コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 短・中編集(参照1400突破感謝!) ( No.106 )
- 日時: 2015/09/23 09:36
- 名前: 夕陽 (ID: T0oUPdRb)
- 馬鹿は風邪を引かない 
 「ねえねえ桃! 私、馬鹿なはずなのに喉痛い!」
 朝登校するなり、私の友達の林檎は私の席まで来て報告した。
 喉が痛いと言っている割には元気そうだ。
 まあ、いつもよりは少しテンションが低いかもしれないが。
 「あのね、林檎。確かにあなたはテストで一桁常連だし、給食をひっくり返したりするし、ボールを3階の窓から運動場へ投げようとするバカだけど、風邪引かない保障はないわよ? 大体、そんなの迷信でしょ?」
 私は早口でそう言い、朝の準備をする。
 ……一時間目は数学か。
 私の好きな科目だ。
 しかし、林檎はそんな私の言葉などお構い無しで、
 「ということはこの病状はインフルエンザかもしれない! 風邪じゃないといったらそれしかない!」
 「だから風邪だって。こんなに元気なインフルエンザ見たことないわよ」
 私は少々呆れ気味に返す。
 悪い子じゃないけど、アホなのが彼女の欠点だな……。
 「ということは私、出席停止じゃん! やっほーい! さて、帰宅帰宅」
 「な訳ないでしょ! 授業はしっかり出席するの!」
 嬉々として帰り支度を始める林檎を止める。
 「いい? あなたは風邪よ。風邪じゃ出席停止にならないわ」
 「そ、そんな……!」
 がっくりと肩を落とす林檎。
 「まさか、私が天才だったなんて……!」
 「誰もそんなこと言ってないし、風邪引いたからって天才ではないと思うけど」
 なんかいまいちピントがずれている子だった。
 「とりあえず私は帰れないのか」
 「そうね」
 結局林檎は最後まで授業を受けた。
 * * *
 放課後。
 外を見ると雨が降っていた。
 一応、傘は持ってきた。
 けれど……。
 私は隣をチラリと見る。
 「あー、雨だ! 今日傘持ってないから走らなきゃ!」
 風邪気味の癖にそんなこと言う林檎。
 「ちょっと! 林檎風邪気味でしょ!? 私のに入ってきなさい」
 授業中、たまに咳をしていた。
 これ以上ひどくなったら困る。
 「本当!? ありがとう!」
 嬉しそうに笑う林檎に、
 「はいはい。じゃあ帰るよ」
 私は少し大きめの傘を用意しておいて良かったと思った。
 * * *
 あとがき
 「馬鹿は風邪ひかない」っていいますがあれは迷信だと思います。
 と言っている私が風邪気味です。
 馬鹿なのに風邪ひきました。
 皆さんも風邪には十分注意してください。
