コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 美女4人怪盗団 ( No.14 )
- 日時: 2015/10/22 19:08
- 名前: キャッツアイ (ID: Z5cmkimI)
3日後の新聞に、フリーダ高校資金横領の事件見出しが乗った。
保護者からは非難が殺到。学校側は対応に追われることになるだろう。
トカゲのしっぽ切りで、安藤校長とかかわったとされる恵美里教諭が解雇されていた。しかし理事長も無傷では済まないはずだ。
都はその後もフリーダ高校を時々見に行っていた。
陸上少年が気になっていたのだ。
ところがあれほど熱心に練習していた彼が、理事長の裏金騒ぎの後にはぴったりと練習に来なくなった。
夕方の部活の時間、彼の姿はグランドになかった。
都は心配していた。
2,3日見に行ったが、とうとう都はあきらめた。
その日は薫と一緒に商店街で買い物していた。
食料品をかっていると、見覚えのある少年がたこ焼きを買っていた。
足には大きなギプス。まさか。と都は思った。
少年は都に気付き、手を振って近づいてきた。手と一緒にたこ焼きもふったので、ぐちゃ、っという音がして、あわてて少年は腕を下ろした。
「いつかのおねーさん!久しぶりだね!」
ニコニコと話しかけてくる可愛い少年だ。
「一緒にたこ焼き食べる?」
多分、そのたこ焼き、えらい事になってるよ、と都は思った。でもありがたく頂くことにした。
都、薫、そして少年は、商店街のベンチに腰掛けて、
ぐちゃぐちゃにシェイクされたたこ焼きを、さらに分解するようにつまようじでつついた。
「つぶれちゃったねえ。でも、味は一緒でしょ。」
ポジティブな少年は言った。
「じつはねえ、おれ、足を折っちゃったんだ。なんか痛いなあと思ってたけど、そのまま我慢して走ってたら、ある日立てなくなっちゃって。
疲労骨折、全治3か月。次の大会にはもうまにあわないんだ。」
少年はつとめて明るく言った。しかしその悔しさは都に痛いほどわかった。
「俺の高校もあんな不祥事があったし、他の学校との練習試合は中止になった。これからは、スカウトの人も来ないだろ。もう、駄目かも知れないよ。
俺、プロの選手になる夢はあきらめたほうがいいのかな。」
薫が、こんなタイミングでたこ焼きを地面に落とす。なんとも間が悪い。
聞いていた都は口を開いた。
「スポーツ選手のトップスターになるには、実力はもちろんだけど、運も必要なのよ。大事な試合前に骨折した君は運が悪かった。諦めないとね。」
少年はがっかり…と肩を落としていた。
「 でも、治療して完治してまた走れるなら運がいいとも言える。」
都は言った。
「ほら、これで遊びの占いをしてみない?」
都が手持ちのスーパーの袋に、レシートをとりだす。
レシート裏にペンで何か書いて10枚に破る。
「みて。くじをつくったよ。 将来スター選手になれる1枚、なれない9枚 。この占いでは、なれる確率は10%、
占ってみようよ 引いてみな 。」
小さくたたんだ10枚のくじを袋に入れて混ぜ、それを少年に差し出した。
少年は手を入れて、クジをひく。
くしゃくしゃに丸めた紙を開くと、その紙には、スターになれる、と書いてあった。
「当たりだ!」
少年が、びっくりして嬉しげに叫んだ。
都もそれを見てニコニコした。
「すごいじゃん。あんた、意外と運がいいのかもよ。」
少年もおかしそうに笑った。薫が、「いかさましてるの?」と都に囁く。都はにこにこしたままで、薫の脇腹をつねってねじる。薫はあまりの痛みに眼を見開いて歯を食いしばる。それでも彼女は空気を読んだ。
「 じゃあ、もう一つ運試しだよ。ほら、そこの年末宝くじをかおう!」
都のいきなりの提案に少年はびっくりした。
「絶対当たるわけないよ。」
「わかんないよ、君の運がどれくらいなのかためしてみようよ。ほら、300円だして」
都は強引に買わせる。
「この宝くじはお守りだよ。君の幸運を運ぶ宝くじだよ。結果を楽しみにしてて。」
ぽかんとする少年にくじを押しつけると、都と薫はじゃあね、たこやきごちそうさま、と去って行った。
少年はあっけにとられて、それでも大事そうに宝くじの券を握りしめて二人を見送った。
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------------「……で??今回の儲けをその陸上少年にあげちゃったわけだ?」
コーヒーショップTAKE5で、都は、麗と華に攻め立てられていた。
「えへへ。ごめんてば」
ばつが悪そうに、都は笑ってごまかす。
「都と薫の、2人して、なにしてるかと思えば、こそこそ宝くじの偽物当選通知を作ってたの?
1000万円の大金を、宝くじに当たったよ、って嘘ついて、少年にあげちゃったの??」
「苦労して仕事して、その儲けをぽん、と人にゆずっちゃうの?信じられない!」
「私が苦労して、情報を集めて、成功したお金なのに…。」
「薫も同罪でしょ、なんで都に協力するのよ、」
「もう、ほんとに信じられない!!!」
非難ごうごう、小さくなる都と薫。
「でも、感謝の手紙もくれたんだ、あの子、良い子なんだってば。」
少年から送られてきた手紙を、おそるおそる持ち出す都
「そんなの関係ない!!!」
華と麗の怒りはまだまだ収まりそうになかった。都はあきらめて嵐が過ぎ去るのを待つことにした。
しかし彼女は、テーブルの下で、こっそり彼からの手紙をよんで、満足げににっこりした。
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コーチのお姉さん。
あなたは本当の占い師みたいです。
嘘みたいな話ですが、先日お姉さんにかわされた宝くじが、当選していて、俺は大きなお金を手に入れました。
自分がこんなに運が良いなんて驚きで、今でも信じられません。
さらに運が良い事がありました。
骨折の治療のために通っている整骨院に、同い年くらいの長距離陸上前種がいて、その人と仲良くなる事が出来ました。
名前は設楽くん、双子だそうです。彼も陸上をやっていて色々と話があります。良い友達で、ライバルです。
あれだけのお金があれば、治療費にもあてられるし、学校の奨学金を打ちきられても何とかなります。俺にも運が向いてきました。
また、時々練習を見に来てください。
いろいろとありがとう。 芦谷 タカヒロ
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