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Re: 気まま自由な短編小説 『お題募集中!』 ( No.66 )
日時: 2016/03/03 17:03
名前: こん (ID: EOhOGqBm)

お題:猫と猫と猫のお話 (茲都さん)

第13話「猫と猫と猫のお話」

トラ模様の猫は言った。

「誰が一番に飼い主さんが見つかるかな。」

三毛猫は言う。

「皆んな種類が違うよね。」

スリムな灰色の猫も言う。

「どの種類が人気とかあるのかな。」



三匹は3日ほど前に、同じペットショップの、同じショーケースに入れられたオスの子猫たち。

人間がガラス越しに覗いてくるのにようやくなんとか慣れてきた。



「どういう人の家に行きたい?」

トラ模様の猫がまた質問する。

「そうだなあ。」

三毛猫が考える。

「じゃあ、今日ここに来た人で、この人が良い!と思ったら言おうよ。」

灰色の猫が提案し、他の二匹も頷いた。



朝一番にやってきたのは清潔感のある、年配の女性。

「あ、この人優しいそうだし、いいなあ。」

三毛猫がつぶやく。

けれど、その人はさっさと犬のコーナーに行ってしまった。

「確かに良い人っぽいけど、犬の方が好きみたいだね。」

灰色の猫は肩を落とした。



次にやってきたのは、子連れの家族。
まだ歩き始めたばかりくらいの、小さな子供がショーケースをバンバン叩いた。

「うわっ!うるさいうるさい!」
「やめてやめて!」
「なにするんだよ!」

三匹とも耳を下に向けて奥の方へ逃げた。



お昼過ぎ。
少しケバい女の人がやってきた。

「うーん、僕はパスかな。」
「なんかちゃんとお世話してくれなさそう。」

トラ模様の猫と三毛猫は文句を言ったが、

「いや、僕は結構ありかな。綺麗な人だし。」

灰色の猫はそう言ってガラス越しにアピールしていた。



夕方。
1度裏に下げられて休憩していた三匹がショーケースに戻る。

男子高校生が1人、ショーケースの前に立ち止まった。

「あ、この人いいなぁ。」

トラ模様の猫がガラスの前に行ってガラスをちょいちょい触った。

男子高校生はトラ模様の猫に合わせてガラスを撫でた後、しばらくして帰って行った。



その後も何人かお客さんが来るごとに、三匹はああでもないこうでもないと、色々言って過ごした。





「僕ね、今日思ったんだけどね。」

トラ模様の猫が言う。

「ちゃんとお世話をしてくれる飼い主さんだったら、どんな人でも好きになると思う。」

三毛猫も灰色の猫も、それに頷いた。

「うん、僕もそう思う。」
「うん、僕も。」





そうして三匹は、まだ見ぬ飼い主さんを待ち焦がれながら、眠りについたのだった。


《作者コメント》
茲都さんからいただきましたお題、「猫と猫と猫のお話」より書きました。
なんかあんまりパッとしないお話になってしまいました。
もう少し、猫の可愛らしい感じを入れたかったのですが。


茲都さん!
遅くなってしまってすみませんでした!
しかも全然感動も何もないお話で…
また気が向いたらお題下さいね!
よろしくお願いします。