あの時、がむしゃらに戦ったが、今度はがむしゃらでは済まされない。
キチンとした剣術を、何処かで学ばないといけないのだ。
「どっかにないかな~? 剣術教えてくれるとこ」
「あ、そっか。お前剣持った事ないもんな~」
「うん。だから、少し自信がないの。私、剣士じゃないから」
これには豊も同意見だった。
自分もいきなり杖を渡され、あの時は思いついたように戦っただけだ。
それではいけないと、皆が思ってた。
と、その時美穂が武道具を見ると、彼女もやっぱり不安な所があった。
「そう言えば、美穂は武道具だったわよね」
「ええ。パソコン関係ならいざ知らず、武道具ですもん。しかもいきなり。これもどこかで習わないといけないわね。いつまでも、道具の「力だけに頼らないで、自分自身で技が出せる様にならなくちゃいけないと思う!」
「皆さん熱心なんですね」
と、村人に言われると、村の入り口で馬車を止めた。
「スイマセン。野菜の箱、下ろすの手伝ってくれませんか?」
「お、おう」
「わかりました」
と、理沙を除いて皆が手伝うと、その様子を、何処か寂し気に見ていた。
自分の体が弱い事は分かっている。だから最前列でなく、後方支援のこれになったのは何となく見当がついた。
「これが、私の力? これで私は戦える。でも、皆の足を引っ張りたくはない……」
と言って、本をギュっと抱きしめた。
皆を助けられる力が欲しいと願った時、本が緑色に光、彼女を包み込む様になった。
そして、それから数分後、イルミーエリシアが、理沙を呼びに来た。
「理沙さん。ご飯ですよ~」
「え?」
と言った時、
「グ~~~」
とお腹が反応してし待った。
そう言えば、旅に行く準備でバタバタしていた為、ご飯の事を忘れていたのだ。
そして、食堂に入ると、野菜は別の町だが、卵やミルク、肉などは、ここで採れたばかりの者で、ご飯は炊き立てで、本当に美味しかった。
理沙は思いっきり食べた。
そして皆もがっつき、その様子を、ここの馬の世話をしており、将来の夢が召喚士という変わった女が、ずっとこちらに視線を向けており、それに豊が気付きだすと、慌てて視線を逸らすが、また見てしまう。
「どうしたの? 豊」
「音光が聞くと」
「あそこの女、ずっとコッチ見てんの」
「そりゃ私達は、異世界から来たから、珍しいんじゃないの?」
と言ったその時、あの宝石とは別の水晶が光ってい事に、美穂が気付いた。
「あ! 反応がある」
と美穂は全部平らげると、とりあえず、お金を払って、次の目的地までどうするか決めていると、さっきの女が出て来て、こちらを見ていた。
「何なんだろう? この感触。行きたいって事なのかな? でも、どうすれば……」
「ホッホッホ。ついにお前さんにも、旅立ちの時が来た様じゃの」
「アルファバア。どうしてここに? 店は?」
「な~に漬物を貰って来て、帰る所だったんじゃ。どれ、あ奴等も占ってみるかの。呼んできてくれんか? わしの居場所は分かるな」
「あ、うん……でもどうすれば……」
と、困っていると、イルミが気付いた。
「? どうしたの? お姉さん」
「ギク!」
「あ~お前だろ? さっきから俺等の事見てたの」
「あ、いや、その……う、占いとかって、信じます?」
と、しどろもどろする、ラマースは、なんとか必死だった。
村ではちゃんと話せるのに、どういうワケか、彼等の前でこんな態度に出てしまうとは思わなかった。
「え、えーっと……旅、してるんですよね?」
「おお。つか、誰だお前?」
「あ、ああすいません。ラマース・ハレスで、い、今はこの村にいるんですけど、将来の夢は召喚士です」
「へ~そりゃ立派な夢だけど、召喚した事は?」
「あ、まあ仕事都合で何回かやった事はあります。それで、お声をおかけしたのは、皆を占ってくれるって言う人がいるんです。で、連れて来てほしいって頼まれちゃって」
「なるほどな。で、どこなんだ? それ」
「そこです」
と、小屋の1つを指さし、入ってみると、そこはいかにも占い師がいそうな部屋だった。
