コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 導かれし石たち ( No.25 )
- 日時: 2015/05/24 18:46
- 名前: rose (ID: dRfQEy98)
- また見てみる☆ 
 更新しますε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(;‾◇‾)┘
 第二話『魂を巡って』
 私と柚樹ちゃんは、しばらく木々の隙間から見える空を見上げていた。
 その空は、私たちの嫌な事を吸い取ってくれるような、真っ青な空だった。
 時間を忘れ、空を見上げていると、柚樹ちゃんは私に声をかけてきた。
 柚樹「な、そういえばだけどさ、優奈は何で旅をしてるんだ?」
 その質問かぁ…
 やっぱり言わないとダメだよね。私は、心でそっとため息をつく。
 優奈「んーと…私は…」
 ガサガサガサッ!
 柚樹「誰だ!」
 柚樹ちゃんは、突然の音に驚くこともなく、冷静に周りを見ている。
 私も、いつ何がきてもいいように、身構えておく。
 一応、私は投げ技くらいなら出来る。自分の身体は自分で護れるようにしておきたかったからだ。宝石が二つあるからって、宝石の力ばかりに頼る訳にはいかない…!
 ?「ふっふっふ、誰だ、だと?生意気な。 」
 柚樹「動物ではなく人間だな、だが何故俺らに声をかけたのかは説明してもらえるか?」
 ?「俺らって・・・男か?」
 柚樹「女だッ!」
 ちょっと…争うとこ違うよ…?
 やれやれ…
 優奈「あ、あの、柚樹ちゃんはれっきとした女の子で、その、俺って言ってるのはただ単にカッコイイからで、だからッ!」
 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!言いたいことがぐちゃぐちゃだぁ…もうこうなったら!
 優奈「だから、何で2人の少女に声かけたんですかッこの、変態め〜〜〜〜〜〜〜〜!」
 い、言えた、いや、はっきり言い過ぎた…
 柚樹「お疲れさん。あとは、こっちがかたづけるよ」
 柚樹ちゃんは私の肩に手をおいて、未だ姿を見せない男の声がする方を睨みつけた。
 柚樹「おいおい、姿の見せずに襲う気か?お前の正体を教えてもらおうか」
 ?「ふっ、仕方ない。計算外だが、姿は見せてやろう」
 そう言うと、謎の男は私達の真上の木から降り立った。
 ピチッとした黒のスーツは、会社とかで見るのとは違って、いかにも悪役ですって感じのスーツ。黒のヘルメットをかぶっていて、顔を見せようとしない姿も、悪役って感じがする。
 なんなんだ、この男・・・
 ?「さぁ、姿は見せたぜ、少女達よ。
 今度はこっちの番だ」
 男はどこからか、縄を取り出した。
 器用に手首に巻きつけ、カウボーイのように振り回す。
 ?「お前ら、宝石を二つ持っているそうじゃないか」
 優奈「ッ!何故それを知っている!」
 ?「お前らの会話は、全て聞かせてもらったからな。その力、我が国に役立ててもらう」
 そう言うと、男は縄を振り回しながら襲いかかってきた。
 宝石の力目当てか。私達にとって、宝石は魂。魂を簡単に取られてたまるもんですか!
 私は短剣を腰から抜き取る。
 柚樹ちゃんは、どこからか、腕くらいの手頃な長さの槍を取り出して構えた。
 ?「うらぁぁぁぁぁぁあ!」
 男が近づいてくる。さっきの冷静さはどこに行ったのか、荒れ狂っている。
 柚樹「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
 男よりも、もっと大きな雄叫びをあげて、柚樹ちゃんは飛びかかっていた。
 あれじゃ女の子に見えないのも仕方ないかな…
 今の柚樹ちゃんは、さっきの冷静さは無かったように殺気立っていて、完全に男子状態。
 まぁ本人も、あんまり女子らしくはしていないけれど…
 なんてどうでもいいことを考えているうちに、男がこっちに向かってきた。
 柚樹「優奈!気を付けろよ!」
 優奈「大丈夫、大丈夫!」
 男は縄を振り回しながら、ニヤリと笑った。
 どうやら私が、ただの非力な少女だと思っているみたい。何もできないと思ったら大間違いですよ!
 もう男との距離が近い。
 残り20m、10m…!
 今だ!
 ズバッ!
 私は、男の手首を傷つけないように、縄を切断した。
 男の方は、目を見開き、何が起きたのか理解出来ずにいる。
 そんなに私が縄を切ったことが信じられないのか…
 私は、呆然としている男の姿がおかしくて、
 心の中で笑っていた。
 でも、呆然としていたのは柚樹ちゃんもだった。
 私は、今度はため息をつきながら、柚樹ちゃんにアイサインを送る。
 『今だよ!』って、目配せしてみる。
 柚樹ちゃんは、ハッとして、男に飛びかかる。
 柚樹「おりゃあ!」
 力ずくで男を後ろに引き倒した。
 その後は、槍を四本、男の横に突き刺す。
 柚樹「残念だな。宝石は俺らにとって魂。
 魂をやすやすと取られてたまるかってことだ。さっさと諦めて、正体を言うんだな」
 柚樹ちゃん…!私と同じだ…!
 柚樹ちゃんは私に構わず、正体を言おうとしない男に向かって話し続ける。
 柚樹「殺されたくなけりゃ、正体を言うんだな。お前はもう逃げられないし、まず第一に抵抗もできない状態だ」
 柚樹ちゃんは、地面に倒された状態の男の鼻先に、槍を突き出す。
 すると、男はふっと、槍の先で笑った。
 柚樹「何がおかしい!」
 ?「残念だ。君たちのような、素晴らしい人材を確保しようとしたのだが、どうやらこれまでのようだ。非常に計算外だよ。
 だが、次回は必ず、私の計算通りになるようにする」
 柚樹「だから、お前の次はもうない…!」
 柚樹ちゃんは、そう言いかけたけれど、
 男は、だんだんと姿を消してきた。
 柚樹「おい!待て!まだ話は終わってないぞ!」
 柚樹ちゃんの言葉にふっと不敵な笑みを浮かべながら、男は姿を消した。
 柚樹「なんだったんだ…あいつは___」
 柚樹ちゃんは、悔しそうに、構えていた槍を地面に突き刺した。
 優奈「仮に、私達が捕まっていたら、宝石の力を、何に使う気なんだろう…」
 私は、わかるはずのない疑問を、柚樹ちゃんにぶつけていた。
 柚樹ちゃんは、当たり前だと言うように、
 柚樹「そりゃあいつらの国のためだろう。
 でも、あんな奴らの国なんか、どこにあるんだろうな」
 優奈「だよね…あんな風に、人の宝石を奪おうとする人の国なんて・・・ッ!」
 私、気づいちゃった…気づいてしまった…!
 柚樹「優奈?どうした?」
 優奈「柚樹ちゃん…あの男の正体、私、わかったかもしれない…」
 柚樹「ほんとかよ!で、あいつはどこの誰なんだ?」
 優奈「これは…私が旅をする理由から、話した方が良いと思う。長くなるけど、聞いてくれる?」
 柚樹「長い話は苦手だけどなー、
 ま、避けては通れない道だし。聞くよ」
 そうだ…こんな目に遭ってしまった以上、話さないといけない。
 優奈「私が旅をはじめたのは___」
 第二話 終
