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Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.47 )
日時: 2015/08/29 20:13
名前: 逢逶 (ID: KBFVK1Mo)

episode11
title 迷惑

あれから毎日治療は行われていて、永江先生は同じ質問を繰り返す。
部屋にテレビがないからKISSTILLの顔を見ることはできない。
永江先生はKISSTILLの様子を細かく伝えてくれる。
来ているのだろうか。来ているのだろう。

面会は禁止らしい。

「永江先生、私治るのかなぁ」

「治るよ」

「そんなのわかんないじゃん」

「誰か支えてくれる人がいるなら、治る」

「そんなの今までいなかった」

「今まででしょ?今はどう?」


鮮明にKISSTILL五人の顔が浮かぶ。
きっと、救われてる。


あの人たちのおかげで私は生きてる。

顔を見るだけで安心する。
KISSTILLはそんな存在で、なくてはならない人達。

私なんてただのマネージャー。
今はもう、マネージャーでもない。
それなのに気にかけてくれて。
迷惑だってわかってる。

だけど全て預けたい。


「…君は人を好きになったことがある?」

「うん」

「名前を教えてくれる?」

「…なんで?」

「息子がね…、君に似た子の話をしてた。凄く脆くて支えてあげたい女の子がいるって。もしかしたら君をそう思ってる人がいるだろうってね」

「…私、好きな人に自分を任せることがどうしてもできなかった。私は汚くて、迷惑で、いつかきっと私が嫌になるから…」

自然と泣いていた。



本音を吐き出したことですっきりした自分がいた。




「…息子の名前はね、朔というんだ」




その言葉に、目を見開いた。