コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 美女4人怪盗団 ( No.15 )
- 日時: 2015/10/22 20:11
- 名前: キャッツアイ (ID: Z5cmkimI)
寒い寒い2月。
受験や卒業や、冬休みの季節。
世間を大騒がせするほどでもないが、全国新聞の、目立たない欄に、文字のみでのっているニュースくらいにはなる強盗事件が何件かあった。
犯人グループは4人の女、音大生でアマチュアバンドボーカルの、華、コーヒーショップ経営者の、麗。マラソンランナーコーチの、都。政治家の娘で、物理研究者の、薫だった。
おとめチックなコードネームを使いこなす、素人怪盗の彼女たちは、それなりに冬の泥棒稼業を満喫していた。
寒い寒い2月。
冬休みや、冬休みや、冬休みの季節。
作者が文章をくどく繰り返して、読者の脳裏に季節をインプットするさみしい努力をしているころ。
コーヒーショップTAKE5に、朝からずっと居座るお客が一人。
華だった。現在もうすでに18時。
かの女は、店内の雰囲気のいいBGMを勝手に操作して、お気に入りの激しいロックバンド曲に変えている。
そしてマニアックな音楽雑誌をぱらぱらけだるそうにめくりながらずっとカウンターに座ってうだうだしている。
この店の美人オーナー麗が見かねて、しかりつける。
「あんた、一日中ずっとここでダラダラする気?いい加減になにかしなさいよ、音大の授業はいかないの?」
「いいのいいの、どうせ自主練習だから。」
「練習しなさいよ。」
「私練習するの嫌いー。辛気臭いもん」
「そんなんだから私たちのバンドはいつまでたってもへたくそなのよ、」
「いいんだもんー」
「ずっとだらだらしないでよ、めざわりねえ、コラ華!しゃきっとせい、」
「ええ〜〜」
全く言う事を聞かずに愚だ愚だする華。イライラする麗。
「れいちゃ〜〜〜ん」
ふやけた声でからむ華。
「うるさい!」
「いい事思いついたんだけど~~」
「どうせろくなことじゃない」
「ねえってば〜〜れいちゃーん」
カランカラン、とさわやかな鈴の音がして、店のドアが開いた。都と薫が一緒に入ってきた。
「いらっしゃい、二人とも。」
「あれ、華、いたんだね。」
「そうなのよ、このナメクジみたいな人、なんとかしてくれない?」
「あはは、麗も大変だ。」
都は適当に笑う。違うのよ~ほんとに大変なのよ、と麗。
「それより聞いてよ2人とも。薫はさっき道路で犬にほえられて、よけようとしたら、つまづいてこけそうになって、それをダンプカーにひかれそうになったんだよ。」
さも面白そうに話す都だが、彼女が一緒にいて助けなければ、薫はいまごろひかれて死んでいたという、恐ろしい話である。
「あいかわらず運がわるすぎだね。」華も笑う。
都はいちごみるくを、薫は苦くて濃い、エスプレッソ珈琲を注文した。
マラソンのコーチをしている都は、自分自身の体つくりも欠かさない。
毎日のランニングやトレーニングの後には、糖分が足りなくなるらしく、都はいつも甘いものを好むのだ。
薫は、物理学の研究員をしていた。頭は特別いいのだが、仕事の話は素人がきいても理解不能。本人が言うには、何か素晴らしい次世代の事を研究しているらしい。宇宙にあこがれる、ちょっとぶっとんだ思考の小さい美女なのだ。
麗はコーヒーを淹れながら、きっと薫の脳には麻薬が必要なんだろうな、と思う。味見してみると、エスプレッソは毒薬のように苦い。これは人間の飲み物じゃないわ。それに、一見さわやかな、感じのいい体育会系美女、都の好みは、乙女チックないちごみるく。これもイメージに合わなさ過ぎてちょっと気持ち悪…いや、これはちょっと言い過ぎかな。麗は、特製のいちごみるくを作りながら自分でストップをかける。