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21.


———




——ピーーッ

…練習試合の終了を知らせるホイッスルの大きな音が体育館内に響く。


「有り難うございました……」
「有り難うございました！」


周りを見ると元気がない。……もちろん、私も。


「節中強いんだよねー」

節中ふしちゅうと言うのは節岡中学校の略称みたいなもの。
……去年も地方大会では節中に負けた。それで準優勝……。
前の節中の3年生が強い人ばっかりで、……メンバーの入れ替わりもあって、
もう少し弱くなってるのかな——なんて思ってた自分が馬鹿みたい。

去年より強くなってるんじゃないの——？
そう言いたいくらい強かった。結果は39対17……。


去年の無念を晴らすために、今年こそは……、そう思っていたのに——




「蒼空ちゃん、次は…絶対、勝とうね」

「……い」

部長のゆん先輩がそう言ってくれるけど……「はい」という言葉が上手く出てこなかった。
去年も勝てなかっただけに悔しい……練習試合なのに。



流れそうな涙を強気に拭う。

横で来美ちゃんが無言で背中をぽんぽん、と数回叩いた。
……ありがとう、来美ちゃん……心でそう、強く思いながら私はもう一度目をこする。




どうして——どうして勝てないんだろう……？

負けず嫌いの私にとっては、本当に嫌だ……。



灰色に覆われた暗い空から、小雨が降り出した——

まるで今の私の、曇った気持ちのように……。








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『第4章』終了ですー。

第5章は室川と蒼空、そして……千帆のお話。