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- 金色の魔女とオオカミ
- 日時: 2016/01/24 20:07
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
主な登場人物
□シュガー
金色の髪を三つ編みにしている。桃色の瞳。
金色の魔女と容姿が似ているため、差別されてきた。
自由気ままでふわふわとした性格。家族は猫のラユ。
□ウルフ
赤茶色の癖毛。琥珀色の瞳。
辛い過去があったらしい。
□ラユ
シュガーのたった一人(匹)の家族で、シュガーを大切に想っている。
基本おだやか。人間の言葉話せる。
実は結構すごい魔法の使い手。
▽目次▲
プロローグ >>01
第一章
1 出会いの日 >>02-03
2 焼き上げのクッキーとチンピラ >>05
3 !!絶体絶命!! >>07
4 救いの紳士 >>10
5 金色の魔女、銀色の魔女 >>11-12
5.5&6 ウルフの想い. リリーとウルフ >>14
7 キョーダイ >>15
8 愛を知った日 >>16 >>18
9 イリマール国 >>23
9.5 王からの手紙 >>25
10 partner >>26
11 思い出を代償に >>28
12 死んだ姉の姿 >>29
13 リリー・イリマール >>31
14 リリーの初恋 >>32
15 リリーの恋、そして終わり >>33
16 恋の恨み >>35
17 ありがとう、ごめんね、愛してる >>38
18 最後の微笑み >>39
19 根拠のない安心感 >>40
20 パートナー成立 >>42-43
第二章
21 王都ルジェルダを目指して >>47
22 ウルフの憂鬱 >>51
23 銀色の少女 >>52
24 リア >>54
25 試験説明とラユの心配事 >>57
26 試験前日の夜 >>58
27 試験管理人、フーラ >>60
28 『心』の試験、受験者シュガー >>61
29 『心』の試験、受験者シュガーpart2 >>62
30 バカみたい >>63
31 心の差 >>67
32 ふほーしんにゅーしゃ >>68
33 偽ウルフ >>70
34 シフォン・クリン >>72
35 話し合い >>73
36 『心』の試験、受験者ウルフ >>74
37 『心』の試験、受験者ウルフ part2 >>75
38 二次試験『心』の試験、受験者ウルフ>>76
39 復讐or信頼 >>77
40 選択 >>81
41 空への願い >>82
番外編
シュガーとウルフのお話し広場 >>13
参照100突破記念 あかずきん >>17
ぱすてるとシュガーのお話し広場 >>22
愛を奏でる >>30
色々してみた >>34
参照300突破記念&Halloween企画 迷子とハロウィンとシュガー >>36-37
第一章を終わって◇キャラ達の感想 >>45
『生きる』 >>50
参照600突破記念 ほのぼのおにごっこ >>53
キャラプロフィール◇シュガー編◇ >>65
キャラプロフィール◇ウルフ編◇ >>78
バカでも風邪をひく >>79-80
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- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.57 )
- 日時: 2015/12/04 18:57
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
少しお久しぶりです。
◇◇◇
#25 試験説明とラユの心配事
「ーーええ、では、続いて国王様から試験の内容についてをご説明してもらいます。心してきくように」
イリマール国の大臣、アムトラフがそう告げると、それまで眠そうにしていた人々ーー試験受験者達が顔をひきしめる。
せめて、中級魔術師になることを目標とした者。
賞品を狙って光魔術師を目指す者。
自分の力を試すために試験に出場する者。
純粋に、無事に試験を終える事を望む者。
シュガーは最後の者だった。
故に、試験説明などはどうでもよく、「ふわぁ〜」とあくびをしていた。
その隣で、そんなシュガーを横目に睨みながら説明に耳を傾ける少年、ウルフ。
そんな二人を不安そうに見守るラユ。
シュガーとウルフには、『信頼』が足りていない。
その事が原因でラユに心配をかけていることにも、二人は気づけない。
『試験』に対して、これ以上にないほど不安定な状況だと思えた。
そんな二人を見つめながら、回りの敵たちは『論外』と札をつけていることにも気づかずに。
話を国王に戻すと、
「今回の試験では、二つのことを受けてもらう。一つは『力』もう一つは『心』じゃ。
『力』では、この場にいる試験受験者にAグループ、Bグループ、Cグループに別れて戦ってもらう。
