コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 彼女の命は、未だ散らない。 ( No.5 )
日時: 2015/10/16 19:09
名前: 深海 ◆XAZUAOywuY (ID: uFFylp.1)

□Episode2


■ 変なヤツ




「おはよう、迫河。」

「……はぁ。」

飛び降りがあったあの日から、コイツ……蜂須君は、私に良く話し掛けて来るようになった。

現に今も、下駄箱で挨拶をされている訳だし。

私はさっさと教室に向かうべく、足を早めるが、何故か蜂須君は隣に並んで、一緒に歩いている形になってしまった。

「……何で隣にいるんだ。」

思わず呟いてしまい、しまったと思った。

これでは、私から会話を投げ掛けているものではないか。

だが、そんな私の気を知る事もなく、蜂須君はこちらに顔を向ける。

「何でって……。理由なんか考えた事もなかったな。

うーん……、強いて言うなら、迫河と話したいから?」

そんな困った様な顔で言われては、こちらもバッサリと切り捨てられない。

私は、そんな自分にイライラした為、1つ舌打ちをして、一層足を早めた。


******


「ねぇ、迫河さん。」

一限目が始まる前。

机に教科書やらノートやらを出していた私の元へ、数人の女子生徒が話し掛けて来た。

「……何?」

すると、リーダー格であろう、派手な女子は目付きを鋭くした。

「迫河さん、瑞貴君と一緒に登校してきたでしょ?

どういう事?」

これだ、私があまり蜂須君と話したくない理由の1つは。

蜂須君は、女子に人気があるそうで、それが原因で女子の間ではトラブルが起きる事も少なくない。

話した、メールした、委員会が一緒の人は要注意。

勿論、蜂須君本人は知らない。

まぁ、私も今、こうして尋問されている訳だが。

「……どうもこうもないよ、偶然。

それに、君達みたいな面倒な監視がついている男となんて、極力関わりたくないと思ってるから。」

「はぁ!?」

私が放った言葉に対して、リーダー女子は顔を真っ赤にする。

すると、丁度チャイムがなり、教師が入って来る。

「ほら、早く戻った方が良いんじゃない?」

女子達は、私を睨むと、急いで着席した。

周りの生徒達は、私と女子達をちらちらと交互に見る。

そういや、私もクラスから見てみると、かなりの変人なんだよな、と今さらながら思い出した。

そう心で呟いていると、不意に蜂須君と目が合う。

蜂須君は、私に向かって微笑みかけ、小さく手を振って来た。

私はスッと目を逸らし、再び思った。

こんな私の様な変人に構う蜂須君の方が、よっぽど変なヤツだ、と。