コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【オリキャラ募集中】 ( No.180 )
- 日時: 2015/07/07 22:23
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
- 第六十七話 <何でもアリな体育祭編> 
 結局、波乱のパン食い競争も緑チームの勝ちに終わった。
 今は、次の競技までしばし休憩中。私たちは白チームのテントにいる。
 はあ〜、つっかれたあ!
 すぐにへたり込んでしまう自分が悲しい。まだ一競技しかやってないのに、すごい疲労感だ。
 「おつかれ、フィリア。はい、飲み物もらってきたよ」
 ふいに頭上から、紙コップが手渡される。中には冷たいスポーツ飲料が入っていた。
 「あー、ありがとエリオット君。助かるよ」
 これは嬉しい!私は遠慮なく、一気に飲み干した。ぷはあ!
 するとなぜか私をじっと見つめていたエリオット君は、顔を赤くしてばつが悪そうに眼をそらした。
 「ん?どうし——」
 「あ、あのさ!なんか、さっきうわさで聞いたんだけど……」
 なんだかはぐらかされてしまった。…まあいいか。
 「何を?」
 「うん、なんかね。桃チームが棄権するらしいんだ。」
 「「えっ!?」」
 なんでそんな!!……って、あれ?いつのまにか私の後ろで話を聞いていたらしいキャンディさんが、あんぐりと口を開けていた。
 「そ、それは、どういうことですの!?」
 うん…私も気になるな。いったいどうして?
 「本当かどうか、わからないけどね。どうやら体育祭を見に来ていた生徒の親御さんたちの何人かが、『こんな野蛮で危険なイベント、うちの子にはやらせられない!』…って、抗議したらしくて。」
 へ、へぇ〜…さすが、超セレブ校。なんか箱入りって感じだなあ。
 「まあ、桃チームはそういう親が特別多かったんだろうね。やむをえず、って感じさ」
 「なるほど。こんな面白いイベントなのに…そんなの損ですわ!」
 キャンディさんが扇をひらひらさせながら不服そうに言う。まあ、私にとっては普段の授業のほうが落ち着いてて好きなんだけどね…。
 「…て、ことは。…残り4チーム。ライバル…減って、たす、かる」
 「わっ、リュネ!?」
 いつの間にか、リュネが私とエリオット君の間から顔を出していた。いつから聞いてたのかな…?
 「そう!そういうことですわねっ。ちょっと残念な気もしますが、これはチャンスですわよっ!」
 キャンディさんが、嬉しそうにほおを紅潮させて言った。
 ☆
 休憩時間も、あと5分と少し。私は、第一校舎の裏へと向かっていた。
 なぜかというと、エリオット君に呼び出されたからである。一人で来てなんて、何の用だろう?
 校舎裏につくと、すでに思いつめた様子で壁にもたれるようにして立っていた。
 「おーい、エリオット君!ゴメン待った?」
 「い、いや!僕のほうこそ急に呼び出してごめん。」
 …ここのところ、いや今も、やっぱり元気がない…。
 私はこの機会に、話を聞こうと思っていたのだ。
 「それで、どうしたの?」
 まずは、話を促す。「うん、あのさ……」
 「まずは、ごめん!…謝る。」
 えっ?
 私は急に頭を下げたエリオット君を、呆然と見つめた。「ど、どどどうしたの!?」
 「僕、全然役に立ててない…。フィリアには、いっぱい勇気をもらって、いっぱい助けてもらってるのに。」
 「そんな———」
 違う。そんなことない。だって———
 「…せっかく、魔法も使えるようになった。いろんなことがあって、ちょっとでも力が付いたような気がしてたけど…。守れて、ない」
 何を守るのか?…疑問に思ったけど、そんなことより。
 私は、エリオット君の肩を掴んで、力強く言った。「違うよ!確かにエリオット君は、ちょっと優柔不断なことあるけど…でも、何度も助けられてるのは、私のほうだよ!」
 「フィリア…」
 「だってそうじゃない。怖い先輩たちに絡まれた時も、普段の学校生活でも、何気ない会話でも。ちゃんと勇気をもらってるんだから」
 だから、だから。
 「これからも、私を支えてよ。私も、エリオット君を支えるから」
 そう言ってほほ笑む。伝わったかな、私の気持ち?
 「ありがとう、…ていうか、僕のほうが慰められてるなんて情けないな…。」
 そういうと、エリオット君は自分の両肩を交互に見た。そしてはっと顔を赤くする。
 その仕草で、私はエリオット君の両肩をそれはそれはガッシリとつかんでいた事に気付いた。
 「あっ、ご、ごめん!今離すから———」
 あわてて手を放そうとした、その時。
 「!!」
 いきなり手首をつかまれたと思うと、突然ふわりと体が180度回転した。
 気が付けば、私は壁を背にして座り込んでいた。そして、今度はエリオット君の両手が、私の肩を壁に押し付けている。
 「エ、エリオット君…?」
 次回、第六十八話。お楽しみに☆
