コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 私、僕と
- 日時: 2016/08/20 20:45
- 名前: ゆきらん (ID: 4IM7Z4vJ)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11477
- 『僕の中で、私って何かが渦巻いているんだ。』 
 初めまして、ゆきらんと申します。
 性別の転換現象が起きた世界で、主人公、遥輝の友情や恋愛を書いた物語です。
 シリアスや少しエッチなのもちょっと出てきます。
 多分そこまででは無いと思いますが...
 プロフィールに書いてある、小説家になろう様でも連載させていただいております。
 そこに追いつくまでは毎日投稿予定です。
 ではでは宜しければご覧くださいませ。
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- 変化の日 ( No.5 )
- 日時: 2016/08/20 20:42
- 名前: ゆきらん (ID: 4IM7Z4vJ)
- 朝。昨日早く寝たからか、少し早くに目が覚める。時計は長針と短針が真逆にある。今から起きるのは早い。でも二度寝すると遅いな、等と考えていると、身体の違和感に気付く。 
 服が大きい。
 僕が縮んだのか?そんなこともないだろ。そしてもう一つの違和感にも気付く。
 息子が元気じゃない。
 というか、無い。それはつまりそういうことなのだろう。
 僕は昨日用意しておいた着替え—今となってはぶかぶかになった着替えを手に取り、一階へ降りる。
 「遥輝ー?起きたのー?」
 母の声を無視し、洗面台へと行く。鏡に写る姿はいつもと違う自分の姿だった。高校二年生の後半女子。身長は縮み、体系は普通だが、顔も普通の女子。可愛いとは言い難い。
 「あー…」
 声もタイムスリップした様に高い。女子の声だ。
 そう、僕は—女子へと姿を変えていた。
 「今日は早いのねー。そうそう、お父さん今日はいるわよ。」
 後ろを向いたままの母が言う。まだ聞いていない。というか、声が出ない。
 「そういえばニュースで面白い速報やってたわよ。今日、世界中で性別の転換現象が起きたって。ホントなのかしらねー。」
 知ってるよそんなこと。と思いつつ、なぁ、と一声掛けてみた。
 僕自身驚きはほぼ無い。ただただ僕の世界には、劇的な変化が起きたみたいだという、喜びに似た感情しか無かった。
- 変化の日 2 ( No.6 )
- 日時: 2016/08/20 20:43
- 名前: ゆきらん (ID: 4IM7Z4vJ)
- 学校は休んだ。他にも同じ現象が出た人はニュースのとおりいたらしく、二つ返事で了承を得られた。母に呼びかけた後、驚かれはしたものの 
 「あんたはやっぱあたし似ねー。」
 なんて呑気なことを言われた。
 今は母に言われるがまま病院に来た。服は昔の服を引っ張り出して何とかなった。病院には、身体に合ってない服を着て、落ち着かない様子の人が多いことがわかる。個人的に、病気では無いことはわかっている。けど、父親が起きてくる前にどこかへ逃げたかった。悪い人では無いが、古い考えのあの人には、何を言われるかわからないし、面倒だからだ。
 まだ病院は、人が増え続けている。
 『湊さーん。湊遥輝さん。一番へどうぞ。』
 初めの方に病院に着いていた僕は、待つことも無く呼ばれた。が、やっぱり成果は無かった。
 「ニュースでやってた現象ねぇ…前例も無いし、何もわかってないんだよ。悪いけど、政府とかの発表を待ってくれない?」
 それに対し、はぁ、わかりました。としか答えられなかった僕は、そのまま病院を後にした。
 さて、どうしようか…
 そんな考えが頭を埋め尽くす。恐らく母も今日は休みだろう。時間はもう10時半。父も起き、説明をされたころだろう。今帰らなくても、夜には鉢合わせになる。苦し紛れだけど、幸い胸もそこまで無いので苦しくは無い。
 それでも最優先は、服、だと思う。わからないけど。何しろ僕には女子の経験が無いのだ。大きく変わったことでもトイレはなんとかなった。今は他に思いつかない。隣駅のショッピングセンターにでも行き、服を買いに行こう。そう思い、母にLINEを送ろうとし、スマホを取り出したところ、明からメッセージが届いていた。
 『遥輝どうしたー?まさかお前も女になったのか?(笑)』
 『そうだよ。文句あるかよ?』
 まさか、というかこのタイミングならそうだろ。と思いながらも、LINEを返す。すると、授業中の時間であるにも関わらず、即座に返ってきた。
