コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.96 )
- 日時: 2014/11/17 23:32
- 名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)
第二十三話 <対抗戦編>
「おそらく使い魔を長時間使役したせいで、体力が消耗していたのでしょう。あの二体はただでさえ上級なのですから。…僕としたことが、油断しました」
そう言ってカイル君は、顔をゆがめた。きっと今まで失敗の少ない人生を歩んできたせいだろう。
ロゼッタちゃんは、さっきから荒い呼吸を繰り返し、苦しそうにしている。
「えー?カイル君のせいじゃないってバ、それよりも…」
こんなことをしている間にも、敵が迫ってきているという事実は変わらないのであった。何とかしなければ…。
「……リリアンさん、ハク君。先に行ってください」
「えっ!?ちょっとそれじゃ…」
ハク君が、焦ったように言う。
「やむを得ないでしょう。僕が引き止めておきますよ。…大丈夫です、心配はいりません。ほら、早く。」
カイル君が安心させるように微笑みながらうながす。でも、ハク君はまだ困惑の表情を浮かべていた。
「もー、分かったよう。それじゃあ…」
リリアンは自分の腰のベルトから、愛用の指揮棒を抜き放った。
「……?」
驚いているカイル君に、指揮棒を押し付けた。「何も持っていないよりはマシでしょー?じゃ。頑張ってネ☆」
バチンとウインクを一つ返し、ハクを引っ張ってさっさと退場する。
「うわ!ちょっとっ」
うん。これが、たぶん…今のベストかな。
☆
プランス君とキャンディさんを置いて逃げてきた私達は、校舎へとすべりこんだ。
そこでは、爆発の現場確認やら生徒達の避難誘導など、あわただしく事件の処理が行われていた。
「やっぱり、何かあったみたいだなぁ。ちょっと話聞いてみようぜー」
ジークがいつも通りの軽い口調で言った。…この馬鹿は、慌てるという感情を知らないわけ?
まあ、とりあえず職員室に行き、近くにいた男の先生に話を聞いてみる。
「すみません。一体何が?」
「ああ?何か理科室でちょっとした爆発があったみたいだが。…今は忙しいんだ、すまんな」
それだけ言うと、さっさとどこかへ行ってしまった。本来ならここに生徒がいることを注意すべきなのだろうが、それどころではないらしい。
「ちょっとした爆発って…それだけだとしたらあの黒い人たちはなんだったのかな……ん?ジーク?」
途中で、ジークが窓ガラスの向こうを見つめていることに気づく。「どうしたの?」
「…何か、怪しい。ここを出よう」
いきなりそう言ったかと思えば、強引に私の手を引いて職員室から出てしまった。
「ちょ、ちょっと何…」
「走れ。とりあえず屋上に向かう」
問答無用か!…でも文句は言わないでおこう。
「おそらくだが…この爆発事件は、単なる囮だ。ヤツらの目的があるとしたら、それはもう達成されていて…今からのこのこ逃げる準備をしているはずだ。」
「えっ?何でそんなこと。」
「勘だ。」
勘かい!
男の勘ほど当てにしてはいけないものは無いと思う。これは自論だ。
そんな会話をしているうちに、屋上の扉の前に着いた。
「いいか、開けるぞ?間違っても腰抜かすなよ?」
「抜かさんわッ!!」
こんなときまでふざけんなッ、大馬鹿が!…てかそんな怖いものでもあるのか?
私の反応を楽しむように見てから、ジークはゆっくりと扉を開けた。
次回、第二十四話。お楽しみに。