コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 美女4人怪盗団 ( No.1 )
- 日時: 2015/10/22 18:34
- 名前: キャッツアイ (ID: Z5cmkimI)
1 コーヒーショップTAKE5
都内のオフィス街から、5分歩いて、裏路地に入った場所に、個人経営らしい、おしゃれな小さいコーヒーショップがあった。
席は、4人用テーブルが、わずかに5つほどと、カウンター席。
朝の通勤時には、半分常連と化した会社員でにぎわい、夕方の5時ころには会社帰りのサラリーマンでにぎわう。ごくごく一般的なコーヒーショップ。
看板には小洒落た字体で、TAKE5の文字。それを見れば、オーナー経営者の趣味がJAZZであると,容易に推測できる。
近づいてみると、店外にまで、ひきたての珈琲豆のいい香りが漂っている。香りにつられて、店内をのぞくと、心地よい穏やかなBGM,
中には、カウンターに立ってコーヒーを入れている30代くらいの美女オーナーがいた。美しい髪の毛を一つにまとめて後ろに束ねている。顔は、外国人の血が混ざっているのか思われるほどに彫りが深く、鼻が高い整った顔つきだった。
「美しい・・・。」
彼女にあこがれて、店に通っている男性客は多かった。いや、女性でさえも、うっかり見惚れてしまうほどの美女だった。
美女オーナーは、白いシャツにシンプルなブラウンのエプロン。スタイルもかなりいい。と、次に目をひくのは、カウンター席に陣取って美女オーナーとおしゃべりしている常連らしい、これまたロングヘアーの美女。
ほっそりしていて日本人らしい彼女は、オーナーと並ぶと少し劣るが、1人だけで見ればかなりの美女である。長いまつげと、きれいなアーモンド形の目を眠そうにしばたかせて、日本茶を飲んでいる。湯のみで堂々と日本茶を飲んでいる。
日本茶?コーヒーショップなのに?そのイメージの合わなさに気づいた他の客は、とりあえず、まず、自分のテーブルのメニューを再度見返す。メニューにあるのだろうか、いや、ない。そりゃそうか。では、日本茶は、関係者だけが頼める裏メニューということか。
彼女は店長の友達か、身内か?きっとそうだろう。彼女たちをさりげなくみていると、さっきからオーナーは「れいちゃん、れいちゃん」と呼ばれていた。そうか、「れいさん」か。オーナーに憧れるものは、名前を知れたことにひそかに感謝する。お近づきになりたいな、それにしてもきれいな二人だ、もう少し盗み見していよう、そうやって、自分のコーヒーを飲み終えてからも、居座るサラリーマンは少なくない。
彼女たちの会話はあまり聞こえてこない。男たちは思う。いやあ、盗み聞きはよくないね、でも、あんな美女が、何を熱心に語り合っているのか気にならないかといえばウソになるよ。だからもうちょっと・・・。
何がもうちょっとなのかは分からないが、彼らの妄想は、彼らの中で膨らんでいく。
きっと、おしゃれでカッコいい話をしてるんだろうね、ファッションや美容の話、恋愛、彼氏の話。女性の興味がある事と言ったらこういうことだろう。しかしあれほどの美系なら、残念だが彼氏はきっといるだろうな。結婚は、どうだろう・・・。
彼女たちを見ているサラリーマンは、絶対に気付かなかった。彼女たちが窃盗団であるという事に。そして、今まさに次に狙う獲物の計画を熱心に立てているということは想像もしていなかった。
昨日の新聞に載っていた、宝石店強盗グループが、「れいさん」と日本茶をのんでいる女だという事は、客たちには絶対にばれる事はないのだった・・・。