戦い方は自由じゃ。剣、魔法、拳…。思う存分に暴れるがよい」
その言葉をきいてか、微かに歓喜の声がするのが聞こえた。
それには能天気なシュガーも、少し怯えてしまった。
「ただし!」
ざわつく会場をたしなめるように、威厳にみちた声が会場全員にいる者の鼓膜を震わせる。
「ただし、『力』の試験は、『心』の試験を突破出来たものにしか受ける権利をあたえない。
『心』の試験は、それぞれの心に足りないものを思い出させる、そんな試験じゃ。ちょいと難しいから、三回まで挑戦できることにした。
『心』の試験を突破でくなかった者は、その時点でさようなら、じゃな。
まあ、可哀想じゃから、試験権利の剥奪まではしない。また来年挑戦しなさい」
試験の内容に、シュガーが、ウルフが、その場にいる受験者が息を飲む。
力よりも心の方が面倒くさい。それを感じ取ったらしい。
そんな反応を楽しむように、国王キースは笑みを浮かべ、
「最後にひとつ、アドバイスをやろう。
バートナーを作らせたのは、何故なのか、それをよく考えて試験を行え。
自分を失うな。自分をこわがるな。自分を優先するのではなく、他人の事に気を使え。仲間をたより、信頼を築き上げろ。
ーーそれを心に刻めば、試験なんてへっちゃらに解ける」
よく分からない言葉を残した国王は、満足したような顔で部屋の奥へと消えていった。
それを見届けたあと、ラユは小さく吐息を漏らし、シュガーにも聞こえない声で、
「…相性が悪すぎるよなあ」
と呟いた。
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.58 )
- 日時: 2015/11/29 20:16
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#26 試験前日の夜
指定された部屋に戻った二人と一匹は、長旅だったこともあり、疲れていた。
眠たいのに、眠れない。
そんな状況に二人とも陥っていた。ラユだけはぐっすりだが。
「ねぇ、ウルフ?」
沈黙に耐えかねて、シュガーが口を開いた。
「ん?眠れねぇのか?オレもだけど」
「そう。ーー大丈夫、だよね」
珍しく不安そうなシュガーに、内心で驚きつつ、優しく笑ってウルフは応える。
「大丈夫さ。試験なんて、楽勝楽勝」
そう言いながら、おどけてみせるウルフに、鈍感なシュガーにもその優しさは分かった。
「ーーありがとう、ウルフ。ごめんね」
三つ編みにしていたはずの髪が、寝る前はふわふわとなだらかなウエーブをかいた髪に変わっている。
その金色の髪をゆらして、謝罪してくるシュガー。
その謝罪の意図がわからず、ウルフは首を傾ける。
「本当なら、ウルフはわたしじゃなくても良かったのになぁって。
無理矢理、わたしを選ばせちゃったから。他の人より、ハンデだし」
髪をいじりながら上目使いでこちらを見つめるシュガーに、ウルフはどうしようもない感覚に刈られた。
怒りがわき、キッと目の前の少女を睨み付ける。
「そんなこと!そんなこと、思ってねぇよ!お前こそ、オレで良かったのかよ?」
怒りに感情をまかせてしまっていたせいか、本音が漏れてしまう。
シュガーはその言葉に驚き、目を見開いた。
「わたしはね、願ってたの」
ソファで丸くなるラユの側にいき、その背中を優しく撫でる。
その手つきには信頼と愛情があふれており、最愛の家族だということがわかった。
「わたしは、金色の魔女と容姿が同じ。だから、わたしを嫌う人はこの世界にごまんといる。
わたしと一緒にいてくれる人なんて、ラユくらいしかいないの。
でも、わたしを助けてくれたあなたならーーって願ってた」
はにかむように笑うシュガーを目の前に、ウルフはもやもやする感情を覚えて、胸のあたりをさする。
「ふわぁ、喋ってたら眠たくなってきちゃった。もう、寝るね」
そう言ってソファから立ち上がり、ドアへむかう。
そして、ドアを開ける直前、こちらをふりかえり、
「ありがと、ウルフ。あなたで、良かった」
秘密ごとをするかのように笑い、最後に「おやすみー」と残してドアを閉めた。
そんなシュガーを見送り、ウルフは複雑な感情をいだいたまま、重い足取りでベッドに向かった。
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.59 )
- 日時: 2015/11/30 09:42
- 名前: 彩 (ID: /M2Jvana)
また来ちゃいました!(来なくていい)いつの間にか更新されてて…
頑張って下さい。
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.60 )
- 日時: 2015/11/30 14:30
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
こんにちは、ぱすてるです!!←
今日学校休みなんですよ!わーいわーい!