 『マジかよ(笑)もうオナった?』
 僕は苦笑しながら読んだという証だけ残し、他のSNSを開く。
 『世界中で性別の転換現象。神の悪戯か?原因分からず。』
 『…国トップまさかの女性初に。』
 なんて、話で、やはり持ちきりだった。流れていく時間をただただ眺めながら駅に向かって歩いていくと、母からLINEが入る。
 『一度、帰って来なさい。』
- 変化の日 3 ( No.7 )
- 日時: 2016/08/20 20:44
- 名前: ゆきらん (ID: 4IM7Z4vJ)
- 「…遥輝なのか?」 
 「…そうだよ。」
 家に帰った僕は、既に席についていた父の向かい側に座った。僕の姿を見たとき、父は表情こそは変えなかったものの、その驚きは隠しきれてはいなかった。当たり前だろう。この年まで育ててきた一人息子が、一人娘へといきなり変わったのだから。
 「まさか、俺に娘が出来る時が来るとはなぁ…」
 少し笑みを浮かべながら父は呟く様に言う。僕に無い原因で怒るような、そんな悪い人では無いのだ。
 「遥輝。」
 「ん?」
 「性別適合手術を受けろ。」
 言われると思った。父は、こうだと決めたら変えない、揺るがない人、つまり頑固なのだ。それは息子—子供の性別も一緒なのだろう。変化を望まない父は、変化したものは戻したい。そういう事なのだろう。母は黙っている。
 僕は父のその提案、というか命令に断る理由も断らない理由もあった。世界の変化は望みはしたものの、いきなり女子になっては障害も大きい。しかし
 「嫌だ。」
 断らない理由の方が、僕の中では余りに小さく、微かにしか存在していなかった。
 「嫌だじゃない。受けるんだ。」
 少し語調が荒くなった。すぐに熱くなるのもこの人の特徴だ。でも、いきなり出てきた父親に決められる筋合いも無い。
 「手術が出来るのは20歳からだよ。せめて、大学に行くまでは待って。」
 どうせ言われるだろうと思った僕は、来るまでに少し調べておいた。ホルモンというのもあるみたいだけれど、父親は、知らないだろう。
 「もちろん、する方にだろうな?」
 「わからない。」
 おもむろに父は、椅子から立ち上がり、僕の方に来る。そして、拳を振るった。
 「お父さん!」
 母が叫ぶ。ああそうだ、この人は—昔からこうやって従わせようとする人だった。僕は黙り、殴られた頬を抑えながら睨む。こんな時だけ口を挟もうとする父に嫌な感情を持ちながら。
 「…大学までは待ってやる。ただし、その時には絶対やれ。」
 そう言い捨て自分の部屋に入り、勢いよく扉を閉める父。もう僕の反論なんか聞くつもりも無いみたいだ。
 この身体で受ける痛みは、前に比べて大きい気がした。女を殴る男なんか最低。とよく言われているけど、今の僕はどちらなのだろうか。母に慰められながら思った。
- 買い物の日 ( No.8 )
- 日時: 2016/08/22 06:25
- 名前: ゆきらん (ID: 4IM7Z4vJ)
- 次の日 
 次の日も、僕は学校を休んだ。というか、色々と整うまで三日間、この現象に巻き込まれた人は仕事や学校を休むことになったらしい。政府の発表だ。三日間と言えど、土日を挟むので五日間だけども。
 自然性後天的性転換症—
 それとあわせて発表された病名だ。名前を付けないと納得できないお偉いさんたちが無理矢理つけた、というのがわかる。病院に行っても何をしても治るはずが無いこれは、病気では無い。やっぱり僕はそう思う。
 僕は今日、先日行けなかったモールへの電車に乗っている。幸い父に殴られた箇所はそこまでは目立ちはしなかった。どちらかといえばダブついている服の方が目立っている気はする。まあそういう事だろうと分かっている人も多い気はするが。
 「おー、日向。」
 僕は、駅で待っていた日向に声をかける。あの後の夜、日向からLINEが来たのだ。明から聞いたのか、状況の事はもう知っていた。
 『女の子になっちゃったんだって?大変じゃん(笑)』
 という他人事から始まり、
 『だったら私も一緒に行ってあげるよ!わからないでしょ?』
 ということになり、共に行くことになったのだ。ちなみに学校は友達の命が危機だからと言い休んだらしい。どこの漫画のヒロインだ。そのせいで、朝から野郎どもからのLINEが大量に来ていた。お前日向とどこ行く気だ、と。女子の秘密と言って、適当に返信をしておいた。
 「…うっそー、ほんとに遥輝?」
 「ほんとだっつの。ほら、行くぞ。」
 「うわー、私よかちっさーい。」
 「置いてくぞ!」
