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Re: 『夏恋』短編集 ( No.1 )
日時: 2016/03/17 23:20
名前: K(*^▽^*) (ID: xV3zxjLd)

『二人乗りの帰り道』   
 
「ねぇ、もういいよ」 
帰り道、前にいる君に声をかける。
「、、、、」
君は私の言ってることなんて聞こえないかの様に無視をするフリをする。
「まだ、見つかってねーやろ」

ついさっき

あいつの自転車と鞄が引っ掛かってキーホルダーが壊れて散らばってしまった。

二人でしゃがみこんで探したが、、あと一つが見つからない。

「ねぇ、いいって」
「、、、、ごめん」
君が立って自転車の手すりを掴む。
「気にしんで、ほら帰ろ」
「先、、」
「え?」
「先帰りな」
そう言って自転車を邪魔にならない所に置き、また後ろにしゃがみこむ。 


ほら、、変わってない。

そういうとこ。

「それだけで嬉しいから」
そう言うと頭を掻いて申し訳なさそうに顔を暗くする。
「、、ごめんな。弁償すっから」
君が頭をうなだれたまま黙りこむ。 
「いいって!ほら帰、、」
その瞬間道路のコンクリの隙間に足をとられた。
「わぁっ、、!」
「ばっ!」




あ、、れ?




「大、、丈夫?」
目を開けると君の腕の中にいた。
「ご、ごめっ!」
振り向いたら君の顔が三センチ前にある。
「////〜っ!」
驚いて地面に手がついた。
『チャリ』
すると手に違和感を感じて恐る恐る覗いた。
「ん?」
「ぁ、、」


「「あった!」」


目が合い二人で吹き出した。

「と、灯台もと暗しだね。」
「うん、、」
君が安心した様にへたりこんだ。


「もう誰もいないね」
周りには下校中の生徒はいなかった。
空はオレンジ色に染まり秋の季節を表していた。

少し寂しい気持ちの水色も混じって。

「ごめんね、じゃあバイバ」
君が自転車に荷物を乗せたのを確認して曲がり角へ歩こうとした瞬間。

君が私の腕をつかんでいた。

「ぇ?」
「乗れよ」
「ふ、二人乗り!?」
「見つかんねーよ」
その事じゃなくて、、心がもたないって。

スーッと自転車が走り出す。
周りの景色なんか目に入らなかった。
「危ねーからどっか掴んどけ。」
「、、ん。」
勿論、背中なんか恥ずかしいから制服を少し握る。
「プッ」
「な、なに!?」
「お前軽いな。ちっちゃいからかな?」
「うーるーさーいー」
怒った表情で言い返して笑ってしまう。

すると君はまた、イタズラが成功した小学生みたく笑うんだ。

君の背中が大きくてかっこよく見えたのも。
もっと家が遠かったらな。
なんて思うのも。

君のことが『好き』だから。