参照700越え!ありがとうございます…!
これからもシュガーとウルフ温かーく見守りください。
彩さん>>お久しぶりです、がんばります!
◇◇◇
#27 試験管理人、フーラ
夜があけ、時間は午前九時を回る頃。
二人は、見上げるほど大きい扉の前にいた。
「これがーー『試験の扉』」
感嘆の吐息を漏らし、独り言のように言葉をつぶやくシュガー。
「これを通れば、試験が始まるんだよね?」
「ああ、そう言ってた。ーー行くか」
ちなみにラユは部屋で待機している。
ラユはシュガーと契約をしている精霊猫だ。『力』の試験では許されているものの、『心』の試験では入れないことになった。
受験は時間でくぎられているため、他の受験者もいない。
つまり、二人きり。
孤独感を味わいながらも、ウルフの問いかけに静かに頷く。
「ーー」
重い扉を開くと、そこにはーー。
◇◇◇
扉をウルフが開けると、眩い光が瞼を焼いた。
思わず目をつぶり、光が弱まるのを感じて目を開ければ、
「ーー真っ白」
どこまでも続く終わりのない『白』が空間を支配していた。
自分が地面にたっているという感覚すらもなく、空中をふわふわと漂っているような感じだ。
ウルフは、いなかった。
おそらく、今あの少年は自分と同じような空間にいるのだろう、と本能で感じ取った。
そしてここは、現実にはない幻想世界なのだろう、ということにも。
確かめるようにくるりと辺りを見回し、その存在に気づく。
「ーー」
白く短い艶やかな髪、雪のような白い肌、きらめく銀色の瞳、袖の長い白い服。
この空間にとけこんでしまいそうなほど、白だけでできた少女だった。
眠っているのか、白い椅子に腰かけて腕をくみ、静かな寝息をたてている。
「あの、ここは、試験なんですかーー?」
決して近くはない距離にきこえるように口にてを当てて大きく話す。
うとうと、と頭を揺らしていた少女はこちらの声が届いたのか、頭をあげた。
「んぁー、よく寝た!!なあに、あなた。受験者なの?」
伸びをしながら問いかけてくる少女に、慌てながら応える。
「は、はい!シュガーっていいます。…あの、あなたは」
「あたい?あたいの名前はフーラ。200年前に生まれた精霊で、今は試験管理人として働いてんのさ」
「に、にひゃ…!?」
驚きに目を白黒させるシュガーをみて大口を開けて笑い、
「そんなに驚かなくてもいいじゃん?まあ、どうでもいいんだけど」
素足でこちらに歩み寄るフーラ。
シュガーは緊張で体を固くしながらも、ジッと待った。
「んじゃあ、さっそくだけど、試験を始めようか」
フーラはシュガーの目の前で止まると、手を差し出した。
行動の意図が分からず、眉をよせると、フーラはその反応すらも面白いという風に、また笑う。
「あたいに触れると、試験が始まる。さあ」
フーラは手をずい、と差し出してくる。
戸惑いなからも、遠慮がちにその白く細い指に触れた。
また、あの光が再びシュガーを包み込み、空間は『白』から切り替わる。
シュガーの『心』の試験が、幕をあけた。
- Re: 金色の魔女とオオカミ ( No.61 )
- 日時: 2015/12/01 21:05
- 名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)
#28 『心』の試験、受験者シュガー
甘い匂いをかぎとり、柔らかな日差しを浴びながら原っぱから体を起こした。
青空は、遠くて、透き通っていて、きれいで。
その瞳にきらきらと青空を写しながら、立ち上がる。
「この匂い…。ホットケーキだっ!」
『三時のおやつはシュガーの好きなものにしてあげる』そう言って微笑んでくれた母の顔を思い出す。
とたんに顔を明るくし、ぱたぱたと駆けていくアホ面。
それが、自分の物だと思い出すのに、随分と時間をかけてしまった。
