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Re: *誇り高き竜騎士達へ* ( No.1 )
日時: 2015/12/27 04:01
名前: 梅飴 (ID: I.inwBVK)


純白の大きな卵。
空から声がした。
「君がそれを育てなさい。一生の相棒だから大切に育てなさい。」
アーサーは迷いなく卵を拾うと、大切に抱きかかえ家にダッシュで帰った。
「か、母さん!見てこれ!すごいの拾った!」
ビックリして笑い出す母を期待したアーサーは、母の愕然とした表情を見てビックリした。
「どこでそれを拾ったの?」
震え声で聞く母は、倒れこむように椅子に座った。
「空から声がして、育てなさいって。一生の相棒だからって。」
それを聞いた母は、笑い出した。
「そっか」
机を見つめ、微笑む母はとても優しい顔をした。
「おいで、アーサー。その卵を水と一緒に鍋にいれて、暖炉に置いておきなさい。水は卵の半分よ。それと鍋はうちで一番大きいのを使いなさい。ゆったりとさせておきなさい。」
その通りに行ったアーサーは疑問をぶつけた。
「お母さん。なんで、そんなに詳しいの?」
母はまた微笑んだ。
「お父さんもアーサーと同じころに卵を拾ったのよ。一緒に一日中眺めてたわ。一週間後くらいに日々が割れたわ。あ、ここら辺は言わない方がいいわね。お父さんは生まれたドラゴンと一緒に戦ったのよ。」
「僕が生まれる前の世界終焉戦争?」
「そうよ。お父さん、世界が終わろうとした時、なんとか止めたんだけど、そこで死んでしまったの」
母はアーサーを膝の上に呼んだ。
座ると、頬を優しく撫でた。
「私は、お父さんを失ったけど、あなたがいたから頑張れた。あなたもいなくなってしまって、もし死んでしまったら、私は生きてはいけないわ。でも、きっとこれも運命よ。竜と共にある戦士は皆、天の声を聞いたと言うわ。お母さんはあなたを愛してるわ。たまには帰ってきてね。でも、まだ世界に旅立つには早いわ。修行しなきゃね」
パチパチと薪が燃える音がする。
そのすぐ隣で、卵がカタカタ動いていた。