コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 約束の剣〜デスゲーム〜 ( No.4 )
- 日時: 2015/11/23 16:15
- 名前: アウリン ◆gWIcbWj4io (ID: L3qeerbj)
第一章 イベント1は奇跡?
〜2〜
まず、この世界にはモンスターがうじゃうじゃいる。この城下町を出れば、周りはモンスターだらけだそうな。ついでに、この国の名前はハルスリア王国。今はアレア女王がこの国をおさめている。
そして今や、この国は絶滅の危機にさらされており、その原因は魔王。
過去に5人の英雄たちが封印した魔王が目覚め、近くにあったこの国を侵略し始めているのだとか。
まるっきりゲームである。まさによくある設定。さすがの私でもこのくらいの設定は分かる。
武器を買うと、鞄から装備する。と、背中に何か固いものが当たった。
先ほど買った「ノーマルソード」だろう。
[クエストを達成]
チャラン♪と音が鳴ってクエストの達成が告げられた。
さらに同じ具合で防具を買う。
[戦闘をしてみましょう]
戦闘。
きったーーー!戦闘だぜベイベー!
城下町を南門から出て、10秒ほど歩くと、目の前に緑色の怪物が出てきた。右上にはスライムと書かれている。
スライムってあれか。理科の実験とかで作る、時間が経って硬くなったらスパッ、ブチッってなるやつ。
まだやわらかい時にはちゃんと形も変わるし、絞ったら水が出てくる。今目の前にいるやつはやわらかそう。緑も鮮やかだから気持ち悪くないし。
[普通に攻撃してください]
はいはい、ふつ……なんだって!?
普通に攻撃しろ!?どうやって!?
私がおたおたし始めると、スライムがこちらに向かってきた。げぇっ。
唖然として突っ立ていると、スライムの形が変形して、触手がパンチ!痛いのかと思ったらそうでもなかった。見たところ怪我も無いし、ちょっと衝撃が来ただけ。
触手は相変わらず攻撃してくる。
ふと気になって手を横に振る。
おお、HPはちゃんと減っている。悲しいくらい少しずつだけど。
ちなみに普段はこの表示は出ない。
出したいときには手を横に振る。そうすると状況が確認できる。
まあ、このまま突っ立ているわけにもいかないし。
私は背中の剣を抜く。
あら、思ったよりも軽い?
現実で私がこんなものを持てるはずがない。そこはやはりゲームと言ったところか。
「はっ」
勢いよく剣を振るう。
するとスライムの触手が吹っ飛んで空中で消えた。
おお、この剣、よく切れるな。
その調子でガンガンぶっ放していく。良い攻撃が出来ると、「スパッ」やら「シャキンッ」やらの音ももれなくついてくる。
そして、スライムは3発目くらいで消滅した。つまり、一回目の触手が吹っ飛ぶ攻撃と、再び触手を切って「スパッ」ってなった攻撃と、最後に横に剣をふるって「シャキンッ」ってなった攻撃。
うん、光の粒となって消えていくところはなかなかに美しかったぞよ。と言っても、途中で消えた触手はそのまま灰になるっていうのかな……。とにかく、光になるんじゃなくて、粉々になった。触手ちゃん、悲しいかな。お主は光にはなれぬ。
[城下町に戻りましょう]
すぐ後ろ……数メートルかな?戦闘中も見えていた南門をくぐり、例のクエストボードの前に戻る。
[では、ジョブスキルをもらいに行ってください]
ジョブスキル?ジョブは確か職業とかいう意味だったはず。
職業のスキル?職業の技?
