コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- On Your Mark!!
- 日時: 2014/12/19 00:23
- 名前: 玲馬 (ID: Lq/G8jv0)
初めまして!玲馬と申します!
スポーツ系の小説を書くべくやって参りました!
陸上部の物語を書いていきたいと思います…!
文才は無いのでグダグダな文章になってしまうかもしれませんが
少しでも読みやすくなるように頑張りますのでよろしくお願いします。
登場人物の紹介は文章の一番最後に登場順に書いていこうと
思います!
- Re: On Your Mark!! ( No.6 )
- 日時: 2015/01/04 00:51
- 名前: 玲馬 (ID: Lq/G8jv0)
藤原は一年生全員が着替え終えたのを確認し、
次に二年と三年の人数をざっと確認する。
それを終えると、今度は全員に指示を出す。
「まだおらんのは嶺だけやな…」
「ほな、今日は体験やけど今からメニュー教えるから
しっかり聞き。一回しか言わへんからな。
二、三年と一年は別メニューやで。
まあ、そう変わらへんけど…。
じゃあまず、一年は50m走25本!二、三年は50本や!
分かったな。じゃあメニューの前にアップで外周一周と
ストレッチしてメニューを…」
「あの、すみません。」
藤原が指示を言い終えようとした時、
一人、一年生の男子生徒が口をはさんだ。
その男子生徒はあの目つきの悪い一年。
大伴雷だった。
「どないしたん?もう終わるけど
まだ説明、終わてへんよ。」
「でも、どうしてもこれだけはやっときたいんで。」
「どうしてもって…」
藤原が少し顔をしかめる。
すると後ろから声を掛けられた。
「まあ、どうしてもって言うんなら
少し見てましょうよ。」
「紫…。もう柳先生からの話終わったん?」
「ええ。あの子ならさっき会ったわ。
大伴君でしょ?」
「せやけど…」
少し動揺した藤原とは違い、
嶺はニコニコしながら大伴を見守れと言う。
藤原にニコッと笑った後に腕組みをしながら
大伴の方を見る。
そして大伴の方はまっすぐ二年生がいる方に
進んでいく。
そして目的の人物の前で立ち止まると、
その人物を見上げながら言う。
「アンタが一番、速いんでしょ?
…黒川凌太先輩。」
彼が。大伴雷が目的としていた人物は
二年の黒川凌太であった。
雷が黒川を見上げ、そして黒川も雷を見る。
黒川はふ〜と息を着く。そして
「一番速かったら?どうすんの?」
大伴は黒川を見ながらニヤリと笑う。
「…俺と勝負してくださいよ。100mで。」
部活動体験の場でありながらとんでもないことを
言いだす大伴。
勿論、こんなことを言っている大伴を放っておかない
人物がいる。
「ちょっと!アンタ、また何言いだしてんのよ!
今は部活動体験の時間なのよ!しかも藤原先輩が
話してるときに口挟むし!
それに凌太に勝てる訳ないでしょ!
凌太のタイム何秒か知って…」
「10秒68…陸上やってたら知ってます普通。
それに…」
「勝てる訳無い勝負に挑むと思いますか?」
美袋の方を振り向きながら少し余裕を見せた
言葉を返す。
そんな大伴の態度に少しムカッとした美袋は…。
「でっ!でもねぇ!今は部活動体験の時間なんだから!
ちょっと!凌太からも何か言ってよ!」
「俺はいいよ。」
大伴を指さして黒川にムスッとしながら言うが
黒川は大伴が仕掛けた勝負を受けると言った。
そんな二人を見て美袋は不服そうな顔をするが
黙ってしまう。
「いいではないですか。美袋さん。」
「ああ、柳先生。」
美袋を宥めるように登場した柳に最初に気付いたのは
嶺だった。
そして嶺が柳に詳しく状況を説明する。
「僕は良いと思いますよ。黒川君と大伴君の
100m勝負。きっと一年生の皆にとっても
良い経験、そして刺激になるのではないでしょうか?
特に短距離走がメインの生徒にとってはね。
二年生と三年生は何度も見たと思いますが
あの黒川君の走りが見られますから。
良いですね?黒川君」
「俺は別にいいッスけど。」
黒川の了承を再度、得るとニコリと笑う。
「では、二人はそこの100mのスタート位置に。
あとの皆さんはコース外に移動してください。
それと美袋さん、スタートブロックを二つ、
用意して頂けますか?
