コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ユリと枯葉
- 日時: 2015/09/15 20:02
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 突然出会った彼は、まるでユリみたいで。 
 ▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽
 コメントくださった方
 ・てるてる522様
 (´・_・`)
- Re: ユリと枯葉 ( No.26 )
- 日時: 2015/09/23 12:03
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 正直、あのハンカチは返したくなかった。 
 返してしまったら、レイスさんとの関わりが無くなってしまうんじゃないのかって思ってしまう。
 フィーナさんの言うように、レイスさんは私みたいな一般人が関わりをもてるような人じゃないんだろう。
 レイスさんは世間の役に立つことを体を張ってまでしている。
 私は世間に役立つことなんてなに一つできていないんだ。
 私の存在価値ってあるんだろうか。
 やっぱり、そう思ってしまう。
 そんなことを考えながら古い扉を開く。
 誰もいない、小さな部屋。
 ここが私の家。
 いつものように小さなベランダへ出てユリに水を与える。
 ふと、ユリの植木鉢に枯葉が落ちているのを見つける。
 私は枯葉を植木鉢から取り除き地面に捨てた。
 雪のようなユリと、薄汚れた枯葉。
 私とレイスさんの関係は、ユリと枯葉のようなものなのかもしれない。
- Re: ユリと枯葉 ( No.27 )
- 日時: 2015/09/24 20:20
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- レイスさんにとって私は邪魔なのかもしれない。 
 私がいると集中して仕事もできないし、自覚はないけど何か迷惑をかけているのかもしれない。
 いくら美しいユリでも薄汚れてしまえば美しさは半減する。
 汚れさせたのは枯葉だ。枯葉がユリさえも道連れにしてしまう。
 ここまで聞いて私はレイスさんに関わっていいと思う人は少ないと思う。
 レイスさんだって忙しいんだろう。私が来てしまうと仕事の手も止めないといけない。
 これからはレイスさんの家に行くのは控えておこう。
 少し寂しいけれど、レイスさんのためだ。
 *
 「眠れましたか、レイス様」
 「うん。まぁまぁ…」
 「先程ローズ様がいらっしゃったのですが…」
 「…起こしてくれればよかったのに…」
 彼は心なしか残念そうに言った。
 「申し訳ありません…考えが及ばず…。…ローズ様がこれを渡して欲しいと」
 彼女は白いハンカチとクッキーを手渡す。
 「…クッキー…?」
 「いろいろとお世話になったので、と」
 「そっか…手作り…またお礼言わないとね」
 「私の分まで貰ってしまいました…」
 「あはは、よかったね」
 「………」
 彼女は少しだけ嬉しそうにクッキーを見つめて微笑んだ。
- Re: ユリと枯葉 ( No.28 )
- 日時: 2015/09/26 11:52
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- * 
 レイスさんの家に行かないと決めてから気づけば二週間以上経っていた。
 高校には行っているけれど、レイスさんはあの日以降来ていない。きっと仕事が忙しいのだろう。
 今日は休日。本を読みながらコーヒーを飲んでいる。
 私は独りには慣れていた。高校に進学してからは、家族とは遠く離れたここに引っ越してきた。引っ越す前も親とまともに口を聞いてなかったから、尚更だ。
 クッキー、喜んでくれたかな…。
 あれが最低限の私ができることだった。
 もう会わないと決めたのは私。なのに。
 少しだけ、悲しいんだ。
 本を閉じてコーヒーを飲む。
 少し苦く感じる。
 独りじゃない時の暖かさを知ってしまったからだろうか。
 馬鹿なことを考えていると、突然。
 インターホンが鳴った。
 突然のことに私は驚いてコーヒーカップを落としそうになった。
 誰だろう…こんな日に…宅配便?…いやそれはないだろう。
 少し疑問に思いながらも恐る恐るドアを開ける。
 ドアの先には、
 白髪の"彼"が立っていた。
- Re: ユリと枯葉 ( No.29 )
- 日時: 2015/09/28 15:50
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- ガチャン!と思い切りドアを閉める。 
 「な…なんでレイスさんが……」
 驚きで息が上がっている。
 「すいません、驚かせるつもりはなかったんですけど…」
 ダメ、開けちゃいけない。開けてしまったらまた、迷惑をかけてしまう。
 また、寂しくなってしまう。
 「……僕、学校に行けてなくて…話す相手がフィーナしかいないんです。だから…」
 「…………」
 「ローズさんが来るのを、ずっと…待ってたんですよ」
 「……!」
 泣いちゃいけない。
 「…僕、嫌われちゃいました?」
 ううん、嫌いじゃない。
 「…嫌いじゃ…ないです……」
 「それじゃあローズさんは、僕の初めての友達ですね」
 私は我慢できなくなった。無意識でドアを開けていた。
 きっと私の目は涙を堪えているせいで赤くなっているだろう。
 レイスさんは一瞬驚いたような顔をしたけど、いつものように笑って
 「クッキー、美味しかったですよ」
 と言った。
- Re: ユリと枯葉 ( No.30 )
- 日時: 2015/09/29 16:19
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 「………私、迷惑じゃないですか…仕事の邪魔して…」 
 「迷惑じゃありませんよ。むしろ……嬉しいです」
 レイスさんは髪をいじり恥ずかしそうに言った。
 「また行ってもいいんですか……?」
 「いつでも待ってます。フィーナも女性の話し相手がいて嬉しいみたいですし」
 「ありがとう…ございます…」
 ふとレイスさんが思い出したように言う。
 「友達ですから敬語じゃなくていいですよ」
 「え、でも…」
 「敬語で、お願いします」
 敬語で、を強調してレイスさんは言う。
 「…はい…分かりま…分かった」
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