コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.214 )
- 日時: 2016/04/04 00:51
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
- 参照: 私の中のこいつのモノローグはいつもこんな感じ。
- *番外編 
 +クウハクディスティニー+
 「あー、やば」
 雲ひとつない青空。誰もいない草原。
 「ひまだぁー」
 緑が広がる草原に寝転がるオレ。なんにもないオレ。
 ——あんたはいらない。
 何もそこまで言うことないじゃないか。なんて思ってみる。言わないけど。
 「ねむい……」
 オレはいらなくなった。正確には、いらなかった。
 それはもう、ごみ箱に捨てたごみを、ごみ捨て場に捨てる様に捨てられた。オレという生命を生み出した肉親に。
 結局どういうことかというと、オレは眠いって言うことだ。うん。
 ——あんたがいたから、私は彼と……!
 ——あんたがいたから、私がこんな目に
 ——あんたがいたから、私と……
 ——あんたなんていなかったら
 オレがいなかったら?
 目を覚ますと、見事に星空が広がっていた。
 うわあ、寝すぎたわ。てへぺろ。
 大根役者も顔負けの棒読みを1人演じてみる。
 近くで何やら話し声が聞こえた。男の声が数人分。
 「——」
 「——では、……を襲撃し……——」
 寝ぼけてるのかなオレ。ちゃんとは聞こえないけど、まあ、多分、ろくでもない話してるんだろうなあ。真夜中に人気のない場所にいるんだし。偏見かな?
 まだしっかりとしない頭を覚醒させる気もなく、ぼうっと話を聞いていると、男の1人が言った。
 「ガキは起きたか?」
 反射的に目を閉じておく。
 いやいや絶対オレですやん。まだ空しか見てないけどやばいってこれうわねっむ。
 そしてオレは気付いた。手足が縛られているという現実に。うわあああおわた。
 「1人は完全に寝てるな」
 つつくな毛深い。しかも完全には寝てないっていうな。
 にしても何すかその言い回し。もう1人いてるんですか。
 「もう1人は……」
 えっ、静か。どうしたの今までめっちゃ話してたじゃんオレ今目を開けたらなんか生が終了する気がするんですけど? 視覚情報一切ないんですけど。
 「なあお前寝たふりやめろよぉー騙されかけたじゃねェかー」
 つつくなよわかってるなら最初に言えよー。
 目を開くとなんか竜人っぽい感じのおっさんが目の前にいた。
 「おはよう」
 「おはよーございます?」
 なにゆえ疑問形なんだオレの挨拶。
 あたりを見るがガキなんて呼べるのはオレだけ。はったりかよくそがー……。
 「俺らがお前を捕まえた理由、わかる?」
 「ぜんっぜん」
 「身代金だよ」
 「へえ」
 そんなもの絶対に来ないけど。
 「だがな、俺らはお前のことを調べ回って知ったんだよ。お前が捨てられたことをな」
 「だから今ここでお前を殺って、絶望顔を拝むことにしたんだよ!」
 この時オレはどんな顔をしたんだろう。
 彼らの言う“絶望顔”なのか。それとも間逆といえるであろう“笑顔”。もしかしたら絶望的な笑顔……みたいな?
 「そうですか」
 そういうと、男たちはひそひそと話し始めた。
 ……もしかして、泣き叫んだ方が良かったですか。
 *
 結局じわじわ恐怖を与える作戦になったのか、男たちは暴力を振るうだけ振って、オレは超生きている。
 あっ、これもしかして奴隷的なあれかな?? マジ? ストレス発散用玩具的な。
 そんなことを思ってたら、バサ、という音が聞こえた。音の方を見ると、深緑の長髪が視界の端に映る。瞬間、複数の悲鳴が響いた。
 「お前、誰だッ!?」
 「貴様に言う必要はない。多分」
 なんて冴えない台詞だ。いや、かっこよかったんだけど。かっこよおかったのに! 多分って何。
 よいしょ、とそちらをみると、なんかもう死屍累々。へえ人ってここまで変形するんだなあといった感じで。
 緑の髪の人と目が合う。
 「「……」」
 「えーっと……?」
 全力でこっち見つめてきてるけどせめて何か話して下さい。いっそさっきの多分でも良いです。
 「ぁ、……。俺、は、デジェル、だ。?」
 最後の「?」が余計じゃああああああああああ!!!
 「デジェルさんですか。なんでこんなところに?」
 「外出許可をいただいて、そしたらここで、指名手配中の盗賊を発見した」
 ちょっとオレにはわかんないや。
 オレの手足の縄を解きながら、デジェルという人はやたらとこちらを心配してくれた。
 「家まで送ろう」
 「ありがとうございます。家ないですけどね」
 「……」
 刹那、彼は顔を真っ青にして目の前で土下座を披露した。
 「すまない!! 人の事情も知らずに!!!」
 「えぇえっ!!??! い、いや大丈夫です! オレこそ軽いノリで言っちゃってなんかごめんなさい!!!」
 便乗するかのごとく土下座をするオレ。なんっだこれ。
 数分後、なんやかんやあってとりあえずオレがその人の住居に押し掛けることになった。デジェルさんは何やら全力で止めにかかっていたが。なんだっけ、「わい本」でも隠してるのか?
 「本当にどうなっても俺は全力で無視するからな……」
 「了解でーす。……あ、そう言えばオレ名前言ってなかったですね。フラムって言います」
 にっ、と笑ってみると、彼は気のせいか、とても悲しそうな顔をした気がした。
 *前回の番外編もどきの時点で「そういえばデジェルとフラムこそ上司部下だったわ忘れてたハハッ」となりまして。フラムは基本的に呼び捨てしないイメージがあります(
 余談。最近「この男子。」シリーズにハマってます。だからなんだ。面白いので見て下さい。なんだこの宣伝。もしかしたらこの部分いつか消えてるかも。
