コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.106 )
- 日時: 2015/03/27 04:35
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: サイコロが詩音を潰しにかかってます。
 「よし、風蘭。君にはこのボールを託そう」
 「えっ」
 「この村は比較的安全だしとりあえず2体には機能を追加した。遊んで来て良いぞ」
 「本当!? 行ってきまーす!」
 言うやいなやボールを両手に持って飛んで行く風蘭を見送り、真白は蓮と歩き出した。
 ——というのは、今現在別行動をしているからである。日向と(何故か)千破矢は早々に見つかった宿で料理をしており、詩音は単独で(自称)散歩。豪雷と鈴芽は情報収集をしに民家を訪れている。ちなみに真白と蓮(と風蘭)は本気の散歩。カインさん早く起きて下さい。
 「風蘭にあの子達持たせたけど、機能追加と関係あるの?」
 「それなりにある。蓮、僕らはここに散歩で来たということで合っているか?」
 「うん」
 「なら良いんだが。と言うか風蘭を出した目的があるからな。……」
 「?」
 途中から独り言のように呟きになってしまい、蓮には聞き取れなかった。
 その頃詩音は本気で後悔していた。人通りの少ない路地裏で、トイフェルによる襲撃を食らってしまったのである。幸い怪我は少なかったが、毒が盛られていたらしく、指一本動かせない。壁に寄りかかるようにして、目の前に立っている人物を睨みつける。
 「……」
 「……久しぶりだね。元気?」
 「本当に、久しぶりなのか、わかりませんね」
 「即効性。前デジェルに貰ったんだ。……って、デジェルとか知らないか。呪い解けてるし、面白くねェの」
 「デジェ……ル?」
 聞き覚えのある名前に思考を傾けた瞬間、腹部への衝撃とともに意識が闇へと誘われる。
 最後に耳にした言葉に詩音は絶望した。
 「——まあ、餌くらいにはなって貰おうかな」
 *
 「魔王情報はquite……全くないね」
 「そう簡単に手に入るわけがないだろう」
 「むぅ……」
 ご尤もな発言に頬を膨らませる鈴芽。少し歩いて行くと、角で豪雷が何かとぶつかった。
 「す、すまない」
 「いたた……ふぇあっ、こ、こちらこそ! って、ごーらいとすずめ!」
 桃色の瞳と若草色の髪の少女(幼女?)、風蘭が立ち上がってから、慌てた様子で口をぱくぱくと動かしている。
 「落ち着け。深呼吸」
 「すぅーはぁー……すぅーはぁー……」
 「What's the matter? どうしたの」
 「さっき、シオンの風がなくなったの! フェルームが今、探しに行ってる……」
 「っ!?!?」
 次に暴走するのは豪雷。鈴芽は「そう言えばロボにサーチ機能つけてたな」など、あまり関係ないことを考えていた。
 「とりあえず宿にhurry back……、早く戻ろう?」
 「う、うん……」
 「大丈夫大丈夫。風がなくなった、って言っても最悪のpatternじゃなければ問題ないでしょ? まあ、すでに非常時だけども」
 鈴芽が風蘭をよいしょと抱き上げて宿へ足を運び、豪雷は何かぶつぶつと呟きながらそのあとに続いたという。
