コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 婚約者候補とシェアハウス!?
- 日時: 2017/06/05 12:43
- 名前: ユイ (ID: QUK6VU.N)
- いきなり現れた素敵な婚約者〜♪…とか、 
 イケメンたちと同居生活〜♪とか。
 漫画とか小説とか乙女ゲームとかでよくありがちな設定。
 現実的に考えて絶対ありえない!って、思ってた私が。
 婚約者候補たちとシェアハウスって、どういうことですか!?
 ☆逆ハーレム、乙女ゲームっぽいジャンルに入るので、苦手な方はご遠慮ください☆
 ☆ちなみに名前をユイから豆猫に変更しました☆
- Re: 婚約者候補とシェアハウス!? ( No.18 )
- 日時: 2015/07/30 22:21
- 名前: ユイ (ID: 4mrTcNGz)
- 「ああああなた、いっ、今っ、上、てて天井から、お、落ちて……っ!?」 
 目の前の存在に向けて、思わず驚愕の声をあげてしまう私。
 その彼が、不思議そうに首をかしげて、
 「落ちてねぇよ?降りてきた」
 そんなことを『当たり前だろ?』みたいな感じで平然と言ってのけると、一瞬でその場の空気が凍り付いた。
 慰織先輩は目を見開いていて。
 要君はその場で固まって……いや石化していて。
 瑠衣君は大きな瞳に涙さえ浮かべながら小さな体を小刻みに震わしていて。
 私は、というと。
 (え、何、おかしいのこっちなの?というか一般的な人の身体能力ならそんな屋根裏から入り込むなんて無理じゃない?まさか今時は家に入るときは玄関からじゃなくて屋根裏からっていうのが常識なの?もしかして私たち時代遅れ?あ、もしかして今日のこの小一時間くらいで何かが起こったとか?言うなら『現代版・大化の改新』的な?あぁ、なるほどなるほど。つまりはこの小一時間で『現代版・大化の改新』的な何かが起こり、家に入るときは玄関じゃなく屋根裏を使うのが常識になって、ついでに身体能力の面でも……そう、生命体としても進化を遂げたのだろうか。あ、猿になったとか?人間って猿から進化したっていうし、あり得るんじゃない?ん?イヤ、でもそれじゃ進化じゃなくて退化じゃない?あれ〜?)
 「って、どう考えても違うでしょっ!何、『現代版・大化の改新』って!『生命体としての進化を遂げた』って!『猿に退化した』って!この小一時間で何が起こったってんだよ!?」
 ……なんていう風に脳内であり得ないことを考えて自己ツッコミを繰り出すくらいには焦っていた、というかパニクっていた。
 「ぶはっ。アンタいきなり一人で何言ってんだよ」
 目の前の彼がすがすがしいくらいに思い切り吹き出した。
 (……あなたのせいなんですけど)
 そんな風に思いながら目の前の彼を半目でジトーっと睨み付けてみる。
 じっと見ているうちに『不審者かも』なんて思っていたけどどうやらそれはなさそうだなと私は思った。
 燃え盛るような赤い髪と、同じように赤く、少しオレンジの混ざった強い意志を感じさせる瞳。身長は結構高く、筋肉質でしっかりしてそうな体つきだったが、その表情はどこかまだ幼さを感じるような無邪気なものだった。
 「あなたも婚約者候補なんですか?」
 ポロリと、自然に言葉をこぼした。
 「ん?あぁ、そうらしいな」
 彼は『よくわかんね〜』とでも言いたげな表情を浮かべてそう答えた。
 「私、山下花音です。あなたは……」
 「ん、俺は狩野 崚馬(カノ リョウマ)、高校2年生だ。よろしく」
 「え、同い年!?」
 瑠衣君とは違う意味で驚いた。
 体格や顔つきは、私よりも2,3歳は上に見えたから。
 「んだよ、老けてるって言いてぇのか?」
 「いや、どっちかというと大人びてるっていう感じ……」
 不機嫌そうに眉を寄せる彼は、言っちゃ悪いが不良のようだった。
 (普通にしてたらこの人も結構カッコいい顔立ちなんだよなぁ……)
 婚約者候補とやらをどういう基準で選んだのかは知らないが、もう少し分相応というか、身の丈に合った相手を選んでほしかった。これどう考えても私じゃ不釣り合いな人ばっかじゃん。
