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Re: 美女4人怪盗団 ( No.12 )
日時: 2015/10/22 19:00
名前: キャッツアイ (ID: Z5cmkimI)

その夜4人は校庭に集合した。

暗闇にまぎれて、音もなく校内へと忍び入る。

「仕事開始よ。ベル、ジャスミン、アリエル、行くわよ」
オーロラが号令をかけた。

警報対策は万全。前回の宝石店強盗の失敗経験を生かしたのだ。

理事長室は2階だった。

流石に私立である。立派な聖堂や、教室も美しい。

理事長室に行くまでに、豪華な階段をとおり、シャンデリアを目にし、

歴史ある調度品と絵画を飾った廊下を通り抜けた。


「金掛かってるねえ…」

感心したようにベルが言う。

「何処かのお城に紛れ込んだみたいだわ。」

「ハリーポッターのホグワーツ城みたいよね。」

「ほんとね。」

「あった、ここよ。理事長室」

重々しいドアを開けると、きちんと整理された書斎が現れた。

「うわーきれい」

4人は思わず部屋に見とれた。

部屋の奥に金庫があった。


「あれだわ」

オーロラが真っ先に飛びつく。

「アリエル!!鍵開けて」

アリエルがピッキングにとりかかる。ものの数分で重量のある金庫がかちりと開いた・

中には、数枚の紙切れと、日記帳が入っていた。

「あれ?おかしいわ」
オーロラはあせった。
「目当ての通帳がないわ」

「金庫に何も入ってないなんて。」
「情報が間違っていたのか?」
ジャスミンとベルもあせった。

「金庫の他に、何処か隠し場所があるはずよ。探しましょう。」
4人は部屋を見渡した。

「引き出しの中・・・とかね。アリエル、机の引き出しのカギもお願い。」

「わかった」

「ちょっとまって!」
ベルが、何かを思いついたように言った。

「ねえ、理事長の性格の情報、覚えてる?」

「確か、怒りっぽい、人使いが荒い、金にがめつい、それに・・・・きれい好き?」

「そうよ。きれい好き。たしか神経質なほどきれい好きなはずよ。
だけど、みて。この部屋はとても片付いてるのに、おかしいところが一つある。」

「なに?」

「本棚よ。見てよ。本が整理されずに、横向きに乱雑につみ上がってるわ。メモや何かの切り抜きの紙もはさまってる。

これをそのまま放置してあるなんて、へんよね。」

ベルはそういって、本を一冊ずつペラペラめくり始めた。

「うちのおじいちゃんが、よく自分の本に一万円札をはさんでかくしていたの。おばあちゃんにみつかっていつも怒られていたわ。

だから、何か大事なものを隠す人の心理として、本の間ってのは・・・・・」

ベルは3冊目の本を手にとる。

「ほらあった!!隠し口座の通帳とカードよ!!!」

「やった!!」
「べルお手柄!!!」

「さあ、お目当てのものは見つかった。

侵入の痕跡を残さないようにして逃げましょう。」

「何日か後に、亡くなったのに気づいた理事長がどんな反応をするか見ものだわ。」
「盗聴器はそのままにしておこうか。」
「理事長の今年のラスベガスは中止ね」
「いいきみよ」

4人は忍びこむときよりも素早く、風のように校舎を後にした。

4つの黒い影が家々の屋根の上を飛ぶようにつたって遠くへ去っていくのが見えた。

フリーダ高校校舎は何事もなかったかのように見えた。
逃げ去った4人の美女を見送っているようにも見えた。