コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.167 )
- 日時: 2015/10/01 20:29
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
 「魔王、1つ確認しても?」
 「なに?」
 「その“何か”に襲われた時、もしかしなくても“終末”が来ていたのでは?」
 「うわ、よくわかったね怖い」
 「母から聞いた話とよく似ていると思ったから」
 何やら自己解決したようで真白は黙る。続いて風蘭は無邪気な笑みを浮かべた。
 「魔王さん、魔王さん! あなたの本当のお名前はなぁに?」
 「「「ふぁっ」」」
 「だって、魔王っていうのは本当の名前じゃないよね?」
 「ああ、なるほど。うん、オレの名前は……たしか、アステル」
 「「「たしかっておい」」」
 「アステルさんかぁ〜」
 そして適応力の早い風蘭。
 少しして、部屋の扉が唐突に開け放たれた。そこにはデジェルと千破矢を文字通り担いでいるアレンがいた。……とてつもなく疲れ切った表情で。
 「真白ちゃん助けてオレもう無理……」
 「お疲れさまでしたー……」
 迷うことなくデジェル側へ移動し、真白はアレンを手伝う。床に突っ伏するように倒れ込むアレンと、そのまま引きずられる千破矢。その衝撃で千破矢は覚醒した。
 「うあっ? ……どういう状況」
 「おはよう千破矢。ボス戦終わったとこだよ」
 「千暁は?!」
 「……君が気絶した直後に封印したけど」
 一応真白がどういった状況だったのかを説明しているため、千破矢の状況はなんとなく把握していた一行は何もつっこまない。——というかツッコミ役にツッコミをいれるのには違和感があった。
 ふと豪雷は(鈴芽との取っ組み合いを中断し)何の気なしに問う。
 「——これから、どうすんだ?」
 一部を除く全員がその場で停止する。一部のうちに入るアレンと真白は何も考えていなかったことを察した。——もちろん考えていなかったのは魔王もである。
 「うっわどうしよう。とりあえず全員故郷に帰るか?」
 「それが一番妥当だな……」
 「待って僕の故郷は絶対帰れないところだよ帰れない!」
 「オレだって家とか1000年くらい前からない!」
 「どうしようポートに会いたい! だがhowever戻ったらまた意味わからんことに巻き込まれる……!」
 「あああ一応私あの町の住人でした顔出しといた方が良いのでしょうかでも絶対にややこしいことになりますし……ッ」
 「ふうのおうち壊れちゃった」
 「「「幼女の爆弾発言!!!」」」
 「ちなみにそこで傍観しているモノクロ2人組は?」
 「ん、家はどこか知らないから帰れないけど、その辺ぶらぶらして罪滅ぼしを予定してる」
 「僕はここが実家である。あとは兄探しだ」
 「カインさんではなく?」
 「実兄探しだ」
 皆が和気藹々としているなか、俯いて一言も喋らない存在が1人。——日向が蓮を見た時、それは始まっていた。
 パキパキと音を立て、半透明な宝石が蓮をおおって行く。その様子を見ながら、日向は一言も言葉を発することができなかった。アレンが気付き、小さく声を漏らす。
 その場にいた全ての人物がそれに気付いた時、それは終わっていた。
 ——薄く輝く半透明な水晶の中で全く動かない巫女服の少女。張り巡らされた“封印”の札。
 「……みゅう、やっぱり、そういうことだったんだね」
 風蘭の声は、誰にも聞かれることなく消えた。