ああ、それと嶺さん、スタートをお願いします。」
「ええ、分かりました」
「は…はい…」
美袋はやはりまだ、不服そうな顔をしている。
それでも返事をして、スタートブロックを
取り出す為に器具庫へ向かった。
するとその途中で黒川とすれ違う。
「悪ィ。愛衣」
「別にもういいわよっ!柳先生も良いって言ってるし…」
プンッと両頬を膨らませ、ツンツンしながら
器具庫へ向かう。
そんな愛衣を見て苦笑しながら黒川は長ズボンと
ジャージを脱いでTシャツ短パンという軽い服装に
なる。
一方、大伴の方も上に着ているものを脱いで、
体を軽くしたり柔軟をしたり、頭に巻いている
バンダナを巻きなおしたりして準備をしている。
「黒川君!大伴君!ジャージと長ズボン、預かっとくね!」
二年のマネージャー、水谷燕が二人の前に出てきて
二人の上着等を預かる。
そして自分もコース外に退く。
陸上部全員と柳が見守る中で嶺がコースの横へ。
そして二人はスタートブロックの前へ立つ。
- Re: On Your Mark!! ( No.7 )
- 日時: 2015/01/04 02:51
- 名前: 玲馬 (ID: Lq/G8jv0)
二人がスタートブロックの前に居ることを確認すると
ピストルを上に上げる。
そして…
「on your mark」
そう言うと、二人はスタートブロックに足をかけ
スタートのフォームを取り、そしてそれを少しずつ
調節する。
少しの調節が終わると二人の動きは止まり、目は
両者とも、前方を睨むような鋭い目で見ている。
二人の動きが止まったことを嶺が確認する。
「set」
パァン!!!
ピストルの音が鳴ると同時に二人は走り出す。
スタート、そして前半までは二人は互角だった。
部員一人一人の目は二人に釘付けで、誰一人として
声を立てる者はいなかった。
普段、賑やかな筑石ですらも真剣な面持ちで二人を
見守っていた。
穏やかな柳の顔が珍しく険しくなった瞬間だった。
誰もが二人に釘づけになっている中で美袋だけは
特に夢中になっていた。途中、何度も唇を噛み締めた。
後半、今までずっと互角だった大伴の前に黒川が出た
そこから黒川はどんどん前に行った。
後半ではあっと言う間に大伴は抜かれ、黒川がゴールした。
そしてその直後、大伴もゴールした。
頻差などというものではない、誰がどう見ても黒川が
先だった。
「黒川君、大伴君!お疲れ様!はい、ジャージとお茶!」
水谷がジャージを運び、白野が二人分のお茶を持ってきた。
そして美袋や筑石等が駆け寄ってきた。
「さっすが!凌太!やっぱ何度見てもすげーよ!」
「ん…でもやっぱ体重いな…。太ったか?
お、サンキュ。」
水谷からジャージとお茶を受け取った黒川は礼を言う。
そしてお茶を渡した直後の水谷はなんだか嬉しそうだった。
しかし白野は…。
「ね、ねぇ…大伴君。…水分、取らないと…ね?」
大伴は地面に座り込んだまま、俯いていた。
白野の声などまったく耳に届いていないようだった。
お茶も受け取らず、ただただ俯いている。
そんな大伴を見た美袋は…。
「ほら!やっぱり凌太に勝てる訳なんて無いんだから!
