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多重の図書館 eternal story
作者: 日影@hikage  (総ページ数: 10ページ)
関連タグ: eternal story フィクション 
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*9*


  最終回 十四🔷作戦決行ー裏切り

「始めよう。人類の終わりを、そして緑の世界の始まりを」

「あるものの始まりにはなにかの終わりがついている。そして何かの終わりにはあるものの始まりがつきまとっている」







来てしまった。七月二十九日。皆は清作の作った透明な足場(700cm²くらい)に立っている。今はハジマリが進行している。……まって清作と木星ちゃん、あとあの子供がいない。でもみんな気が付いていない。なんで。
「ねえ清作君と木星ちゃんと子供がいなくない?」
と声をかける。けれどみんなが反応しない。そこでハジマリが
「作戦開始!」
と言ったらみんなが飛んで行った。神は空を飛べる。その数秒後みんなが墜落していった。制御ができないかのように。残ったのは私とハジマリ、どこにいるかわからない木星ちゃんと清作君と子供だけ。地面にみんなが突き落とされた。生きているか確認できない。自分たちの能力が発揮しない。
「みんなをどうしたらいいの。力が使えない。使えたとしても何も役に立てない」
「私も何もできない。こんなものあったけ」
そこにはお茶が置いてあった。私とハジマリは治るかもしれないと飲んだ。
「ねえなんか眠くなってきてない?」
私は
「うん」
と答える。
「よかったねえ。もう君たちは何も役に立たない人間だ。永遠の眠りの味を味わっておいで」
そして激痛と強烈な眠気が走ってきた。お茶はハジマリの仕業だった。
「痛い……眠い……何をした…の……」






「よし。うまくいっている。協力ありがとう。ハジマリ」
「陰キャごっこ疲れた~」
意識が戻って寝たふり状態なんですけれど、どういうこと、これ。とにかくやばいってことは把握。陰キャごっこって何。私達をだましてたの?私はどうしたらいいの。私は力が出ない。出ても何もできない。

「えっあれ何。こっちに飛んでくる。変な物体は」
こっちにミサイルみたいなのが飛んできている。どうしたらいいの。このままだと……

こんな時ふと、私は今記憶を思い出した。俺は私ではなく僕だ。たくさんの色があるきれいな葉っぱ。ここの魂がもう一回あの異世界に行くことになるだろう。おそらくあれは敵軍の対神用の毒ガス。…でもあれもふり。

「わかってんだよ。おいシディ。じゃなくて幸多。おまえだろ。落ちたふりなんてして」
と言った。


「何のこと。っていうか起きていたの」
木星が言った。


「そんなことしても無駄だぞ。俺がこいつらの首を絞めて殺してやってもいいんだからな」


「そんなのできるわけ…」


木星の首に手の跡ができた。


「おい何をする」


「本性明かしたら止めてやってもいいけれど。まさかこんなことをしているとはなシディ」


幸多は両手を挙げた。
「なにかはわからいがやめてくれ。すまなかった。この通りだ」


僕は言う。
「自分はシディということ以外に隠していることがあるよな。お前は幸せの神ではない。僕が幸せであってほしかった幻の神だ」


「君はすごいね。私は今やったことに後悔している。だから今ここから飛び降りるよ」
とハジマリが言った。

そんなことさせてたまるか!

自分の隣に現れたのは何でもない僕たちのような神。氷と雷の神。林 凛だった。
その後悪さをした四人の足を氷で固めそれを僕が能力で持った。
僕の能力は天気を操れるではなくものを操れるだ。

ではなぜさっき首を操れたのか。いや正しく言うと清作が作った透明な足場だ。あれを自由に手の形にした。力を入れるために氷で冷やした。あれは冷えると縮まる性質があるかと思って一か八かやってみた。可能性はあった。あれは人形で使われていた性質だったのだ。人形は着色剤を使ってできていたと思った。触った感じ同じだったからだ。

なぜ幸多がいるのか。それはあの子供。あれは人形のようなもので受け身をとるためのハジマリが作った道具。そこから自分が落ちそうな魂のない方をハジマリに取ってもらい同じように魂を移住させたから。

落ちた人たちは落ちている速度ときょりを考えて凛にいつつくのか計算してもらい、落ちかけ寸前で能力で持ち上げた。だから安全。

これにて落着、だと思っていた。走馬灯が流れるまでは。ミサイルは本物だったのだ。対能力者用の秘密兵器だったのだ。こんな所で死ぬわけにはいかない。けれどもう仕方ない。次世代のクローンに任せるか。僕の記憶はどうなっているか知らないけれど。なにせ、死んだ人は生き返らないからな。

誰が生き残っているか。それはまたいつか。わかることになるだろう。







こうして神の幕は閉じた。

けれどこれから新しい幕は誕生する。

この戦争が終わるのは何十年後なのだろうか。いや、何百年、何千年後の話になるのかもしれない。

神より強き、神が滅びるときまで。


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