 「……ねぇ、キミ結局なんで屋根裏から入ってきたの?普通に玄関から入ってこればいいのに」
 いつの間にか石化状態から回復していた要君が疑問を口にする。
 「ん?あぁ、なんか扉に鍵かかっててさ」
 「鍵なんてかけてたっけ?瑠衣君入った後鍵かけた?」
 「え、ううん、かけてないよ……」
 いやまぁそれはそれで不用心すぎる気もするけど。
 「え、でもどんだけ押してもびくともしなかったぜ?」
 「狩野君、あの扉押すんじゃなくて引いて開けるんだよ」
 慰織先輩の冷静なツッコミが入る。
 「というか一般的な家の扉って引いてけるタイプなんじゃ……?」
 私がそう言うと、
 「いや?俺の実家は自動ドアだったぜ?」
 「え、マンション?」
 「普通の一軒家」
 「普通……?」
 私の知ってる普通の一軒家って自動ドアなんか設置されてないんですけど。
 「あ〜、僕ん家も自動ドアだった」
 「僕はいつも運転手さんとかが開けてくれてたから、あんまり自分で扉開けたことなかった……」
 「僕の家は引き戸だったよ。家は和風住宅だったから」
 「………」
 (マジかコイツら。揃いも揃って金持ちかよ。)
 唖然としている私を見た狩野は、ブフっと吹き出した。
 「ちょ、お前、すんげ〜変な顔してるぜ?やっべ〜ウケる」
 「はぁ?」
 こいつ今私の顔見て笑ったよね?『ウケる』とか言ったよね?仮にも今をトキメク女子高生に向かって。
 第一印象“爽やか”だったのに!なんか最初と比べて言葉遣い悪くなってるし!
 「お前の呼び名“ブス”でいいんじゃね?」
 カッチーン。
 「ふざけないでもらえる?この赤毛猿」
 ムカついたので言い返してやると。
 「あかげざ……、はぁっ!?おま、ふざけんなよこのブス!」
 「それはこっちのセリフよ、赤毛猿!」
 「こっちはいたって大真面目だ!」
 「なんですって〜っ!?」
 ぎゃあぎゃあと二人で言い争う。
 「ちょ、二人とも落ち着いて……」
 慰織先輩が仲裁に入ろうとする、と———……
 「何ですか、騒がしい」
 いつの間にか、眉間にしわを寄せた“彼”がそこに立っていた。
- Re: 婚約者候補とシェアハウス!? ( No.19 )
- 日時: 2015/07/30 23:44
- 名前: 蜜柑 (ID: SUkZz.Kh)
- あ〜〜〜〜〜!更新されてる! 
 この2人のやり取り面白い!
 次は秀才キャラ?
 更新頑張って!
- Re: 婚約者候補 5人目〜クールな彼〜 ( No.20 )
- 日時: 2016/05/14 12:19
- 名前: ユイ (ID: VnjWzITU)
- 「えっと、君も婚約者候補の人……かな?」 
 慰織先輩がどこか遠慮がちに口を開く。きっとその態度は、“彼”がまとう雰囲気のせいだろう。
 深い藍色の髪に、同じく藍色の瞳。ノンフレームの眼鏡と、ニコリともしないその不愛想な表情がその冷淡そうな雰囲気に拍車をかけている。
 (体格的には慰織先輩と近い感じかな、身長とかは)
 まじまじと“彼”を見つめながらそんなことを頭の隅で思っていると、ふと“彼”との視線が交わる。
 目を逸らしたりしたら失礼だなと思って、視線が交わった状態のまま言葉を紡ぐ。
 「えと、初めまして、山下花音です。よろしくお願いします」
 すると、何故か不愉快そうに眉間のしわを深くした彼は。
 「……僕は佐々木賢人、高校3年生。ここに来ることになったんは完全に不本意、よって貴方方のような騒がしい馬鹿とよろしくする気は毛頭ないのでよく覚えておいてください」
 『では失礼します』と最後に一言だけ告げた“賢人君”は、唖然とする私たちを置いて長い廊下の奥へと姿を消した。
 「「「「「…………………」」」」」
 数秒間呆気に取られて固まっていた私たち。流れていた沈黙を破ったのは、
 「な、はぁ!?“騒がしい馬鹿”!?何だアイツいけ好かねぇヤローだなオイ!」
 ……予想通り赤毛猿。まぁ確かに初対面の人に対して吐くものとは思えない暴言を吐かれた気はするけど。確かに失礼極まりない態度だったけど。