ねぇ、凌太!」
美袋はそう言いながら黒川の方に目をやる。
しかし黒川は美袋ではなく、ジッと大伴の方を
見ていた。
そしてジャージを着ると、大伴に近づいて行った。
「大伴雷だっけ…?別に俺はお前を笑いに来たわけでも
蔑みに来た訳でもねぇけど…
ただ、一つだけ。俺、お前みたいなのイイと思うよ。」
イイと思う。そんな黒川の言葉を聞くなり
大伴は瞬時に黒川を見上げた。
目を大きく見開いて、驚きの表情を顔に浮かべながら。
そして黒川は言葉を続ける。
「確かにお前の実力はすげーよ。でも、
潮高校ではまだまだだ。ここには化けモンみてぇな
奴はたくさんいる。
今は藤原先輩にも越されちまうだろうぜ。
速くなれよ。
まだまだなれるだろ。ってか
なっちまうだろ?」
そう言うと、黒川は少しだけ微笑んだ。
大伴はいつも通りに戻り、急に立ち上がると
白野からお茶を引っ手繰って飲み干す。
そして乱暴にコップを白野に預けると
黒川に左手を出し、拳を作り、
中指を立てたのだ。
「アンタに言われなくても、俺、アンタなんか
越しますから。
卒業するまでにね。黒川先輩。」
中指を立てた手を黒川に向けたまま、いつものように
得意げに笑った。
そしてまた、美袋が…。
「アンタッ!それ下げなさいよ!こらっ!」
大伴の手を叩き落とそうとするが
それを美袋の後ろにいた男子生徒が止める。
「まあまあ、せっかく仲良くなったんだからさ。」
「松屋君…」
長身の松屋という生徒が美袋を止めたのだ。
それを見た大伴は美袋に目を移し、笑った。
美袋はもう一回、言ってやろうと思ったが
きっとまた松屋に止められるのでやめておいた。
「皆さん、そろそろ集まってください。」
柳の集合がかかり全員が柳のもとへ駆け寄る。
「今日は二人の勝負で一年生が練習をする時間は
無くなってしまいましたが良い刺激になったのでは
ないでしょうか?
二、三年生は今からまた練習ですが
大伴君?君は最後まで残ってくださいね?」
柳が黒い笑みを浮かべて、大伴に笑いかける。
怒っている人間を見るより怖い…。
「は、はい…」
「では、一年生の皆さんはこれで帰宅してください。
明日からは仮入部となりますので希望者は来てください。
では、お疲れ様でした。」
そして一年生は解散した。
「今年も潮には面白いのが多いな…
楽しみにしてるぜ?お前等と会えるのをな…」
グラウンドを囲う網から見ていた人物が
そっと呟いた。
松屋海斗(まつや かいと)16歳 男
髪色は水色で少しツンツンした髪。
目の色は青。黒いヘッドフォンを付けている。
身長188㎝。
潮高校二年の陸上部。種目は400mハードル。
軽くみえることもあるが、優しい性格。
殆ど怒らない。
よく授業中に寝てる。
2年2組
- Re: On Your Mark!! ( No.8 )
- 日時: 2015/01/04 22:15
- 名前: 玲馬 (ID: Lq/G8jv0)
一年生たちが着替えを済ませ、丁度、帰宅しようとしている
時刻である。
琴瀬が着替えを鞄の中に詰め、同じ陸上部を希望している
黒川京と共に部室から出てきた時だった。
「あ、あの!藍井さん!…藍井琴瀬さん!」
大きな声で呼び止められたので、その声の主の方へと
振り返ると、
そこには白野が居た。
とても緊張した表情で琴瀬をじっと見ている。
少しも目をそらさない。穴が開きそうだ。
「…何?」
いつも通りの冷たさを含めた声で用件を尋ねる。
冷たさを含んだ声色で、白野は呼び止めてしまったので
怒らせてしまったのではないかと少しビクつく。
しかし恐る恐る口を開く。
「ぼ、僕!陸上部のマネージャー希望の白野静です!
えと…藍井琴瀬さん…ですよね?
…わあああ…間違ってたらごめんなさいごめんなさぃ…」
最初は呼び止めた時と同じ大きさの声で話しかけてきたが
緊張のあまり、だんだん小さくなってしまった。
しかしそんな白野を見ても琴瀬はいつも通りの
ポーカーフェイスを保っている。
「別に間違ってない。私が藍井だけど。」
「や、やっぱり!良かった…。
藍井さん…あの…急に呼び止めたりしてすみません…」
白野は呼び止めた人物が藍井であったことに安心感を
覚えつつも、琴瀬の冷たい声色の為か未だに少しばかり
びくびくしていた。
「別にいい。…で何の用か早く言ってくれる?」
「あぁ!すみません!
…えと、その…僕、中学の時も陸上部のマネージャー
してて…!それで!あなたのことも何度か大会で見たんです!
本当に凄かったです!感動ししししました!」
「すみません…これだけです…。」
若干、呂律が回っていないようだ。
白野はまるでずっと言いたかったことを言いきったように
ふぅと胸を撫で下ろした。
そしてビクビクしながら琴瀬を見る。
しかし勿論、琴瀬は怒ったりなどしない。
相変わらずの無表情だ。
「そう…ありがとう。白野君。」
「え…!あの…僕の名前を…!
ありがとうございます!
その!僕も6組なんです!だからまた!
お話しても…いいですか?…」
「いいよ。…宜しく白野君。」
「あああああ!ありがとうございます!」
憧れの人物が名前を呼んでくれた。
そして話しても良いと許可をくれた。
白野は目に涙を浮かべながら琴瀬に礼を言った。
——そして帰り道。
「いや〜やっぱ流石だな!琴瀬!
やっぱお前くらいはえーとファンの一人や二人
いるもんだねぇ!」
京が笑って琴瀬の肩を叩きながら言う。
琴瀬はいたって浮かれたりもせず冷静だ。
しかし京の次の一言を聞くと、目つきが変わる。
「流石!陸上の氷の女王!」
「ねえ、それやめて。」
「何って…」
「氷の女王。…その名前、私、嫌いだから。」
そう言うと一瞬だけ鋭い目つきで京を睨んだ。
しかしすぐにもとの表情に戻る。
そして京とは逆の方向を向く、
「ごめんなさい。私、今日、用事があるから
ここで別れる。また明日。」
「お、おう…」
京も普段、感情を前に出さない琴瀬の急な感情の
表れを目の当たりにし、少し動揺しているようだった。
暫く、琴瀬が歩いて行った方をポカーンと見ていたが
また、すぐに自分の帰り道を歩き出した。
「何だよあいつ…まーいっか」
- Re: On Your Mark!! ( No.9 )
- 日時: 2015/01/05 15:35
- 名前: 玲馬 (ID: iAr9ODfc)
日が落ち、空もオレンジ色になる頃、
ようやく陸上部の二、三年の部員の練習が終了した。
着替えを終え、今日は鍵当番であるため、黒川は一人で
職員室に向かった。
そして職員室の近くまで来た時だった。
「よぉ、凌太。久しぶりだな。」
突然、現れたその人物は黒川の真正面に立ち、
不敵な、余裕のある笑みを浮かべながら黒川に
話しかける。
「玲騎…」
「何だよ。覚えてくれてるじゃねぇか。
こっちに戻って来て、十海の黒川凌太が
潮に入ったって聞いてな…。
ちょっと顔を見に来てやったのよ。」
学ランのポケットに手を入れ、藍井は相変わらず
顔に笑みを浮かべながら、いつも通りの
挑発的な態度で黒川と話す。
「お前の方は渚に入ったんだってな。
今度は完全にライバル状態かよ…。」
黒川がぼそりと言うと、藍井は一瞬、表情を変え
黒川を睨みつける。
しかしすぐにさっきの表情に戻し、ニヤリと笑う。
「ハッ…。凌太、相変わらずお前は甘いねぇ…。
その甘さが他の奴にも影響する…。
何も変わってねぇな。ホントに…ハハハッ!」
「やめろよ…。」
「なぁ!元十海中の部長さんよ!」
そして一瞬、黒川の脳裏にある記憶が一つ一つの
画像のように浮かび上がった。
まるで…フラッシュバックのように。
そこには何人かの二年生に責め立てられ、罵声を
浴びせられる琴瀬の姿があった。
そして次の瞬間は、藍井に飛び掛かっていた。
「やめろっつってんだろ!」
そう言って藍井の胸ぐらを両手で掴み、
すぐ傍にあったフェンスに押し付けた。
黒川の目はジッと藍井を睨みつけている。
そしてその瞳には怒りと、そして悲しみが
籠っていた。
「優しさは確かに大切だ…。
でもな、お前のは優しさじゃない…
甘さはな…人を不幸にしかしねぇんだよ…。」
胸ぐらを掴まれ、睨みつけられてもなお、
余裕ぶった藍井の表情は変わらなかった。
そして更に言葉を続ける。
「琴瀬は変わっちまったぜ。
琴瀬はあの時、以来、たくさんのものを失った。
アメリカに行っても失うものは増え続けるばかりだった。
そんな風に琴瀬を変えちまった原因はお前が…」
———ガッ!!
