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えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.211 )
日時: 2015/08/09 21:57
名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)

第八十二話 <何でもアリな体育祭編>

「…エリオット。ボクに作戦がある」「え……うん。——うん。なるほど」

どうやら、エリオット君とリュネが作戦を立てているらしい。やっぱり強い人たちと対等に戦うには、戦略が必要だもんね!


「じゃあ、行くよ……ふっ!」

エリオット君がボールから一瞬だけ手を離すと、その周りをぶわっとつむじ風が取り巻く。


「お願い、リュネット!」


叫ぶと同時に、追い風に吹かれたボールが勢いよく飛んでいく———


そして、コートの向こうの2人が身構えた瞬間、リュネが手をかざしたのが私には見えた。



そして次の瞬間、



「うわっ!」「きゃあ、何!?」



音もなく、何の前触れもなく、目を焼く真っ白な閃光が、空中を照らした。


これはっ……!


これは、パン食い競争の時にリュネが使った技———エリオット君が的確にボールを投げてさえくれれば、敵は目が眩んで勝手に当たってくれる!…単純だけどいい作戦!


「決まった……これでボクたちの……!?」「えっ!?」


だが、そんな考えも甘く。リュネの瞳がわずかに見開かれる。


相手コートから、黒い塊が噴き出した。…正確には、そんなふうに見えた、としか言えない。なぜかというと、それしか表現する方法がないから。


そしてその黒い塊は、あろうことか純白の光を———半分、かき消したのだ。


その有り得ない光景に、私たちは絶句するしかない。そして、ボールを受け止めたらしいフリトさんが口を開く。


「これは、俺の使用魔法のうちの一つ———闇魔法。本来なら、闇は光に勝てない……はずだが、今回は違ったようだ」「……ッ!!」


まさか……作戦を立てても、当てられないなんてっ。強すぎる…!


「じゃあ返すぞ、しっかり受け止めろよ」

「!来るぞみんなっ」


一瞬肌寒さを感じた、その直後。


本能的に危険なものを感じた私は、あわてて飛び退る。そしてさっきまで立っていた場所を、青白い冷気を纏ったボールが薙いで………、


ぞわり、と体に震えが走る。それが冷気からくるものなのかは定かではないが———。今のは完全にまぐれだった。そのことが、頭の中をぐるぐる回る。


「うわあっ!」「いたっ」「きゃあっ」白チームのコートを、仲間の悲鳴が埋め尽くす。




———四人。




今のボールで、四人がヒットしていた。


残ったのは私、エリオット君、リュネ、なぜかルーク君(彼の場合、運が良かっただけだろう)、そして男子一人、女子一人。


なんてテクニック、そしてパワー……!


さらに、それでも勢い余ったボールは外野———ハク君の手に。



どうしたら。このままじゃ確実に………!



次回、第八十三話。お楽しみに☆