コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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一つの力と百つの微力と
日時: 2015/10/28 23:00
名前: ガッキー (ID: XsTmunS8)

ガッキーです★
すみません、調子こいてました。
書き溜めが出来ないので、不定期更新とさせていただきます。
誤字があります。チェックは入れていますが、見付けた際は教えて下さい。あと、感想も気軽に、ふわっと教えて下さい。モットーは『ゆるく楽しく勇ましく』ですので。嘘です。最後のは多分『浅ましく』だと思います。
以下、簡単なキャラ説明↓↓↓




カザミ(かざみ)

主人公。百つもの術を持つ男。中学三年生にして、良家の次期頭首である。部下のサヤと日々何かしら頑張っている。髪は茶色混じりの黒色。




サヤ(さや)

カザミに仕える、一つの術を持つ女。中学三年生よりも遥かに前から、カザミの身の回りの世話を任されている。主人のカザミと日々何かしら頑張っている。髪は白色混じりの銀色。




すみません、説明が下手ですね。すみません。
頑張ります。

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Re: 一つの力と百つの微力と ( No.1 )
日時: 2015/10/28 23:06
名前: ガッキー (ID: XsTmunS8)

「サヤ!こっち!」
「了解です」

これは、死んでから始まる物語。

「追っ手は振り切れないか」
「まだ、何か策がある筈です」

これは、生きたまま終わる物語。

「寒い、寒い・・・」
「しっかりして下さい!カザミ様!」

願いは彼方へ、想いは何処かへ消え去る。

「やっぱり、逃亡何て無茶だったのかな」
「無茶ではありません!」

極寒の裏路地。倒れた僕は再び立ち上がる事も出来ないまま呆然と「寒い」と繰り返していた。サヤの双眸から流れ落ちる温かい涙が僕の頬に当たる。

「ゴメンね・・・ゴメンね」
「私は幸せです!謝らないで下さい!ほら、行きましょう!もう少しで逃げ切れますから!!」

「ねぇ、サヤ」

「な、何でしょうか!?私に出来る事なら何なりとお申し付け下さい!」

「我儘でゴメンね」

僕は、伸ばす。寒さで感覚の無くなった自分の腕を。最愛の部下、サヤに向かって。

「ですから、謝らないで下さいと言ってーー」

神は残酷だ。

僕等は間違っていないのに、たった数十人の追っ手から逃げ切る事も許してはくれない。

神は残酷だ。

僕等は間違っていないのに、たった数十cmの距離を埋める事も許してはくれない。
伸ばした僕の腕は、サヤが手に取るよりも先に冷たいコンクリートの上に落ちた。
意識が、段々とーー

Re: 一つの力と百つの微力と ( No.2 )
日時: 2015/10/29 10:39
名前: ガッキー (ID: npB6/xR8)

「おーい」
何だろう、何かが聞こえる。
「おーいおーい」
うーん、五月蝿い。目を開けたくない。
「おーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーいおーい」
「ーーだぁッ!五月蝿い五月蝿い!耳元で『おーい』連発しないでくれよ!!」
やむ無く起き上がり、声がした方向に怒鳴る。寝起きで大声を出したせいか、頭が痛いが・・・まぁ良いや。
「起きるのが遅い!このチュパカブラス!」
いきなり何でだよ。
声の主は、緑色のショートヘアを揺らしながら僕を罵った。身長は、僕は座った体勢なので正確には分からないが、僕より小さい。僕が立ったら腰より少し高い位じゃないだろうか。まぁ、僕もそこまで背が高い方じゃないのだが。
(そこまでではないにしても、取り敢えず)ちっちゃい女の子は、罵った後も鼻息荒く僕を見下ろしている。
「起きるのが遅かったら『おーい』連発して良いのかよ!僕は朝に弱いんだ!」
僕は即座に反論した。
しかし。僕のこの反論は全く彼女に効かなかった。
「朝じゃないけどね」
「・・・へ?」
朝じゃない?なら、何で僕は寝ているんだ?夜しか眠らない良い子で健康的な僕が何故、朝でもない時間帯に起こされているんだ?
しかも、僕が寝ていた場所って地面じゃないか。雪も積もってるし、背中が濡れてしまっている。・・・何してんだ僕は。
「今は夜。ミッドナイトよ」
深夜?ますます分からない。僕が深夜に外を出歩いてそのまま寝ていた理由が。
「何で僕はここに?深夜なら僕はベッドの中にいる筈なんだけど」
「忘れた訳?」
「はぁ」
忘れたのだったら、どうせ大した用事ではない筈だ。そんな思いがあるから、僕の口からは気の抜けた返事が出る。
「そう言えば、サヤは?いつも僕の隣にいるんだけど」
話を少し変える。しかしこれは作戦ではなく、本心から思った疑問だ。それこそ、僕が深夜に外を出歩いていた理由以上に可笑しな事なのだ。サヤはいつもいつでもいつまでも、僕の隣にいる。
「おアツい関係ね」
「ただの主従関係だよ。・・・で、どこにいるか知ってる?」
冷やかしを受け流し、女の子に問うた。
「後ろに寝っ転がってるわ」
言われた通り振り向くと、サヤがだらしなく涎を垂らしながら寝ていた。サヤは絶対僕のが眠りについた後に寝て、僕よりも絶対早く目覚めるので、僕は今までサヤの寝顔を拝見した事がなかったのだが・・・予想以上だ。
「・・・・・・カザミ様ぁ」
「可愛い寝言はいいから。サヤ、起きろ」
「はい」
僕が声を掛ける。それだけでサヤはむくりと上体を起こした。まるで、寝たふりをしていたかのように。
何だコイツ。寝呆けるとかそういう概念は無いのか。
サヤはキョロキョロと周りを見渡し、すぐにいつもと違う事を察したようだ。
「ここは、どこでしょうか」
「僕も分からない。この子に起こされたんだ」
「・・・・・・」
僕が女の子を指差すと、サヤは女の子の事を見詰め始めたーー否、睨み始めた。
「ーーカザミ様、お下がり下さい!!」
それから突如、サヤが叫んだ。
僕もそれには慣れているので、滑り易い地面に一瞬戸惑いながらも素早く後ろに下がった。
念の為、両手で顔を隠して重心を下に下げる。
腕と腕の隙間から女の子の動きを窺うが、女の子は首を傾げて動かない。
「・・・どうした?」
「何となく危ない気がしたので」
「勘で僕を下がらすんじゃねぇよ」
「いえ・・・一瞬、ほんの一瞬ですが、彼女の周りのオーラが歪んだもので・・・」
オーラが歪んだ。
それが示す事実は、あの女の子が何かしらのアクションを起こそうとしていたという事だ。僕等に向かって『何かしら』を行おうとしたという事だ。
それだけで下がらすか?と思う人もいるだろう。
しかし、あの女の子は僕にとってもサヤにとっても、得体の知れない相手なのだ。警戒しておいて損はないだろう。
まぁ、後でサヤは減給にするけどね(まさに外道!)
「それで、何で僕は・・・僕等はこんな所にいるのかな」
「忘れた訳?」
僕の問いに、女の子は先程と全く同じ言葉で返す。
何だ。何なんだ。僕等は何を忘れているんだ。
「はぁ・・・覚えてないなら教えてあげる」
女の子が溜め息を吐く。口から排出された白い息は、少しの間視認出来たが、やがて宙で掻き消えた。

「アンタ達は死んだの。実家に居続ける事に嫌気が差して、逃亡を図ったけど、寒さで二人仲良く凍死したの」



そう言えば、・・・そうだったかもしれない。


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