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Re: 初恋パステル。(短編集)(合作)(コメ募集) ( No.4 )
日時: 2016/04/05 15:09
名前: 湯呑ゆざめ (ID: HT/LCIMm)

≫夏映る、恋が咲く。


くん、と鼻を鳴らせばうららかで柔らかなヴェールのような春の
匂いがほぼ、つんとした夏の香りに変わってて、授業中ながら
私は目を見開く。季節が、変わったと。

ノートには難解な数式がつらつらと書いており私は小さく呻いて
外に目を向けた。そこには、どこまでも抜ける青が広がっていて、
何だか少し胸が騒いだ。

後ろを向けば気だるげな君が頬杖をついていた。
ちょっと不器用に「なに。」と言う。まるでそれが猫みたいで
ちょっと笑えた。でも、その後にちょっと切なくなる。
もう少しで夏休み、そして明日は席替え。なんでかな、君と話してる
だけで、最近胸が締め付けられるの。
1人悶々と考えてると、君は微かに小さく微笑んで呟く。
「悩んでるなら聞くけど。まあ、一応友達?だし。」
最後に付け足された言葉に素直に喜べなくて。
少しごつごつした手に目をそっと拭われる。私、泣いてた?
このままだと、気づきかけた想いを口に出してしまいそうで、臆病な私
には、不格好な泣き笑いしかできない。

どこかで、声がする。このままじゃダメだって。

気づいてしまいそう、私の恋に。
それは、甘酸っぱくて、切なくて、くすぐったいくらい幸せ。
気温のせいか熱くなった頬を押えて窓を見れば、嬉しそうで
幸せそうな恋する少女が映ってた。


始まる恋に、上がる心拍数。少し悪戯な夏の一幕。





end