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- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.95 )
- 日時: 2014/11/15 18:05
- 名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)
第二十二話・後編 <対抗戦編>
そのころリリアン達は、突然響いた爆音に呆然と立ち尽くしていた。
「これはさすがに…なんかあったっぽい、ですよね?」
ハク君が、上目遣いでみんなを見る。その首筋には、うっすらと汗がにじんでいた。
「…ただ事ではないでしょう。すぐに校舎に向かいましょう」
カイル君もめずらしく緊迫した面持ちで言い、すぐに歩き出す。
そのあとにリリアン、おびえているロゼッタ、「ジーク先輩どうしてるだろ…」とつぶやくハクが続いた。
はっ、とロゼッタがいきなり顔を上げた。
「あのう、風魔さん、雷魔さん。みんながどうしているのか、ちょっと学園内を見てきてくれないでしょうか…?」
「え?」
使い魔二人が驚いた声を出す。
雷魔が心配そうに述べた。
「こんな状況で、主をおいていくわけには…なあ、風魔?」
「いやあ、なあ?正直この学園がどうなろうと俺達精霊には知ったこっちゃねぇけど…嬢ちゃんの頼みとありゃあ、行くしかねえだろうよ。」
「僕も賛成です。」
風魔の言葉にかぶせるように、カイル君も言う。
「心配しなくとも、ロゼッタさんは大丈夫ですよ。…僕達、結構強いと思うので。」
そこまで言うと、雷魔もしぶしぶ「…分かりました。」と諦め、風魔とともに去っていった。
「はあ…あの二人がいてくれた方が安心だと思うのになあ。」
とたんにハクが不満そうに呟いた。まあリリアンも正直同じ気持ちだったのだが、ここは先輩としてたしなめておく。「まあまあ。ただ理科室とかでちょっとした爆発が起きただけかも知れないし。ね?」
優しい声で諭されたようで恥ずかしくなったのか、ハクはそっぽを向いてぼそりと答えた。「…分かってますよ」
はは、本当にジークがそばにいないときはかわいくないなあ。
そんなことを思いながら歩いていると、後ろから嫌な気配を感じた。
「!」
みんなもそれに気づいたのかお互いに目配せし、それぞれ武器を構えた……が、時すでに遅く。
全身黒の格好をした数人の男達に囲まれていた。どうやらつけられていたらしい。
「あれ…なんかこの人たち、危ない感じがするよ?」
思ったままを口にすると、同意の声が返ってきた。「僕もです。」「私も…」
ただハクだけが、「え?え?何この人たち?」と緊張感ゼロだった。
黒服の一人が口を開いた。
「もし学園へ行く気なら…ここを通すわけにはいかない。」
ふふ、やっぱりそう来ますか…。
暗く、敵意がこもったその声に、ハクも何かを感じたようだ。ゴクリと唾を飲み込む。
すると、カイル君がさりげなくみんなに近寄り、ささやいた。「隙を突いて突破しますよ。……ハク君、何とかお願いします。」
突然役目を押し付けられたハク君は一瞬「俺!?」と自分を指差し、焦り顔になったものの、緊張した面持ちでうなずいた。
それを確認したカイル君が、残念そうな表情を作って後ろを向いた。
「…そうですか、分かりました。仕方ありませんので…」
3…2…
「押し通らせていただきます。」
1!
その瞬間、男達の足元に、とがった岩がいくつも突き出した。
「何!?」「おい、何だこれは!」
その騒ぎに乗じて、カイルたちは走り出した。
「よくやったねぇ、ハク君!」
「うん。上出来でしたよ」
「はい…すごい、です…」
みんなにほめられたハク君は、ぶすっとした顔を少しだけ赤らめ、言った。「ジーク先輩以外にほめられても、嬉しくありません」
そのとき、誰も予想していなかった出来事が起こった。
「……っ!」
バタリ。
「え?ロゼッタちゃん!?」
いきなり、ロゼッタが倒れたのだ。
それは本当に誰も、ロゼッタ本人さえも予想してしていなかったハプニングだった……。
次回、ロゼッタはどうなってしまうのか?お楽しみに。