コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ビューティフル・ライフ
- 日時: 2016/07/16 22:24
- 名前: まる (ID: 7t3xTCdd)
みなさん、はじめまして。
まると申します。
「美しい人生」
意思を曲げずに生涯を全うした人、もしくは誰かのために美しく人生を全うした人。
この世には、数は少ないとしても必ずそんな人たちが存在していたはずです。
人は誰でも美しい心を持っています。
天性の才能は、それを磨くことでやっと表に出るようになったもの。
天性の才能を持った人は、その磨く才能が一際人よりも早く目立っただけです。
人は誰でも美しい心を磨く才能を持っているのです。
その心を駆使して、自分のために生きるのか、人のために生きるのか。
どちらとも究極で、やり遂げることは難しい。
しかし、やり遂げ終えた人生は、必ず美しくあるのです。
この小説は、そんな美しい人生を全うしたひとりの男性の話です。
投稿は初めてなのですが、初めてなりにできることをやっていこうと思います。
更新は大分遅めかもしれませんが、どうか温かく見守ってください。
よろしくお願いします!
Page:1
- Re: ビューティフル・ライフ ( No.1 )
- 日時: 2016/07/16 22:51
- 名前: まる (ID: 7t3xTCdd)
第一話
「もしもし」
静寂の賑わう街。
騒音の響く路地。
掠れた通る声。
「うん、うん。元気だよ。上手くやってるよ。心配しないで」
自分でも本音なのかわからなくなる程違和感のある言葉に、喉を詰まらせる。
「ありがとう。近々そっちに行くから。うん、そのときは連絡するよ。じゃあ、また。」
プー、プー、と 気持ちの切れた音がする。
もうしばらくは接点はないだろう。
そんなもんだ。
白い息を吐いて、静けさの喚く通りにでた。
まだ秋の残る街に、寒さが入り込む。
「寒いなぁ。」
心臓の鳴る家へと向かう。
それは、たったひとつの心臓。
俺にとっては大切な心臓。
「おかえり」
耳に、鼓膜に、その言葉が女性ならではの声の心地良さとなって優しくじんわりと響いた。
寒さがじんと鼻を刺激する。
金属音を立てながら鍵を閉め、このご時世のため、丁寧にチェーンを掛けて靴を脱いだ。
家にあがって、スーツが今まで自分の身体を締め付けていたことに気付く。
「あぁ、ただいま。今日も寒いね」
ネクタイを緩めると、彼女の顔も緩んだ。
「ごはん、今から出すから」
そう言って座っていたベッドから立った。
思わず抱き締める。
「あはは、酔ってるの?」
「酔ってない」
「酔ってるよ。都会に酔ったでしょ?すっかり滅入っちゃってる。」
彼女は一度息を吸って、吐いた。
「私のために、ここまで来てくれてありがとう」
時間が止まった気がした。
なんで今更そんなこと。
「いいんだ。親父がいなくなってから、俺には何ものこってないんだ。どこにいったって、変わらない」
彼女は何か言いそうな気がしたが、遮るように「お腹すいたぁ」と間抜けな声を出してみせた。
くすりと聞こえる笑い声が耳にこそばゆい。
「ごはん」
彼女は嬉しそうに台所へと向かった。
___そう、何も変わるはずがなかったんだ。
親父、親父。
あんたは、俺にただひとつ、大変なものを残してこの世から消えてしまった。
そのせいで、俺の人生は大きく変わりだしたんだ。
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。