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優希はいつの間にか、カウンターの向こう側にいた。

【これからしばらく書けないかもです。】

ということは、さっき壁に釘を打ち込んでいたのは、あとであそこに看板か何かを掛けるためだったのだろうか。


【・・・・まぁ、最悪一人でも、なんとか、します・・・・多分】

一見ごく普通の建物の中にある、通路の壁に掛けたところであまり意味がないような気がするけれど。

まぁ、それでもきっと、掛けないよりかは、ましなんだろう、多分。



【今更ですが、目次をコンパクトにまとめる方法を学びました。どうでしょうか？】

お客さんも、それなりに居るみたいだし……


【……寂しい】

「今日はお客さんとして迎えるよ、夕香。それに君も。」

【おお、コンパクト！】

優希は俺を指さして、わざとらしくウインクをした。


【お久しぶりです！ ありがとうございます。】

三人の間に微妙な空気が流れる。


【ただいま帰りました。】

優希もしばらく固まっていたが、ごまかすように大きな咳払いをして、俺たちに目の前のカウンター席に座るよううながす。

優希は慣れた手つきで二つのグラスにトングで掴んだ氷を入れて、ボトルから水を注ぐ。


【皆どこへ行ってしまったんだろう………僕はまだ諦めない。】

ただの一滴さえも、水をこぼすことはなかった。

【入ってもよろしいでしょうか…】

完全にプロの技だった。

【もちろんです。】

手の動きはなめらかで、スキがない。

【すいません、部活忙しくて。出来るだけ書けるよう頑張ります！】

俺の目は優希の手つきに釘付けとなった。

【ありがとうございます。頑張ります！】