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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨漏り傘。【短編集】 ( No.3 )
- 日時: 2015/12/28 14:40
- 名前: 洸。 ◆qiPqkmYC.c (ID: ZSw8dY6l)
「桜色の傘の下。」.私は君の後ろ姿しか知らない.
雨は嫌いだ。雨は恵みをもたらすが、やっぱり雨は嫌いだ。
水溜りを避けても、なぜか靴下が濡れるし、服や鞄まで被害が及ぶ。
それに湿気が凄いから、私のような癖っ毛には本当に迷惑でしかない。
靴擦れの酷いローファーで、今日も水溜りを避けて歩く。
反射とかの影響か、間違えて水溜りに足を突っ込んでしまうことも。
その度に、私は心の中で呻いては、代わりの靴下を持ってきた自分に感謝。
「うっわ、遅刻確定……」
スマホを取り出して時間を確認するが、時間の流れはとても速いようで。
なんともう5分前である。此処から学校まで、まだ10分は掛かると言うのに。
また怒られてしまう。怒り任せに、水溜りを蹴り足早にコンクリートの道を駆け抜ける。
すると、後ろから1つの足音が聞こえた。
「速水(Hayami)おはよ! 入れて入れて」
同級生の加賀(Kaga)は、白い肌に黒髪をしっとりと濡らしている。
傘無しで此処まで来たのか、全身はびちょ濡れで肌にシャツが張り付いていた。
整った顔立ちに屈託のない笑顔で、加賀は躊躇無く私の傘の中に入ってくる。
「あーあ、俺ら遅刻だね。一緒に先生に怒られるとしますか」
横でそんな笑顔を向けないで欲しい。
胸の高鳴りが、これ以上は危ない程高鳴っている。
——やっぱり、雨は嫌いだ。
× ×
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