とりあえずスキルショップに向かう。
「こんにちわー」
「あら、こんにちわ」
出迎えてくれたのは、若い女性だった。
「ジョブスキルって何ですか?」
「ジョブスキル?あなたはもしかしてハンターなの?」
「えっと、はい、そんな感じです。まだ新米ですけど」
「ちょっと待ってて」
女性は店の奥に入って行った。
彼女が戻ってくるまでの間、私は店内を見渡す。
そしてふと、二刀流と言うスキルが目に入る。
実は私はファンタジー小説が大好きなのである。その本には、二刀流の勇敢な女戦士が出てくるのである!主人公ではないが、魔法剣という物を使いこなし、回復系補助魔法も使える結構重要な主人公を支える親友その1、みたいな設定で、私はずっと彼女にあこがれていた。
「はい、これがジョブ……職業ね。好きなのを選んでちょうだい」
ざっと見ると、戦士、剣士、魔術師、弓士の四つの職業があった。この中でよさそうなのは戦士、剣士、魔術師あたりか。
私の知る限り、弓は相手を遠くから襲撃する物。ソロで戦うには向かなさそうだ。
この中で回復が出来るのが魔術師。HPが少ない代わり、MPが多いいと言うもの。
やっぱり回復は使いたい。憧れ二割と保身八割で。
「これにします」
私は魔術師を選んだ。
「はい、分かったわ。じゃあ、あなた名前は?」
彼女に聞かれ、首をかしげる。
ここは本名を言うべきなのか、偽名を使うべきなのか。
まあ、所詮ゲームだし、偽名の方が面白いし、名前はルーシーと言っておいた。
「はい、ルーシーさんね。職業が魔術師。登録完了です。スキルが買いたかったら、この店に来てね」
「あの〜」
「はい?」
さようならムードをさえぎって私は問う。
「今すぐって買えます?」
「ええ、買えるわよ」
「じゃあ、これ欲しいんですけど」
「……二刀流?」
説明を読む限り、剣を軽くしたり、このスキルを持っていると特別に一つの枠に二つの剣を入れられる、剣の耐久性を上げられる……などなどの効果がある。
武器装備欄は全部で4つ。両袖の中にナイフ程度の物が仕込めるようになっており、腰に一つ、背中に一つ。
まあ実質、腰と背中はどちらか一つでないと動きにくそうだ。
「魔術師で二刀流なんて珍しいわね。大体は戦士、剣士が欲しがるんだけど」
へー、そうなんだ。
はっきり言ってその辺の事は私にはよくわからない。
ひとりで何度か勝手に頷いていると、女性がじっとこちらを見つめているのに気がついた。
「……?」
あの?と口を開きかけた時、女性も口を開いた。
「あなた、面白いわ。魔術師を選ぶのもそうだけど、あなた、本当に面白い」
あれ、魔術師を選ぶ人、少ないの?
「あなたの所持金じゃ足りないでしょう、このスキルを買うのには」
「あ、そう言えば、値段ってどこに書いてあるんですか?」
私が問うと、若干引きつった顔で黙って指さされた。
50000シェル。
シェルとはお金の単位だと聞いた。今の私の所持金……いや、所持シェルは100だ。とてもじゃないが買えないな。
私が目に見えて落ち込んでいると、隣から笑い声が聞こえた。
「大丈夫よ。あなたにはそれ、特別にあげるから」
「え!?良いんですか!?」
「本当はよくないわよ。でも、あなたかわいいし、なんか面白いし。……期待してるわよ」
そんなこんなで店を出た。
女性は暇なのか、そんなに私が気に入ったのか、いまだに手を振っている。
私も手を振り返して、さっさとクエストボードに向かう。
「えっと、次は何をすればいいんだろう」
そうつぶやいた時、またもや音が鳴った。
[これで「一時」、チュートリアルを終わります。
立派なハンターとして、この国を守り抜き、魔王を再び封印して下さい。
それではゲームをお楽しみください]
魔王。
今のところ情報は皆無だけど、まあ何とかなるだろう。
……ところで、どうすればログアウトできるの?
「一時」チュートリアルを終わるって言ってたから、また再開するのかな。もしそうだとしたら、そのチュートリアルが終わって、そのあとにログアウトできるようになるとか。
だとしたらレベルを上げなきゃいかんのか。
そうして、私は女性からぽろっと別れ際に聞いたHPやMPが表示されると言う腕輪を買い———これはお手頃な値段だった。30シェル———、先ほどと同じく、南門をでてモンスターと対峙することとした。
———
いままで貯めていたのを投稿しているだけのアウリンでございます。おそらく、というより確実に、途中からペースがガタ落ちします。ハハッ……。
と、それはともかく、夏目 織さん!素敵なコメントありがとうございます!
ほかにも、作品を読んでくださった方、ありがとうございました!
あ、コメントは全然迷惑なんかじゃないですから!大歓迎です!