「ここは、あなた、シュガーの過去の世界でーす。時はシュガーがまだ六歳の時」
いつの間にか隣にいたフーラが、人差し指を立てて説明をしてくれる。
過去の世界、言われてもピンとこないが、これが『試験』なのだろう。
「ーーー。ーー?」
それじゃあ、これが試験なの?ときこうして、その違和感に気づく。
声が、でない。
驚いて口に触れようとして、また驚く。
手が、口が、足が。からだが、存在していないのだ。
驚きで声をあげようにも、声をだす口がない。
「あなたは今、魂だけでこの空間に存在しているのでぇーす。ま、試験が終わったらなおるから安心しなよ」
ほっ、と魂だけで落ち着いたあと、すぐさま意識を過去に切り替える。
シュガーと母が楽しそうにホットケーキを食べているところだ。
今は亡き母の姿に、ない胸が痛む。
「えぇっと?あの事件が始まるまで、あと十時間。時を進めよう」
そう言いながら、フーラは手をだして、右から左へとスライドさせた。
それに呼応するように、目の前の空間がくるくると変わっていく。
太陽が落ちて、月が輝き始めた時刻になった。
そこまでされて、ようやくあの悲劇のことを思い出した。
まさか、あの事件ってーー!!?
人生の中での一番の最悪の思い出。
思い出したくなくて、ずっとずっと心の奥にしまいこんでいた、昔の記憶。
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!!!!!
やめて!!あのことを、あの事件を!!思い出させないで!!
声はでず、思いは伝わらない。
「さあ、シュガー。これがあなたの認めるべき過去なんだよ。今まで知らぬふりをし続けた君は、いったいどんな反応をするんだろうね?」
楽しそうに、愉快そうに、残酷に笑うフーラが、悪魔の顔にしかみえなかった。
でない声で叫びながら、ない手で頭をかきむしりながら、ない目で涙をあふれさしながら、シュガーは過去を受け入れずにいた。
◇◇◇◇
幼シュガーは母と一緒に寝ていた。
しかし、寝苦しさを覚えて、体をおこす。
夜だというのに明るい光。冬だというのに汗をかくほどの異常な暑さ。
なにかがおかしい。幼いながらもその事に気づき、ベッドから降りた。
「誰か、いるの…?」
怯えた声で、そっとドアを開いて、シュガーは地獄をみた。
「あ、ぁ?え、これ、どうなって……?え?」
目の前の状況を理解できず、頭をかかえて座り込んでしまう。
火で包まれたリビング。
そして、ドアのまわりをくるりと囲むようにしている、黒い人達。
黒い人達は銃口をこちらに向けていた。
「コイツが、魔女の子か。忌ま忌ましい、魔女め。世界の害虫め。汚れた血め。お前なんかが、生きていていい世界ではないんだよ。さぁさあーー」
立て続けに酷い言葉ばかりをかけられ、幼い子供が腕をかかえて泣き出してしまうのは当然だった。極め付きはーー
「死ね。死んで、この世界に謝るんだ。魔女の子め」
にやり、と不敵にを笑い、その銃の引き金をゆっくりとひいてーー。
「私の娘に、言いたい放題ね。どういうつもりなのか、聞かせてもらっていいです?」
キャラメル色の髪をゆらし、シュガーの母、ラフィーが剣の先を男の首もとにつきつけていた。
「おぉ、これはこれは、ラフィー様ではないですかぁ?いやぁ、お久しぶりですねえ。息災であられましたか?」
気雑多らしく前髪をかきあげる仕草に、思わずシュガーは嘔吐感を覚えた。
「ふん。分かってていたんでしょ、何もかも。シュガーの事も、私の事も」
目の前に立ちはだかるラフィーに、シュガーは何がなんだか分からない、といいたげな顔で黒い男と母の顔の間で視線をさまよわしていた。
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