 「……僕たち、そんなに騒がしくしてたかな……迷惑かけちゃったのかな……」
 「そうだね、もしかしたら彼には悪いことしちゃったかもね……」
 煮えたぎらんばかりの怒りを示した赤毛猿とは違い、自らの非を感じて肩を落とす瑠衣君と慰織先輩。同じ“人間”の同じ“男”に生まれ育ったはずなのにこの差はどこから来たんだろう……いやこいつは赤毛猿だから違うのか。そういうことか。
 「イヤイヤ、大丈夫ですよ瑠衣君に慰織先輩。どう考えても“騒がしい馬鹿”に瑠衣君とか慰織先輩とか要君とか私とかは含まれてませんから!“騒がしい馬鹿”なんていうのに該当する人物……イヤ生物はそこの赤毛猿しかいませんから!」
 「っはぁぁぁ!?テメェ何ちゃっかり自分まで外してんだ!?というかなんであえて人間から生物に言い換えたんだよブス!!」
 「だって私は“騒がしい馬鹿”じゃないしアンタは人間というものに該当しないからよ!」
 「はぁぁ?いい度胸してんじゃねえかはっ倒すぞブス!」
 「ちょ、二人とも落ち着いて」
 「そ、そうですよ!女の子をはっ倒すなんて……!」
 さっきまで落ち込んでいた慰織先輩と瑠衣君が慌てて止めに入った。
 なんかこの二人、赤毛猿の“はっ倒す”っていう言葉に過剰な反応をしている気がする。あれかな、育ちの違いってヤツなのかな。
 でもはっ倒すって口にした張本人も一応裕福な家で育ったらしい発言してたし……。
 「あ、そっか。赤毛猿は庭飼いだったのか!」
 ぽんと手をつくと、ピタリと止まる空間。その静まり返った空間を壊したのは、
 「……表出ろゴラァァァ!!!」
 やっぱり赤毛猿だった。しかも怒りで我を忘れている。これは危険だ、猿というよりはゴリラだ。
 「うわぁぁぁ、落ち着いてください崚馬さん……!」
 「ちょ、あぶないから暴れない……」
 「うるせぇ、離しやがれ!このブス一回ぶっ飛ばさねぇと気が済まねぇ!」
 ちょっと待って、ホントに目が血走ってるんですけど。顔が本格的に怖すぎるんですけど……!
 暴れ狂う、猿からゴリラへと進化を遂げた赤毛ゴリラの姿に、さっきまで傍観者となってこの状況を眺めていた要君も、さすがに顔をひきつらせてた。
 「覚悟しやがれぇぇ!」
 「うわ、ちょっ待っ、タンマ!!……っ!」
 瑠衣君や慰織先輩に抑えられながらもこっちに距離を詰めてくる赤毛ざ、じゃなかったゴリラに、慌てて後ろへ後ずさると、足が滑って体が後ろに倒れこむ。
 今日に限ってタイツ履いてきたんだよね私。そしてこの家廊下というか床全体が無駄にピッカピカのつっるつるなんだよね!滑りやすいんだよ!
 走馬灯って言ったらオーバーだけど、倒れるその一瞬にいろんなことが頭をよぎる。
 別に少女漫画の世界みたいに倒れそうになったところをサッと抱きかかえてくれるような王子様なんて期待してないよ。まず立ち位置が皆私よりメートル単位で前っていう時点で無理だしね。
 でもね、恐らく、というか恐れなくてもね、私のすぐ後ろには存在を忘れかけられた瑠衣君の荷物……正確にはキャスターバッグが転がったままなの。
 キャスターバッグって固いじゃん、そこに倒れこんだら地味に痛いと思うのね!
 あぁ、ごめんね、私のお尻……。
 気分はすっかり海に身を投げる人魚姫となった私は、ぎゅっと目を閉じて恐らくお尻にやってくるであろう鈍い衝撃に備える。
 でも、衝撃がやってくるより先にガラガラっと何かが転がるような音がして、倒れこんだ私のお尻が感じたのは、冷たい廊下の感覚。そして背中から頭には、何かが……。
 「……本当に、救いようのない馬鹿ばかりですね、ここは」
 「!」
 後ろの高い位置から聞こえてきたのは、不愛想な声。
 「え、賢人君?」
 振り返ると、私を見下ろす賢人君の顔。私の上半身後ろに当たっているのは、賢人君の足だった。
 そしてその足の先には、最後に目にした時とは角度の変わった青いキャスターバッグが転がっている。私と賢人君から、だいたい5メートル弱くらいのところに。
 「……もしかして、」
 もしかしなくても、賢人君が蹴った?私に当たらないように?
