コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: オカルト研究部には天使がいるっ!(合作)イラスト有り ( No.16 )
- 日時: 2014/04/12 19:21
- 名前: 夕陽 (ID: ofW4Vptq)
- 番外編 
 過去編〜森園綾乃〜
 「ねえねえ、アヤちゃん」
 「なあに?」
 私は隼人君に声をかけられたので振り向く。
 「あのね、アヤちゃん。読み聞かせの時間だって」
 隼人君はそういってお部屋に戻った。
 「分かった。すぐ行くね」
 私は今まで作っていた泥団子を園庭のすみに隠してからお部屋に行った。
 教室には皆いた。
 私が最後なようで先生が私を見ると、
 「綾乃ちゃん、ここに座ってね」
 と空いている席を指差した。
 「うん」
 私はトコトコとその席に行く。
 私が席に着いたことを確認すると先生は読み聞かせをはじめた。
 「今日は裏世界の話だよ」
 そう前置きをして先生は私たちの反応をうかがうように見回す。
 裏世界の話。
 簡単に言うと、天国と地獄みたいなものだ。
 ある日、オカルトの研究をしていた。そして、魔物を呼び出すために実験をしたら裏世界に入ってしまった。その人は悪い事ばかりしていたので悪い世界に吸い込まれていった。そこでは、地獄のような風景が広がっている。(ここで皆悲鳴を上げる。もちろん私も)その絵はとても恐ろしく説明なんてしたくない。
 ところが、また何年かたった後、ある人がたまたま吸い込まれる。その人はいい人だったので一つ願いを叶えてもらい、地上に戻った。
 という感じだ。
 私はどうしても叶えてもらいたい事がある。
 そのことについて考えていると、先生の読み聞かせの声がしてその声に意識を集中させたので考えていた事は忘れてしまった。
 読み聞かせは時に面白く、時に恐ろしく読み進められた。
 終わったときにはその世界からしばらく離れられそうもないくらいにはその話に引き込まれた。
 やっぱり、行きたいな。裏世界に。
 いい子になって裏世界にいってお願いをするんだ。
 「アヤちゃん、今日の話面白かったね!」
 隼人君が私に向かって笑いかける。
 「うん、そうだね」
 私も隼人君に向かって笑いかける。
 「僕も裏世界、行きたいなあ」
 その言葉に私はピクリと反応する。
 私も、行きたい。
 「それでね、願いを叶えてもらいたいな」
 私もそうだ。
 「だからいい子にしないとね。裏世界にいって願いを叶えてもらえるように」
 「そうだね」
 私は隼人君に賛同する。
 「もしかしてアヤちゃんも裏世界いきたいの?」
 ただ賛同しただけなのにそう思ったのだろうか?
 あくまで賛同しただけだと考えないのだろうか。まあ、いいか。
 「うん、そうだよ」
 隠す事じゃないし。
 「じゃあ、なんかお願いあるの?」
 なぜか目をきらきらさせてこっちに身を乗り出してくる。
 なんか、興味持つ事言ったけ?
 「うん、そうだよ」
 私はさっきと同じように返事をする。
 「どんなの、どんなの? 教えて!」
 更に身を乗り出してくる。
 「隼人君、そんなに身を乗り出すと落ちるよ」
 私が注意すると、隼人君は椅子に座る。
 「で、どんなの?」
 まだ、あきらめないのか。
 「秘密! 隼人君はどんなお願い?」
 ごまかし、逆に隼人君に質問する。
 その言葉に隼人はいつも通りの表情で言う。
 「僕はね、病気を治してもらいたいんだ!」
 でも、その言葉には表情とは反対にすごく重みを持っているように思えた。
 「……病気?」
 私はその意味が分からなくて聞き返してしまった。
 「まあ、病気といってもときどきめまいがする程度なんだけどね」
 なんだ、それくらいなら大丈夫だろう。めまいってよく知らないけど小さい地震が起きるような感じだろうか?
 「そうなんだ」
 私はそれ以来そのことは忘れた。
 そして、それから10年ちょっと。
 アタシはオカルト研究部に入った。
 いまだに裏世界のいき方は分からない。
 でも、いつか……
 見つかる。
 そんな気がするんだ。
 * * *
 あとがき
 ここまで、読んでくださった方ありがとうございました!
 補足説明です。
 これは10年以上前の話なので、少し……ほとんど一人称と呼び方が違います。
 また、10年以上前の話なのにしゃべり方がどう考えても幼稚園児が使う言葉じゃなくね? とか思うところもあるかもしれませんがスルーしてやってください。
