コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: うたかた乱舞 ( No.2 )
日時: 2017/04/02 01:02
名前: Ria (ID: GpMpDyKr)

皆さんこんにちは。

私は後藤 雛菊。

演劇部に所属している普通の高校2年生。

特に目立った特徴はない。

特技は…高速で瞬き出来ること…かな。

「ひなちゃん、どうした?難しい顔だぞ?」

「蘭。…ちょっとね」

「1人であんま悩むなよー?あ、これ脚本な」

「うん。ありがと」

嶋 蘭。

蘭とは中学からの仲で、信頼している友人だ。

想像力に優れていて、先生の描いた脚本の直しを頼んでいる。

先生だけでも充分なのに、蘭は更に完成度を上げてくれる。

部員も個性的な人が多く、何度か賞を頂けるほどの実力がある部だ。

そんな部活を、誇りに思っている。

…それなのに最近の悩みは。

「あ、部長ー。うぃーす」

「おつかれー」

「やっほーひなちゃーん!」

先輩が抜けてから、部活は絶賛ダラけ中。

「…はい、基礎練するよー」

部長を引き継いだ私が、なんとかしないといけない。

何だか、やる気が起きないのだ。

だからといって、練習が嫌になった訳じゃない。

元は先輩達に憧れて入った部活だった。

上下関係も悪くなく、心地が良かった。

…その先輩が居なくなってからと言うものの。

「(なんだかなぁ……)」

私はストレッチをしながら蘭の脚本に目を通す。

先生はオリジナル作品を書くのを好む。

一応部長だから目を通すが、私が直すところは一切ない。

「脚本印刷してきます。各自発声練習で」

「はーい」

この時間帯の廊下には、様々な部活動の声や音が響いている。

印刷室は少し蒸し暑さを感じさせた。

印刷を待っている間、私は窓を開けた。

「(…もう秋だなぁ…)」

枯葉が空で踊っていた。

校庭とは逆の方向で、生徒の姿は見当たらない。

…はずだった。

「有山?」

見たことのあるその後ろ姿に、私は声をかけた。

Re: うたかた乱舞 ( No.3 )
日時: 2017/04/13 19:14
名前: Ria (ID: 3iXrSoY/)

有山。

同じクラスで男子の中では一番小さい。

友達も沢山いて。

それから…一部の女子から陰ながら人気。

彼にはそんな印象ぐらいしか持っていない。

なんでこんな中途半端な時間に、しかもこんなところに居るのか。

「げっ…!」

有山はそれだけ言うと、走って行った。

……変なの。

私は印刷し終わった紙をまとめ始める。

しばらくすると、車の音が耳に飛び込んできた。

「(やば…開けたままだった)」

窓を閉めようと手をかけた時だった。

「(花鳥風月…?)」

そう書かれた車には、有山が飛び乗り、あっという間に見えなくなってしまった。