コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 音色に君をのせて(完結。番外編更新中)
- 日時: 2017/04/08 08:54
- 名前: Ria (ID: L2AVnGiq)
眠れ眠れ
緑の息吹たちよ 健やかに
小さき華
芽生え 風になびく 僕の唄
初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。
声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。
でも、どこか声に儚さを感じる。
触ったらすぐに消えてしまいそう—。
私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。
——————————
初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。
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目次
>>1-74 本編
>>75 あとがき
>>80 キャラ紹介
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- Re: 音色に君をのせて ( No.61 )
- 日時: 2016/11/18 20:34
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
「美鈴…保健室行こう?」
私は顔を上げずに、首を横に振った。
こんなみっともない顔、見せられない。
でも、涙が出ている訳ではない。
…涙は昨日のうちに枯れてしまったのか。
いくら悲しくても出なくなっていた。
「美鈴も…見ちゃったの?」
乃亜が椅子に座った音がする。
美鈴も…?私も?
「…知ってたの…?」
掠れた声ではあったが、乃亜はちゃんと聞き取ってくれた。
「…うん。この前お見舞いに行った時、偶然」
なら…どうして黙っていたの?
「鈴音くんには口止めされてたの」
「…なん…で…?」
「…今から言うことは、嘘じゃないから。」
私はゆっくりと顔を上げた。
「美鈴に、心配かけたくない…って言ってた」
- Re: 音色に君をのせて ( No.62 )
- 日時: 2016/11/23 12:09
- 名前: Ria (ID: 31lZGh9F)
心配かけたくない。
それは、どういう意味なのか。
答えは乃亜が言ってくれた。
「鈴音くんもさ、美鈴が好きだからだよ」
私を…?
その瞬間、頭にあるメロディーが流れた。
「(続きの…音…)」
イノチノ唄。
演奏が途中から迷走していた、続きの音。
「?どうしたの?」
「…ピアノの音が…浮かんだの」
どこまでも伸びていくような音。
ひとつひとつの音が丁寧で、絡み合う。
でもそれは—。
途中で少しずつ解けてしまう。
その後は—。
聞いたことがない。
歌詞も知らない。
後半のメロディーも知らない。
「…行かなきゃ」
逃げてちゃいけない。
「…大丈夫なの?」
「…怖いよ。でも…知りたいから」
いつまでも逃げていたら、この前と同じになる。
「私は、変わらないといけないもの」
「(美鈴…)」
乃亜は、初めて美鈴のこんなにも力強い表情を見た。
- Re: 音色に君をのせて ( No.63 )
- 日時: 2016/11/24 22:09
- 名前: Ria (ID: mnPp.Xe.)
私は学校が終わるとすぐに病院へ向かった。
大輝と乃亜も来てくれることになった。
「…いない」
いつもの場所に、姿はなかった。
—場所すらなかった。
「…どういうこと?」
乃亜が思わず呟く。
机の上にも、ベッド上にも、何も無いのだ。
「そちらの方でしたら…」
偶然通りかかった人が場所を教えてくれた。
隔離部屋。
—病状が悪化したから。
頭によぎるのはそれだけだった。
その場所に、鈴音はいた。
いつもに増して白い顔で、今にも溶けてしまいそうで…。
「お前、大丈夫なのかよ」
「平気平気」
声に力はなく、少し痩せた気がする。
「輸血で、人が多い所だと感染症の疑いがあるからって移動になったんだ」
私は、気がついたら泣いていた。
—死んじゃう。
そんな物騒な言葉が頭を過ぎったから。
乃亜と大輝は席を外してくれた。
「この前はごめんね」
「…こっちこそ…。それで…歌詞の続きが知りたくて」
「…ちょうど書き終わった所だよ」
ちょうど…?
「もう、長くないかもしれないから…」
嫌な予感だけは、昔から当たる。
私はベッドに仰向けになっている鈴音の頬に触れた。
「…冷た…」
鈴音の手が私に重なる。
冷たい。
「…暖かいや…」
鈴音はとても気持ちよさそうに見えた。
私は、涙でいっぱいになって、何も言えなくて。
しばらくの間、泣いていた。
私の手にも、暖かい鈴音の涙が伝った。
- Re: 音色に君をのせて ( No.64 )
- 日時: 2016/11/26 00:04
- 名前: Ria (ID: IxtPF2j4)
眠れ 眠れ
緑の息吹たちよ 健やかに
小さき花 芽生え
風に なびく 僕の唄
何も無い毎日
退屈だと思っていました
外の緑はみんな自由で
誰にも縛られず 生きている
そんなことに気を惹かれ
俺は旅に出てみました
感じる 風の鼓動
聞こえる 俺の心の鼓動
眠れ 眠れ
緑の息吹たちよ 健やかに
響き合う この鼓動
貴方達に 届いていますか
あの小さな命は
どこから飛んで来たんだろう
僕は自由を奪われて
小さな鎖に 縛られました
見つけたものは綺麗で
ひとつひとつに手を伸ばした
感じない その暖かさ
聞こえない 僕の心の暖かさ
眠る 眠る
自然好きな少年は 深く
彩られる 床が
僕に現実を 突きつけた
もう終わりなのかな
大好きな 風に流される旅
もう 触れられないのかな
大好きな 自然の命
眠れ 眠れ
緑の息吹たちも 僕も
自然は 命をつなぐ
僕は 何も 残せない
「…これが、僕の物語の結末だよ」
この歌詞が、鈴音の物語。
私は泣き止んだばかりの顔をまた濡らした。
「身体の回復が…弱くなってるんだ」
「……」
涙を拭う手を、振り払うことができない。
悲しくて、悲しくて仕方ない。
「勝手に…終わら…ない…でよ…」
まだ、私は約束守れてないの。
演奏が完成していなかったの。
「ピアノが完成するまで…待ってよ…」
「…もぅ、いいよ…」
…なんで?
やめてよ…。
そんな簡単に、諦めないでよ…。
「…本当は…もっと美鈴と…一緒に居たかったのに…」
私は鈴音の全部を抱きしめた。
「私は…ずっと鈴音の傍にいたいの」
「鈴音がいいの」
だから—
まだ失わないで。
旅はまだ、これからでしょ?
- Re: 音色に君をのせて ( No.65 )
- 日時: 2016/11/26 13:06
- 名前: 立山桜 (ID: ???)
何て言ったらいいか分かんないけどすごいね…。なんかもう感情がでてる。更新頑張れ!
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