コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 美女4人怪盗団 ( No.4 )
- 日時: 2015/10/22 18:41
- 名前: キャッツアイ (ID: Z5cmkimI)
4 オーロラ、ベル、ジャスミン、アリエル
この4人、全員純粋な日本人である。ではどうして、コードネームなんて言うもので呼び合っているのだろう。ややこしいし、なによりちょっと気取りすぎである。暗号に使うにしても、1号2号、3号4号くらいで良いのではないか。いや、それもまたロボットみたいかもしれないが。
ジャスミンも同意見だったようで、オーロラに抗議した。
「コードネームの事だけど。正直に言うと私まだ、この名前に慣れなくてさ。なぜこんなややこしい呼び方をはじめたんだ?」
ジャスミンは本名を、都、といった。
本名だと、防犯カメラに録音されるかもしれない、誰かに名前を聞かれる心配があるのよ。とオーロラが答えた。
「みんなで呼び合っていればそのうち慣れるわよ。コードネームはやめないわよ」
しつこいようだが、オーロラは日本茶の美女である。本名を、華、という。そしてリーダー華がコードネーム考案者であった。これは、音大生で、ディズニーが大好きな華の趣味が反映された名前である。
「ディズニープリンセス?ちょっと恥ずかしいんだよね」
普段は企業所属でマラソンランナーのコーチをしている都は言った。
「私はそんなキャラじゃないしさ」
華は、絶対変更しませんよ、と自信満々で反論する。
「たとえばペットの犬にはね、自分の名前を覚える犬と、覚えない犬がいるの。飼い主から大事に育てられ、愛情を注がれて、家族の一員になれる犬は、自分の名前を覚えて呼ばれたらやってくるのよ。」
「こういう説もあるよ。きらきらネームを子どもにつける親は、誰よりも個性を大事にする人なの。世界に一人だけの特別な名前をつけるのは子どもへの愛の表れなの。
「ほかにも、旦那から「おい、」「おまえ」なんて風に名前を読んでもらえない妻が多いのよ。彼女たちの不満は、名前を呼ばれている妻よりも大きいことが分かって、離婚率も高いのよ。」
何処から引用したのか、華は理屈をこねさせると天下逸品である。
「私だって、適当に名前を考えたんじゃないのよ。知ってるでしょうけど、ジャスミンは、アラジンから取ったのよ。ジャスミン姫は、色黒でしょ。毎日馬鹿みたいに、マラソンしてこんがり日焼けしてる都にそっくりじゃん。」
「馬鹿みたいに? て言うか、私たち、犬?」
ふに落ちない顔の都、
「それじゃあ、なんで麗ちゃんがベル、薫がアリエル、リーダーの華がオーロラなのか教えてよ?」
「ちゃんと意味はあるのよ。」
華は得意げだ。
「美女と野獣の、ベルは、野獣と恋に落ちるよね。
麗ちゃんも野獣好きだから、ぴったりよ。麗ちゃんは、
男なら、見た目がどんなブ男で、野獣であろうとなんだろうと、誰でもみさかいなく好きになるでしょ。」
「なんですって??どういう意味よ!」珈琲店の主、スタイル抜群の麗が、怒りだす。
「アリエルは、人魚姫よね。父親が海の王トリトン。薫のお父さんは大物政治家でしょ。
それに、原作では、人魚姫は、王子との恋がかなわず、海の泡になって消えてしまう…運が悪くて、幸が薄そうで、不幸体質の薫にピッタリ。」
「え?私?不幸体質??」薫が驚きショックを受ける。
「眠れる森のオーロラは、3人の妖精に守られてるでしょ?私も麗、薫、都の3人に守られてるじゃん。しかも王子様が迎えに来てくれる!まさに私よね。」
「私たち、姫のお付きの妖精か…今はじめて知った。私、今から姫を守るのやめようかな」薫がどんより言う。
「ディズニーの姫のコードネームなのに、男好きだから?そんな、やらしい意味があったなんて」と麗
「てか、適当に考えたんでしょうが。肌の色だけだなんて」と都
3人に喧嘩をうって、3人のブーイングを食らい、調子のいい華もたじたじとなった。いいネーミングセンスだと思うのにな—とつぶやいた。
美女に宝石、これほど似合う組み合わせはない。美しいドレスで着飾っていれば、どこかのお城の夜会にでも招かれそうな4人組である。
しかし今、彼女たちは、泥棒装束のため、黒い全身タイトスーツの様な格好だった。まるで仮面ライダーの敵の雑魚キャラ、ショッカーのようないでたちだった。
おまけに地下道を全力疾走してきたので、冬だというのに大粒の汗をかいている。アイライン、マスカラといった化粧も崩れ、全員パンダのように目の周りが真っ黒。夜の闇でお互いの顔が、あまりはっきり見えない事が救いだった。