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Re:   雨漏り傘。【短編集】 ( No.11 )
日時: 2016/04/24 17:35
名前: 洸。  ◆qiPqkmYC.c (ID: ZSw8dY6l)





  「一日一歩前進せよ」.カメラの中には笑顔があった.



春の暖かな陽気に身を包まれ、僕は玄関の扉を開けた。
上を見上げれば、真っ青な青空が僕を見下ろす。
空気を思いっきり吸い込み、「行くぞ!」と気合の声を出した。
3段ほどの階段をリズムよく降り、思い切り道に出る。


(よし、この調子だ)


意外と心が怯むことなく出られ、なんだか拍子抜けするが。
地面を靴で蹴り進みながら、青空の下を僕は走り抜けた。


 ×


(あ……どうしよういざ入るとなるとめっちゃ怖い)


目の前にそびえ立つ学校が、僕にはものすごく大きく見えた。
いや、大きいのだが。そりゃ大きいに決まっているけども。
僕をすれ違う人が、学校が、僕の方を見て笑っている気がするのだ。
妄想もここまでくると笑ってしまう。そう、所詮僕の妄想なのだ。
——じゃあ、なんで校門をくぐれない?

手汗が出てくる。一歩、足を動かせないことが勇気のなさを表していた。
高校2年から着ていなかった制服に、なんか違和感を感じる。すると、


「あれっ、満也(maya)? うわ満也じゃんモノホンだあ!」
「今どきモノホンなんて言わないだろ……。久しぶり」
「そういう涼(ryou)は、昭和歌謡曲好きだよね。お久、満也」


後ろから聞こえる声に、なぜか心をくすぐるような懐かしさがこみ上げた。
お笑いを見ているような、言葉がポンポンと飛ぶ声が聞こえて。
後ろを振り向けば、そこには——


「……っ!」


——僕が、この世界で一番大好きな彼らが変わらず立っていたんだ。
同時に、僕が避け続けていた彼らが。僕を心配し続けていてくれた彼らが。
……神様、もし1つだけ願いをかなえてくれるなら。


(一日一歩でもいい。前に進む力を与えてください——)


 × ×

久しぶりの更新です。一か月ぶり、でしょうか。
文の可笑しさには目を瞑っていただけると幸いです。
私の大好きな、友情物語。(後々、恋愛になるかもですが)

1つお知らせ。今年から、作者は受験生となります(高校受験)
ですので、更新は2か月に一回のペース……もっと遅くなるかも。
ご了承ください: