コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.80 )
- 日時: 2014/10/29 16:34
- 名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)
- 第十二話 <対抗戦編> 
 「フィル、リリアン!お前らはそこの女二人を頼む。」
 「「了解!」」
 まずは初戦。…落ち着いて、リリアンの足を引っ張らないようにしなき
 ゃ!
 女生徒二人のうち一人は茶髪にふんわりカールの美女、もう一人も金髪ショートの美女。
 やっぱレベル高っけぇ…!!
 おおっと、感心してる場合じゃなかった。
 今は集中しないと…。
 茶髪のほうが口を開いた。
 「あなたが噂の『能無し』さん?…ふふ、そんな剣なんかぶら下げちゃって。私たちに勝てると思っているのかしら?」
 「…っ。」
 悔しいけど…そうだった。
 相手は魔法が使えるんだ。私なんかの剣じゃ…
 そのとき、右肩に手が置かれた。
 「リリアン…」
 「フィルっち。…あたしにはフィルっちの実力は分からないけど、きっと私たちなら勝てる気がするの。少なくとも、あんな人たちには絶対負けられない。」
 それからニカッと笑って、
 「信じてる。」
 「…!!」
 その言葉に、私はどれだけ救われただろう。
 …うん。もう、大丈夫。
 「ゴメン。もう弱気になったりしない。リリアンと二人で勝ってみせる!」
 「ほほう、その意気その意気!青春だねぇー。」
 …はは、やっぱおかしいよ、その口調。
 ふふっ。
 さて、良い具合に緊張がほぐれたかな。
 その様子をみていた金髪の子が、
 「負ける準備はできたかしら?…行くわよっ!」
 短剣を構え、勢いよく走りよってきた。
 来た!
 いい太刀筋だけど、落ち着いて見れば怖くない。
 私は剣を横に構えて受け止める。うっ、結構力強い…!
 私を甘く見ていたのか、金髪の子が驚きで目を見開く。
 「ラゼリア、この子…っ」
 「っ、少しはやるようね…ミーナ、加勢するわよッ!」
 飛び掛ろうとした茶髪…ラゼリアの前に、リリアンが立ちふさがった。
 「そうは行かないよぉ♪忘れてもらっちゃ困るなあ。おいで♪」
 そう言いつつ、腰から黒い棒のようなものを引き抜き、森の奥へと入っていく。
 「指揮棒…!?こいつッ!」
 ラゼリアが追いかけつつ杖を出現させ、前に突き出した。
 「受け止めてごらんなさい、私の氷をッ!!」
 セリフとともに、杖の先から吹き出した吹雪が、リリアンを襲う。
 当の本人は焦りもせずにふふっと笑い、
 「おや、挑戦状?受けて立つよっ!」
 言いつつ、指揮棒を大きく振るった。
 瞬間、ポロロロロンッ♪というピアノの音とともに、見えない音の衝撃波が放たれる。
 雪吹雪と衝撃波が激しくぶつかり合い、最後には吹雪が押されてラゼリアの方に跳ね返った。
 「きゃっ!」
 間一髪で避けたラゼリアだったが、すこし掠ったようで左腕を押さえた。
 「くッ…こうなったら!」
 「お?何だ何だ?」
 「ふっ…見せてあげるわ。私の必殺技!」
 ラゼリアは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、杖を真上に高く掲げて言い放った。
 「『アイシクル・トルネード』!」
 同時に、杖を中心として、さっきとは比べ物にならないほどの吹雪が渦を巻き始める。
 「くらいなさいッ!」
 ラゼリアがリリアンに向かって杖を振り、大量の吹雪が襲った。
 「はあー、もう必殺技かあ。…じゃあこっちも♪」
 パシュンッ。
 言い終えると同時に、リリアンの手の中に綺麗なハープが出現した。
 「へへっ、ちょっと痛いかもだよお?」
 はっ、と表情を引き締めたラゼリアに、容赦なく。
 「『クレセント・シンフォニー』っっ♪」
 …ハープを中心として巻き起こった、爆発が襲った。
 「っ……!?」
 悲鳴を上げることもできず、彼女は自らの吹雪とともに消し飛んだ。
 ☆
 爆風で起こった煙の中に、ラゼリアの姿はなかった。
 どうやら戦闘不能になると、強制的にどこかへ転送される仕組みらしい。
 リリアンは一人、なぎ倒された木々の中心で呟いた。
 「大丈夫かねえ…フィルっちは。」
 次回、第十三話。お楽しみに。
