コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: Last Days ( No.4 )
日時: 2015/08/28 13:15
名前: 久遠 ◆rGcG0.UA8k (ID: 3rAN7p/m)

栞side

「これで大体終わったかな……?」

生徒会に来て、書類の整備やら日誌の記入やらをしているうちに時間は過ぎて。
気付けばもう放課後だった。

掃除とかまで勝手にしちゃったけど、荷物は動かしてないし大丈夫だよね。
そう考えて生徒会室を出ていこうとドアに手をかける。

この時間なら保健室に寄るよりも帰宅する方が丁度いいだろう。
そう考えて鍵を閉めて——

「天海さん? もしかして今来たとこ?」
「か、会長……」

今、一番会いたくなかった人に見つかってしまいました。

「職員室に寄ったら鍵がなかったから、もしかしてって思ったんだ」
「す、すみません。勝手に持ち出してしまって……」
「んー、それは良いんだけど。取り敢えず中に入ろっか」
「はい……」

そんな訳でまた生徒会室に逆戻りしましたと言うことで。

「今日は何からしようか、まずは書類整備かな……ってあれ、全部分けてある?」

机に置かれた書類の数々を見て驚きの声を上げる会長。
今更、実はもう全部済ませて帰るところでした、なんて言う勇気はなく。
驚く会長に申し訳なさを感じながら部屋の隅で小さくなっていた。

「……天海さん、もしかして」

やっぱり勝手に触ったら不味かったのかな。
と言うより私が嘘ついたのバレて……!?

動揺した拍子に背後にあった本棚に思い切りぶつかってしまって。

「っ……」

その結果、重なる様にして乗っかっていたファイルが降って来て。
衝撃を覚悟して、ギュッと目を閉じた。

「っ、大丈夫? 天海さん……!」

だけど痛みはなくて、代わりに凄く近くから会長の声が聞こえた気がして。
俯いていた顔を上げ、瞼を開ける——そして。

「「っ」」

ほんの一瞬、唇に柔らかな感触。目を見開いた会長の顔。
近い距離、重なる視線——それらの意味するものは一つで。

私……今、会長とキス、した?

そう考えた途端、みるみる頬は熱を持って、会長の方を見られなくて俯く。

「っと……大丈夫、そうだね?」

言いながら会長は立ち上がって、落ちたファイルを片付けていく。
それから、ポツリと一言。

「書類整備も終わってるみたいだし、今日はもう帰ろっか……」

その言葉に賛成しつつも、どうしても顔を上げられなくて。
せめてもの救いは一瞬触れたことに対して会長が何も言ってこないことだった。

……奇妙な沈黙を保ちながら二人で生徒会室を後にして。
会長は職員室に、私はそのまま帰宅した。