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- Re: 壊れた恋の羅針盤。【12歳冬】 ( No.29 )
- 日時: 2016/02/21 00:28
- 名前: ことり ◆E09mQJ4Ms. (ID: 6.Nua64i)
 「昔からあの子は……」
 おばあちゃんがポツポツと語り出していく。
 あれから、家にかえってそうとう泣いた。
 泣いて泣いて泣きしゃぐって、ずっとモヤモヤしたままで。
 しばらくはずっと部屋に閉じ籠っていた。
 でも、ずっと泣いているだけでは何も進まない。
 それはまだ私が幼かった頃の母___離婚が決まって、引きこもりがちになった母を見て一番理解しているつもりだ。
 「麻里…私は強くなりたい…」
 小学生の時、母が言った言葉。
 覚えている。
 母は完全に弱りきっていた。
 今も昔も。
 ____弱っていた。
 私という、娘という荷物を背負うのには弱すぎた。
 だから____
 頭では理解できている。
 だが、それが気持ちには直結しない。
 「あの子が急に、毛嫌いしていた私のところへ身をおかせてくれ、なんて言ったから、不思議に思ってたんだ…」
 あれは今年の秋頃だったかね、いきなりあの子から電話がかかってきてね、
 静かに、ポツリとおばあちゃんはつぶやいた。
 私の娘が、聞いて情けないよ…
 ごめんね…麻里…
 本当はそんな気がしてたんだ…
 おかしいでしょう、いきなり私のところへ来るっていいだすなんて。どんな風の吹き回しだ、って。
 でもね、今やっと理解したよ…
 麻里が傷つくのはわかっている。
 でも、貴方は事実を知るべき立場よ。
 あの子は最初からこのつもりでここへ来た。
 麻里…ごめんね…ごめんね…
 おばあちゃんがもっと早く気づいていたら…
 祖母は涙ぐみながら、丁寧に私に謝ってくれて、私が少しでも傷つかないように言葉を選んで…
 違う、おばあちゃんは悪くない…
 そう言いたかったが、涙腺がもたなかった。
 一人で我慢していた分、余計に涙がでる。
 こんなに泣いたのはいつぶりだろう。
 おばあちゃんは、そんな私をそっと抱きしめてくれた。
 「あのね…私ね…おばあちゃんの孫でよかった…」
 それが今の私の精一杯の気持ち。
