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えっ、今日から私も魔法使い!?【参照3000突破感謝!!】 ( No.234 )
日時: 2015/11/08 22:31
名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)

第九十三話 <波乱のお見合い編>

「こ、これは……!」

私たちの足元でざわめく、小さな黒い影たち。暗闇に浮かぶ赤い目の持ち主は、


「……ネズミ」


そう。おびただしい数のネズミたちだった。


「ひっ……なんか敵意むき出してない……?」

ネズミたちは、キーキーと鳴き声を上げ、今にも襲い掛かってきそうだ。


「へー。なかなか凶暴な奴らみたいだな」

こんな状況でも、ヤツはまったく危機感がない。「どうするの、ジーク君。これじゃ通れないよ」


「はっ、任せとけって。下がってろよお前ら!」

ジークは舌なめずりをすると鎌を巨大化させ、一気に振り切った。


「おらっ、くらえネズミどもッ!」

「キキィーッ!!」


「うわっ!」私たちはいきなりの爆風と熱に、腕で顔をかばった。


おそるおそる目を開けると、ネズミの大群の真ん中に道が出来ていた。————ああ良かった。けど………!


「ちょっとちょっとジークたいちょお〜。びっくりしたじゃんかぁ〜!」

リリアンが口をとがらせる。私も同意見だ。「そーよまったく。だいたいいつもアンタは……」「まあまあ。せっかく道が開けたことだし、早く行こうよ」

「そ、そうだね、うん!」エリオット君にせかされ、歩き出す。すると、ジークがわざわざ振り返ってニヤッと笑ってきたので、軽く小突いておいた。


「それにしてもさっきのネズミ。どうして急に、あんなにたくさん……」
「う〜ん。あたしたちが急に来たから、びっくりしたんじゃないの?」

それもそうか。でもなんだか、例えるなら……


「……何かに追われているような」


私の心を読んだかのようなタイミングで、リュネットがつぶやいた。しっかりと、私の目を見据えながら。

「考えすぎじゃねーの?———ほら、さっさと行こうぜ〜」「う、うん……」




まさか、この時の嫌な予感が本当になるなんて————。


                 次回、第九十四話。お楽しみに☆