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- Re: Eternal flowerー花言葉と君と。ー【挿し絵付!】 ( No.44 )
- 日時: 2015/01/08 20:12
- 名前: 彼方 (ID: EM5V5iBd)
- 第五章*白いゼラニウム* 
 私はパラパラッと花言葉の本をめくった。
 めくって、めくって……、
 「見つけた」
 ぴったりな花言葉を持つ花が。
 その花は、ゼラニウムという花の中でも白い色をしたもの。
 カップ状の小花がボール状に多数集まって、長い花茎の先端につきます。
 花言葉は__、
 「あなたの愛を疑います」
 だって、到底信じられるものじゃない。何で?何で私なの?
 でもこれは、期待への裏返しだったりする。期待してる、してるんだけど、もしそれが違った時、すごく悲しくなるから。
 だから、傷つかないように、傷つかないように、と逃げの一手を打ってしまう。
 だって、失敗したくない。多分、初めての恋だから。
 毎日毎日、名前も姿も声も何もかも知らない「彼」のことが気になって仕方ないのだ。
 誰に向けたものでもない、 「寂しい」という思いに対して、「癒してあげます」なんて思いを返してくれて。更に「本当に愛している」なんて思いを伝えてくれて。
 この狭い狭い世界で生きている私に、希望を差し出してくれた、そんな「彼」を好きにならないわけがない。
 馬鹿だろうか。会ったこともない人を好きになるなんて。そんな人に本当の愛を求めるなんて。
 おかしいだろうか。世間知らずだろうか。間抜けだろうか。
 でも。それでも私は__、
 恋をしてしまったのだ。
 「彼」はどんな姿をしているんだろうか。どんな声をしているんだろうか。どんな名前で、どんな職に就いていて、どんな家族がいて、どんな……。
 ふと、アイビーの笑顔が思い浮かぶ。
 私はそれを振り払うように強く頭を振った。
 違う。アイビーは、ただ職務を果たしているだけだ。アイビーは関係無い。全く関係ないんだ……。
 自分にはほとほと呆れる。会ったこともない人に恋をして、自分の執事にすら淡い期待を抱いてしまう。
 あれ。
 アイビーに出会ったのはいつだっけ。
 確か、5、6年前の爽やかに晴れた冬の日だったと思う__。
