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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔断聖鎧ヴェルゼファー ( No.14 )
- 日時: 2015/02/22 01:50
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: LdHPPNYW)
 
 轟音をともない遺跡の天井を形成する材質物が次々と崩落し、粉塵を巻き上げる。
 「くそっ! なんてこったっ!! もうこの遺跡はヤバイっ!! 脱出するぞ、ロベルト!!」
 ハンスが落ちてくる大小様々な破片を慌てて躱しながら叫ぶ。
 「くっ! 思ったよりこの遺跡は限界が来ていたのかもしれない。崩壊とは想定外だな。すぐに鎧機を起動して脱出経路を確保し・・・」
 その時、踵を返そうとしたロベルトがその急ぐ足を止め振り返り見る。
 視線の先には眠る様に横たわる棺の少女。
 (・・・こんな時に何を考えてる? 今はここから逃げ出さなければならない。なのに・・・)
 拳を強く握り込むロベルト。
 何者かが己に囁く。
 脳に、胸の奥深くに繰り返しリフレインする言霊。
 
 ・・・運命に囚われし・・・
 ———何だ?
 ・・・無垢の翼・・・
 ————何を言っている。
 ・・・解放せよ・・・
 ————何を?
 ・・・暗く、残酷な神の夢から・・・
 ————誰を?
 ・・・最先なり、最後なるもの・・・
 それは自分自身の心の声か、それとも遺跡に残る古代人の忘念か。
 あるいは、今、目の前の永久の幽玄の淵から暴き出された少女の・・・。
 「おいっ!! ロベルトっ!! 何やってんだっ!! さっさとズラかるぞっ!!!」
 切羽詰まった余裕の無い、荒げるハンスの声にロベルトは奥歯をギリリッと噛み鳴らす。
 「・・・考えても埒が明かないっ!! ええいっ、儘よっ!!!」
 突然、逆方向に走り出したロベルトに一瞬何が起きたか判らず固まってしまったハンス。
 「・・・お、おいっ!? ロベルトッ!!! ロベルトーーーーッッッ!!!!」
 ハンスが呼び止めようとしたがロベルトは既に崩れ落ちる暗闇の中に掻き消えてしまっていた。
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