コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【オリキャラ募集中】 ( No.179 )
- 日時: 2015/05/05 21:59
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
- 第六十六話・後編 <何でもアリな体育祭編> 
 ざわざわと、会場中の興奮が冷めやらない中。
 今、白チーム代表のプランス君と、緑チーム代表のハク君がスタートラインに立っている。
 ハク君は自信たっぷりで鉢巻をまき直し、プランス君は少し汚れてしまったのか上着の裾をぱしぱしと払っていた。どちらも強豪チームの代表ということで、カメラを構えている人がさっきまでより増えた気がする。
 「ふんふん。今までは、風魔法が有利な傾向にあったと思うんだけど…。ハク君の力は未知数だからなあ、なんてったって緑チームにいるくらいだし」
 「まあ、確かに予想はしづらいですわね。でも…」
 キャンディさんが、何かを期待しているかのように、含みのある声で答えた。
 「今回も先ほどの勝負のように、劇的に勝たせてくれる相手とは思えませんわ。」
 えっと…ハク君はやっぱり強いってことかな…?
 「っと、そろそろ始まるみたいだよ。」
 エリオット君が身を乗り出すようにする。まあ風魔法としては、プランス君が先輩だもんね。
 私も試合に集中するぞ!!
 ☆
 『位置について。よーい…』
 試合の開始を告げるアナウンスに、少しざわめきが小さくなる。
 パンッ。
 乾いた銃声が響いた。…二人が走り出す!
 ☆
 初め、二人は平行に並んで疾走していた。
 「…ははっ。じゃんけんで負けた身とはいえ、チームの期待を背負ってるからね。悪いけど、勝たせてもらうよ」
 プランスは余裕そうに、顔にかかる金髪を払う。それに対して、ハクはふんと鼻を鳴らした。
 「へ〜え。…結構な実力者みたいっスけど。僕は、ジーク先輩の強さしか認めてませんから」
 いかにも興味なさそうに目をそらすと、そのまま白チームのテントのほうに視線を向けた。
 「ああ、見ててくださいっスジーク先輩!僕はあなたに無様なところ見せたりしませんから!」
 目をキラキラと輝かせ、走りながら両手を組み合わせるハク。相手に余裕があることに少し腹が立ったのか、プランスは8メートルほど先にあるあんぱんを指さした。
 「ほ、ほらっ。早く勝負をつけようじゃないか!まあ僕は、ここからでもパンを取ることができるのだけどね…」
 そう言って手をかざし、パンに狙いを定めるプランス。そこに、一瞬の油断が生じた。
 「よっし!この時を待ってたっスよっ。観念するッスっ!!」
 すると。
 いきなりハクが加速した。まるで、何かから逃げるように。
 当然、そんな動きを見逃す相手ではない。
 「はっ、その程度の加速で——」
 言いかけたプランスの前に、突然数個の石が出現した。
 「っ!?な———」
 「へっ。お先にッス!」
 ハクは既に、岩の破片で糸を断ち切ろうとしていた。
 「待てっ!これぐらいで足止めできると…」
 その声に、ハクは振り向きざまにニヤリと笑った。そして、握っていたこぶしをパッと開く。
 次の瞬間、石が爆発した。
 いや、正確には粉々になったのだ。
 本来ならあり得ないのだが、さすが中等部トップクラスの実力者である。
 泥岩。堆積した泥の塊が崩れたとすれば———。
 「ひ、ひぃっ!?僕の…チャーミングな衣装があ!!」
 この後プランスは、服や髪に入り込んだ砂を取り出すのに、30分の時間を要したという……。
 なんかいろいろ説明できないような現象が起きてる気がする…。
 次回、第六十七話。お楽しみに☆