 一日振りに会う日向は、僕より大きくなっていた。というか、僕が20cm以上縮んでいたのだった。早足気味に歩いてはいたけれど、ゆうゆうに追いつかれてしまう。ちなみに靴はサンダルを履いている。クロックスの。とても寒い。店までは5分くらいだ。
 「てか服位俺でもわかったっつーの。」
 「そんなこと無いでしょー?どうせ適当に済まそうとか考えていたくせに。」
 「うっ…」
 図星である。ユニクロとかで適当にでもと思っていた。そのうち知っていきそうなのだから、とりあえずは、と言ったところだ。
 「ご教授願います。日向様。」
 「よしよしそれで良い。てか、なんか女子にそう呼ばれるのもアレだな…」
 「ん?」
 「苗字で…よし、今日から私の事を名前で呼べ!」
 「…えー…」
 男にとって、女を名前呼びするということは少しハードルが高い。小学生の時とかはそれが普通だったはずなんだけども、いつからだろうか。それはこの身体になってもそのまま変わってはいない。
 「そんな嫌そうな声を出すな!付き合ってた時も苗字だったよねそういえば…」
 「だからなおさら嫌なんだって!」
 「もー…付き合ってたことバラすよ…」
 「止めろ時華!」
 最終兵器を使われた僕は、時華—日向時華の名前を口にした。口から出る音は女子のそれなのだから特に変なことは無いのだが、その音を発するのは僕だ。なんか恥ずかしい。
 「はいよく出来ましたー。」
 「それされたら俺殺されるから…」
 「大げさだなー。よしじゃあ次。俺っていうのかえよーよ。」
 「いっいや、それ変えたら俺のアイデンティティが無くなる!」
 「んー、まあそれもそうか。」
 男子だもんねーと笑いながら言う。
- 買い物の日 2 ( No.9 )
- 日時: 2016/08/24 22:37
- 名前: ゆきらん (ID: 4IM7Z4vJ)
- 「…女子の服ってこんなに高いのか?」 
 「手ごろな方だよ?ここ。」
 時華に勧められるままに、僕はモールの少しお洒落なお店にやってきた。平日昼間ということもあり、空いてはいるものの、女子大学生らしき人、若しくは同じ境遇であろう人達がそれなりにはいた。元男の僕には入り辛かったけれど、
 「これからそんな事多いんだから修行だよ修行!」
 と言う時華に押され、入ったのだった。そして最初に戻り、
 「俺予算3000円なんだけど。」
 「遙輝…何買おうとしてたの…」
 ほんとにとりあえずというつもりで来た僕は、シャツとズボンを買えるだろうと思った金額しか持ってこなかったのだ。しかし、シャツ一枚買ったら他なにも買えない、という現実に直面し、唖然とした。
 「はー…とりあえずここは奢ってあげる。諭吉は何人か連れてきてるし。」
 「えっ、マジで?サンキュ「後で下ろして何か奢ってね、遥輝。」
 言い終わる前に言われてしまった。まあ…そりゃそうか。てかそんなに持っているって、こうなること分かっていたのか?
 「とりあえず…どんなのが良い?」
 「どんなのって…」
 「ある程度決めていたんじゃないの?」
 「決めていたけれど…」
 正直、メンズの服と似たようなののサイズを小さくした物を買おうとしていた。それ以上は何も考えていなかった。
 「それは考えてたって言わないって!」
 「すみません…」
 「私が適当に見繕うから、文句言わないでね?」
 「あのー…」
 「何?」
 「スカートはまだ早いかなーって…」
 「どうせ制服スカートでしょ。慣れだよ慣れ、修行修行!」
 確かに、そういえば制服どうするんだろう。スカート姿は明たちには見せたくないな…
 「んー…遥輝サイズいくつ?」
 「いや、あーそっか。わからないな…」
 「…多分、Sかな。私より小さいし。」
 「なんか敗北感あるなその言い方。」
 そう言って時華がかごに入れたのは二つのスカートとタイツ。前々からなんとなく思ってたけど、タイツって寒くないのかな今の季節…
 「あとは上だけど…まだ11月だしシャツにパーカーで良いかな…」
 「まだって、これからも着れるのじゃないの?」
 「とりあえずって言ってたでしょ。大丈夫頑張れば一月までは着れる!」
 確かにとりあえずとは言ったけど…また来るのか…そう思う僕を後目に、時華は悩みながら品物をかごに入れていく。
 「まあこんなもんかな。また近いうちにこれ参考にして買いに来なよ?私が付いてっても良いけど。」
 「あー、うん。困ったら呼ぶよ…」
 かごを持ち、レジへと向かう時華。僕はそれに忠犬のように付いていく。が、手前で飼い主は立ち止まる。
 「どしたの?」
 「大事なもの忘れてた。」
 「何?」
 「下着。」
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