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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 私には、みんなには視えないものが視えている ( No.7 )
- 日時: 2015/11/28 20:34
- 名前: 未来 (ID: HHprIQBP)
- No 7 差された光 
 誰も視えてないんだって
 誰も私のことを理解出来ないんだって
 誰とも見える世界を共感出来ないんだって
 そうやって諦めて
 静かにひっそりと生きていくんだって思っていて
 だから———今聞いた言葉が、信じられなくて
 …頭が真っ白だった。
 「神崎さん…本当に、視えてるんだよな…
 こいつのことだって、視えているんだろ…?」
 痺れを切らしたのか、もどかしそうに阿部は黒璃を見やって掠れた声で呟く。
 その言葉で未優はようやく我に帰った。
 「っ、あ…阿部、君…」
 私の声も、随分掠れていた。
 阿部君の質問にも、ちゃんと答えられない。
 というより、阿部君が何を言ったのか、よく解っていなかった。
 「…阿部君、も………視えるの…?私と同じ?
 ここにいる黒璃のことも、視えて—」
 「視えてるよ…俺も……やっぱ神崎さんも…!
 妖怪が視えるんだな…!?嘘じゃないんだよな…?」
 頬を抓ってみた。
 —痛かった。
 じゃあやっぱり、これは…信じ難いけど、夢じゃ、ないんだ。
 …本当に?
 本当に、夢じゃない?
 「…未優…?」
 阿部と黒璃の視界には、静かに涙を流している未優がいた。
 本人は気付いていないだろう———その姿が、とても綺麗で美しく…消えてしまいそうだと恐怖してしまう程、儚く映っていることに。
 私だけなのかと思っていた。
 人ならざるものが視えてしまうのは。
 —いるんだ。私以外にも、視える人が。
 あぁ…ただ純粋に、嬉しく思えた。
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