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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒 猫 彼 氏 . ( No.5 )
- 日時: 2015/11/03 09:49
- 名前: 向日葵 ◆.AJPkz4dwk (ID: SHYi7mZj)
 【Story 1.】
 12月上旬。制服のスカートから伸びる足を苛めるかのように、冷たい風が体当たりを繰り返す。
 白いマフラーに赤くなった鼻の位置まで顔をうずくめた私は、神宮寺 雅。「草繋(Kusanagi)高校」に通う1年である。
 「さっむ……、」
 私は〝ある人〟の家の玄関の前に立って、とてつもない寒さに凍えていた。
 何時もの時間になっても家から出てくる気配のない〝ある人〟とは、私の彼氏の事を指している。
 自分で言うのも照れくさいのだが。
 私の彼氏は、正に黒猫のような男の子。
 気紛れで寒さに弱くて、そして何より特定の人としか関わりを持たない。
 別に彼と私は、強い絆とか幼馴染だとか、そういうので結ばれてはいない。なのにこうして付き合えている事に、未だに私は驚いている。
 私がひとり、頭のなかで彼の事を思い浮かべていたそのとき、玄関の扉が開く。
 まるで鉄で出来た重々しい扉を開くみたいに、ゆっくりゆっくりと。
 家のなかから出てきた彼は——
 「遅いよ、柘也」
 「んん……これでも頑張った方」
 有栖川 柘也という名の黒猫彼氏。
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