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- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【新章スタート!】 ( No.133 )
- 日時: 2015/01/03 21:37
- 名前: 雪兎 (ID: gDKdLmL6)
- 参照900突破!ありがとうございます。 
 第三十九話 <女神像奪還作戦編>
 私達は今、私立エルフォード学院の校門前に来ている。
 といっても、それは囮班だけで、実行班はすでに敷地内に潜入済みだ。
 私達の耳には小型の無線機がはめられており、それで連絡を取り合うということになっている。
 連絡を待っていると、無線にザザザッとノイズ音が走った。
 「…連絡が来たみたいだな。」
 隊長が小声で呟き、私達は真剣に耳を傾けた。
 『実行班が校舎内に入りました。囮班も続いて、指定の位置についてください』
 リンダさんの声だ。私達は一般の人たちに怪しまれないよう、声をひそめて言った。「「了解。」」
 「…行くぞ」
 隊長の後に続き、校門の向こうへ足を踏み入れた。もう引き返せない。
 そこで私は、不安と緊張の中にかすかな高揚感が芽生えるのをを感じた。
 こういうのってスパイみたいで、ちょっとかっこいいかも。
 勿論、そんなことを思っているのは私だけのようで、皆一様に緊張した面持ちだ。
 …気を引き締めなくちゃ。
 そうして、私達は校舎へと入って行ったのだった。
 ☆
 「ここ…ですね。」
 エリオット君が、地図から顔を上げる。うん、指定の場所はここだ。
 周りでは、生徒がちょっとした出店を開いていた。まるで文化祭みたいだ。
 私達は、一旦作戦を確認することになった。
 「まず、エリオットとリュネットに大声で喧嘩をしてもらう。フィリアはそれをなだめる演技をしつつ、周囲の人たちの目が集まったと思ったら俺に合図する。そして俺が、ジークたち実行班に合図を送る。…覚えているな?」
 私達はコクリと頷く。だけど、この二人に大声で喧嘩する役をまかせるのは、正直言って不安だ。気弱な少年と無口な少女につとまるのか?…まあ、隊長が決めたことだから仕方ないけど。
 話をもどそう。
 この喧嘩をすることで、女神像がある場所に近い警備員を、おびきよせることができる…はずだ。そしてこの場所にはカメラが設置されているから、喧嘩の様子が各場所にあるテレビに映されて、人々の目をテレビに向けさせることが出来る…と思う。
 なぜ女神像のありかが分かったかは、まあ後々分かると思う。
 不確定要素ばかりだけど…やるっきゃないのだ!!
 あ、二人は顔が分かりにくいように、エリオット君は黒ぶちメガネを、リュネットはフードを、私はつばの長いキャップをかぶってます(髪の毛も収納済み)。
 私たちは所定の位置に着いた。たこ焼き屋さんの前である。
 では…レッツ、アクション!
 「ち、ちょっと。ここは、君が払うって約束だったじゃないか!」
 「…記憶に無い。あなたが払うべきだと思う」
 設定は、「たこ焼きのお金をどちらが払うかでもめているカップル」だ。考えたのは会長だが、もうちょっとマシなのは無かったのか疑問である。
 それにしても二人とも、思ったより声が出ていていい感じじゃない?一般客も、「何だ何だ」と集まってきている。この調子!
 ここで私の出番だ。
 「まあまあ二人とも、落ち着きなよ。割り勘にすればいいじゃ…」
 「絶対にヤダ!」
 ハモる二人の声。うわっ、すごい演技力…。
 言い合いはさらに激しくなり、掴み合いまで始まりそうな勢いである。
 野次馬が「いいぞ!もっとやれ!」とけしかける。
 すると私の視界の隅で、警備員が動いた。こっちに向かってくる!
 今だっ。
 私は無線に話しかけた。「ОKです!」
 「…了解。」隊長が遠くで頷くのが分かった。ふう…。
 すると、さっきまで警備員がいたところに、実行班四人がひょっこり顔を出した。
 そして、近くの部屋にするりとすべりこんだ。
 うまく、行ったみたい!
 囮班はお互いに目で成功を確認し合うと、脱兎のごとくその場から逃げ出した。警備員の「おい!」という怒鳴り声が聞こえたが、追いかけてはこなかった。
 私達はいそいで校舎裏の茂みに隠れた。「うまく行ったね!」
 エリオット君が心底安心した表情で笑みをこぼす。私も、「うん!」と頷き返した。
 「では、とりあえずここで連絡を待とう。」
 隊長も安心したのか、少し口元がほころんでいる。
 「それにしてもすごかったね、二人の演技っ。びっくりしたよ!」
 「えへへ……。」
 リュネットはそっぽを向いてるけど、安心感がものすごく伝わってくる。
 良かった…!
 私達はそこで、実行班を待つことになったのだが…。
 次回、その時実行班は何をしていたのか?お楽しみに。
 長くて読みづらくてすみません!))汗