黒川が藍井を殴った音だった。
藍井は近くの自販機の前に仰向けに倒れこみ、
半身を起こし、血の出た口端を左手の甲で拭う。
「って…。
あの感情を滅多に表に出さない黒川君がねぇ…。」
殴られようとも、藍井のその表情は変わらない。
黒川は肩で息をしつつも、近くに落とした
エナメルバッグを掴み、職員室に走って行ってしまった。
〜登場人物の名前の表記〜
基本は苗字なんですがそうでないキャラもいるので
一応、書いておきます〜。
まだ登場していないキャラは登場してから追加していきます。
藍井琴瀬=琴瀬
藍井玲騎=藍井
黒川京=京
黒川凌太=黒川
美袋愛衣=美袋
筑石泪=筑石
松屋海斗=松屋
白野静=白野
大伴雷=大伴
水谷燕=水谷
嶺紫=嶺
藤原五十鈴=藤原
柳優=柳
アリス・マイルズ=アリス
- Re: On Your Mark!! ( No.10 )
- 日時: 2015/01/10 23:08
- 名前: 玲馬 (ID: Lq/G8jv0)
「ねぇ、潮高校に何しに来たの。兄さん。」
瞳に少しだけ警戒の色を灯した琴瀬が
兄——藍井玲騎の前に立っていた。
「ちょっと…大事な友達とかゆーのに野暮用が
あっただけだよ。」
「黒川先輩のこと…。黒川先輩に何か言ったの?
もしかして中学の時のこと…」
「さぁ?何を言ったかはお前の想像に任せるわ…」
藍井は頭の後ろで両手を組んで、欠伸をしながら
琴瀬の横を通過していこうとする。
そして琴瀬と藍井の距離が近くなったときに琴瀬は
兄の口元の傷に気が付く。
「それ…」
「ああ、これか。まあ、ちょっとねぇ…」
「やっぱり…。言ったんだ…。
私言ったでしょ…余計なことしないでって…。
特に黒川先輩には…。
あの人はきっとすごく…」
「余計なこと?…ハハッ
心外だねェ…
忠告しただけだって…甘さと優しさは
違うってな。」
「だからそれが…!!」
「それが?」
藍井が言ったことに対して、
琴瀬がいきり立つ。しかし、琴瀬が
言おうとしたことは藍井によって止められる。
「あいつが許したせいでお前はあの時、
心から信頼していた仲間を失い、笑顔を
失い、人を信じられなくなった…。
全てはあいつの甘さが引き起こしたことだ。
違うか?」
「でも…私があの時、怪我を知ってて
出たいって言ったから…
だから黒川先輩は…」
「それを止めるべきだったって言ったんだよ
部長としてな。」
藍井の言葉に琴瀬は何も言えず、ただ黙ってしまう。
そんな琴瀬を見て、藍井はニヤリと笑って
琴瀬の横に立ち、琴瀬の頭をポンッと叩く。
「まあ、お前等に会えるの…
楽しみにしてるぜ。」
そう言って、ただ茫然とその場に立ちすくむ
琴瀬を置いて、歩いて行ってしまった。
—バス停 潮高校前
「藍井君?…少し遅かったみたいだけど…
何してたの?急に潮に行くなんて言うから
びっくりしたけど…」
黄緑色のセミロングの髪を横しばりにしている
渚学園の制服を着た女子生徒が藍井に気付き、
振り返る。
「市瀬か…。先に帰っても良かったんだけどな。
まあ、ちょっと友達にね。」
「ううん…。私もちょっとこの近くに用あったから
大丈夫。
その友達って中学の?」
「まあね。お、丁度バス来るか…。」
そう言って二人は並んでバスを待った…。
・市瀬雛乃(いちせひなの)女 16歳
髪色は黄緑のセミロングで横で束ねている。
目の色は薄茶色。身長161㎝。
渚学園二年の陸上部のマネージャー。
大人しめで恥ずかしがり屋な性格。
ちょっと気弱。
・十海中学(とおみちゅうがく)
玲騎、琴瀬、凌太、京の母校である
中学校。
陸上強豪校であったが四年前のとある
大会をきっかけに実力が落ちつつある。
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