 そう思ってじっと賢人君の顔を見上げると、どことなくバツの悪そうな表情を浮かべた彼は、私の前にいる瑠衣君たちに向かって、声を発した。
 「……すみません、どなたのかは知りませんが蹴ってしまいました」
 「へ!?いやあの、そんな……」
 鞄の所有者、つまりは瑠衣君に向けられた謝罪に、それを受けた当人は狼狽えていた。まぁ賢人君がここにいるメンバーに謝るのは私も正直意外だったけど。
 「……あはは、賢人君すごいね、タイミングが。一瞬王子様かって思っちゃったよ、なーんて……」
 若干気まずくなった空気をどうにかしようと口を開くも、チョイスに失敗したことに気付いた言葉を濁す。また賢人君が無言で私を見つめてきる……。
 更に気まずさを増したような空気の中、賢人君はまた静かに口を開いた。
 「……あまりにもうるさいから様子を見に来たらたまたま貴女が倒れかけていただけですよ。そちらの男性陣はそれどころでなくて僕に気付いていなかったようですけど。王子様なんて大層なものではありません」
 「………」
 「……何か?」
 私の王子様なんて言葉にもちゃんと返してくれるんだなぁ、この人。もしかして賢人君って……。
 「……ツンデレ?」
 「……意味が分からないです。貴女は昔から……いつまで少女漫画の世界に浸ってるんですか」
 「デレが少ないツンデレだ!」
 「……もういいです。あとそこの赤い髪の方、仮にも女性を相手にしているならくれぐれも怪我を負わせたりしないようには注意してくださいね」
 「あ、あぁ」
 「じゃあ今度こそ失礼します。ちなみに僕は右側の一番奥の部屋を使わせていただくので、他の方はそこ以外の部屋で割り振ってください」
 静かに背を向けて立ち去る賢人君。思ったよりもいい人、っぽいかも?
 「……崚馬君も落ち着いたみたいだね。二人とも、今後はもうちょっと言動に気をつけること」
 「はい、すみません……」
 「……わかった」
 慰織先輩からのご指導も受け、気まずかった空気はいつしか元に戻っていた。
 「よし、じゃあ僕たちも部屋を割り振ろうか」
 「そうですね!」
 「僕はどこでも大丈夫です……」
 あそこがいい、ここがいいと、話しながらみんなで廊下の向こうへ進んでいく。
 「……あれ?」
 賢人君、“昔から”って言ってた……?
 「……花音さん、どうかしましたか?」
 瑠衣君に話しかけられて、ハッとする。
 「あ〜……。ううん、別に何でもない!私一番広い部屋がいいな〜」
 「広すぎて一番広い部屋を探すのも大変そうですよね」
 「確かに……」
 まぁ、これからいろいろわかるよね。賢人君だけじゃなくて、みんなのこと。一緒に住むんだし!
 「ふふ、何か楽しみだな〜」
 「そうですね、修学旅行みたいで」
 「ね!」
 前を歩く慰織先輩や赤毛猿、要君の後ろを瑠衣君とついていくと、玄関が見えるくらいの位置までやってきた。
 「じゃあこの辺の部屋を割り振ろうか?」
 慰織先輩の提案に頷こうとすると、
 『ピンポーン』
 それを遮るように、チャイムの音が響き渡った。
- Re: 婚約者候補とシェアハウス!? ( No.21 )
- 日時: 2016/05/11 22:23
- 名前: 上瀬冬菜 ◆P8WiDJ.XsE (ID: Tj9sX3SJ)
- 初めまして、こんばんは。上瀬冬菜と申します。 
 題名を見て逆ハーかも!? と目を輝かせて見ました。
 キャラクタの中では瑠衣くんが好きですv
 いや、そもそもみんな嫌いではないのですが…!
 これからどうなるのだろうと楽しみにしております。
 では、急にすみませんでした!
- Re: 婚約者候補とシェアハウス!? ( No.22 )
- 日時: 2016/05/12 19:35
- 名前: ユイ (ID: gJuvDJZQ)
- 上瀬冬菜さん、コメントありがとうございます!すごくうれしいです! 
 瑠衣君人気高いですね。可愛い系男子は読者ウケがいいんでしょうかね?
 出来るだけ更新していけるように頑張るので今後もよろしくお願いします!
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