「アルファバア。連れて来たよ」
「ようこそ。アルファの館へ。お主等、何人かは異世界から来たようだ。しかもその世界は滅び、こうなっておる。
「!」
と、皆がビックリしてみると、そこはもう、完全な幻想世界にされ、元からいた地上の人達は皆奴隷にされ、働かされていた。
そして、城の玉座には、エインガーヘイトレイドと
魔王、エス・バラードがいた。
「あいつ! ついに地上を制圧して、あんな事を!」
「コレ、あの人達に見せた方が良いと思う!」
と、皆が決めた時、彼女は、次の占いを始めた。
それは、これからの皆の仲間になる者達で、やはり召喚士志望の彼女も混ざっていた。
「フムやはり、お前も混ざっておるの~彼女も連れて行っておくれ」
「え? でも……」
「お主ももう子供ではない。もう旅立ちの時じゃ。両親には話しておるのじゃろ?」
「うん。でも、まだ子供だからとか、家の手伝いとかって、言われて、ずっと……」
「ため込む必要はない。ラマースよ。すぐに支度をしておいで、彼等と一緒に行くのじゃ!」
と言われ、彼女は皆を見ると、興味深々の顔で見た。
すると、この中で、最年長の彼が言った。
「俺達は、村の外で待ってる。決めるのは君だ。もっとも俺達は、この武器に選ばれた身だ。だけど君は違う。ちゃんと自分の意思で戦うだ。
「戦う?」
「そうだ。あの魔王が、何もなしで、地上へ出たとは考えにくい。恐らくこの世界にも配下を残して行っているはずだ。そいつを倒す為にも、君の力が必要になる。よく考えるんだ」
「あ……あの、あんた……」
「あ……」
「ワリィ自己紹介まだだった」
「ズコー!」
と、これにはアルファバアもひっくり返った。
で、皆は自己紹介を終え、村の入り口にある場所から、旅向けの馬車を借りる必要が有った。
そして、それ専用の馬も必要になるのだ。
一方その頃、しずか達も、彼等が出て行った事を知り、馬車で追いかける事にした。
本来なら、ここで治療したいのだが、それでも彼等について行かない限り、エインガーヘイトレイドを止められない。だから行く必要が有ったのだ。
長老様に、馬車を貸してもらい、なんとか出木杉としずかが乗り、ドラえもんは、その後を付いて行く格好になった。
そして、その馬を走らせていると、分かれ道でどっちに行ったか分からないでいた。
するとその上に、赤紫の霧が出て来た途端、馬が暴れ出し、皆は落ちると、その一帯の空間だけが、完全に別の物になってしまった。
「フフフフ。お前達か、エインガーヘイトレイド様の邪魔をしようとした者は」
「ど、どうしてそれを!?」
「私はその方からこの体を頂いた。暗黒の王女ダークネスプリンセスよ」
「あ、あの、あなたはその……」
「言いにくそうね~。そうよ。あの名前を言ったら今度こそ、殺すわよ! 今のあの方にとって、お前は消すべき存在になった。もう、お前を好きに料理して良いとおっしゃった。お前は裏切った。憎むべき対象だとおっしゃった。さあ、この場で死ね!」
と、彼女がしずかに攻撃して来た時、ドラえもんは素早くひらりマントで跳ね返したが、そんな事はとっくに向こうにはお見通しで、あっという間に、避けられ、更に攻撃をしてくる。
「なんてしつこい奴なんだ! 出木杉君はしずかちゃんを守って」
「え? でも、そんな所を見られたら、今度は僕等が殺されちゃう!」
「ウ~ン何か手は……そうだ! ここで通じるか分からないけど、集まれ! ドラエモンズー!!」
と、言うが、なんの反応も無かった。
「あ、あれ~!?」
「ウフフフフ。何をやっても無駄よ。さっきのヒラリマントは完璧なまぐれ。もう仲間はいない。とりあえず、この馬は村に返しておくわ。あの方は、人間以外は殺すなって言っているから。残念ね~頼みの道具が使えなくて。さて今度は、あの女を使って楽しい事をしましょう~」
「やい! しずかちゃんをどうするつもりだ!」
「ウフフ。それは見てのお楽しみ。ウフフ」
と、彼女は笑うと、しずかを空中で貼り付けにし、服を脱がせて、彼女を起こすと、彼女は逃げようとした。