コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *再恋華*(実話) ( No.12 )
- 日時: 2016/07/29 22:44
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: u5JYbeHw)
- 参照: 今は当たり前なんて思わない
第七話『欲張り思考』
「……携帯忘れたし」
学校に着き、ブレザーのポケットを探って私は溜息をついた。
最悪だ、授業中暇だ……。
朝のヘビーな話といい、これといい。
なんだか朝からテンションが下がった。
「依麻、トイレいこー」
「あー……、うん……」
沙菜にそう誘われ、ふらふらと教室から出ようとした。
その時、
「!?」
目の前に、スナック菓子の袋が現れた。
え、え、え……?
私は驚いて、顔を上げる。
スナック菓子を差し出してきたのは——……。
「……ん」
牧葉、だった。
……え、くれるの?
私は驚いたままフリーズをしていた。
しかしやっぱり、牧葉はスナック菓子を私に向けて差し出したままで。
「……あり、がとう……」
戸惑いながらも、一つもらった。
も、もらってよかったんだよね? 勘違いじゃないよね!?
そう思いながらもう一度顔を上げる。
一瞬だけ牧葉の隣に居たきいくんと目が合いかけたが、すぐに顔を逸らされた。
「お菓子どうぞー」
「ありがとう」
それと同時に、私の後ろに居た沙菜も牧葉からお菓子をもらっていたので、とりあえずホッとした。
**
その後も、いつものように授業が進み退屈な時間が過ぎ——。
頭の中はからっぽだが、視界に入る壱などのイケメン達を見ると、やっぱりカッコイイな……なんて思う。
「好き」って訳じゃないけれど、思わず見とれてしまう。
……そんな、感じ。
だから誰かと目が合うわけでもないし、何もない。
カッコイイ男の子を見て素直に「カッコイイ」と思える私は、一応まだ若さが保てている……のか?
周りのイケメンを見て騒ぐ女子たちを見てると、そう思う。
孝仁と別れて約三ヶ月。
復縁も一ヶ月とちょっとだけだったから、それを除いたら五ヶ月くらい経っている。
孝仁がいない教室にも、もう慣れたけれど。
まだこんな感情のままなのに、私は果たして前に進めてるのだろうか。
進めるの……だろうか。
でもちゃんと進まなきゃ。
人生何があるかわからないし、うん。
孝仁を忘れられるくらい、何か大きな出来事がないかなぁ……。
何か面白いこと、ないかなぁ。
——なんて、ちょっぴり欲張りになる自分が嫌になる。